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無人駅〜語り継がれた記憶〜  作者: 田舎の乗り鉄
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第1回 きっかけは、あの朝

朝5時。遥はいつも通り学校に向かうため、まだ誰も居ないホームのベンチに座り列車を待っていた。


しかし、内気な性格故に友達はほとんど居らず、未だにクラスに馴染めていない。彼女はそんな自分が嫌いだった。将来も何かしたい事がある訳でもない。


この時も俯いて何かを考えていたようだが、近くで同じ列車を待つ同級生達も誰1人として彼女を気に留めていなかった。そして彼女もまた彼らを気にかけなかった。


「1番線から普通、盛岡行きが発車します。ドアが閉まります。」

放送を聞いて遥は我に帰った。

既に列車は入線し、今に発車するところであった。彼女は勢い良く立ち上がった。

(しまった!)

心の中で叫んだが、声は出なかった。次の列車までは4時間待ちだ。2両編成のディーゼルカーがゆっくりと駅から出て行く……

「どうしよう……」

遥は呆然と立ち尽くした。その時、

「ギィィィィィィィィィィ、ゴガン!」

耳が張り裂けるような音を立てて列車が停まったのだ。

後ろの乗務員室から首を出した若い車掌の手には非常ブレーキの紐が握られていた。彼は遥に微笑んで見せると、ドアを開けた。

遥は何も言わずに車内へ入った。そして、さっきの車掌に目をやると同時にブザーが鳴った。車掌は受話器を取った。

「すみません、旅客の手荷物が扉に挟まっていたのを確認しまして…… はい、大丈夫です。このまま出られます。問題ありません。」

頭を下げながら運転士に謝る車掌の姿を見て遥は申し訳無い気持ちになり、乗務員室の方を見られなかった。


列車は予定より2分程遅れて発車した。終点まではおよそ2時間。ディーゼルエンジンの音を響かせ、山あいの小さな駅々を数えていくように列車は進む。多くのトンネルを抜け、ひたすら山へ挑んで行く。


列車の遅れが元通りになった頃、あの車掌が車内の高校生達と親しげに話しながら検札を始めた。遥の番、彼女は恥ずかしそうに定期を見せた。遥が定期券を持っているのを確認すると車掌は言った。

「さっきは大丈夫だったかい? 乗り遅れそうだったじゃない?」

「はい。ご迷惑をおかけしてしまいました……」

車掌は戸惑った。

「いや、いいの、いいの。そんなことないって。」

更に笑いながら続けた。

「気にしなくていいよ、これ逃したら困るでしょ?」

(余計なおせっかい……)

遥はあまり快く思っていなかった。


しばらくして、検札がひと段落した車掌は再び遥の座席にやってきた。

「ちょっとおいで。」

言われるがまま、彼女は車掌について行った。そこは乗務員室だった。

「良いかい? 次に停まる駅はとても面白い駅なんだ。」

車掌は優しい口調でそう言うと、車内放送を始めた。

それから間もなく列車は減速し始め、ある駅に停まった。そこは周りには何も無く、ただ新緑の青々とした木々があり、近くには清らかな渓流が流れるだけ。ホームも簡素な造りで、鉄骨の脚の上に木の板と、木造の小さな待合室が乗った駅。車掌がドアを開けても、その駅では誰も乗り降りしなかった。

遥にはわからなかった。この何の変哲も無い無人駅の、何が面白いのか。しかし遥はその光景に惹かれた。それは彼女にも、分からなかった。


その無人駅を出ると、車掌はまた忙しそうに何かし始めた。それを悟った遥は小声で、

「失礼します……」

と言い、客席に向かった。今度は車掌の居る後ろの車両ではなく、前側の車両に座った。

車掌は遥がどこかへ行ってしまったのに気づかなかった。気付いた時にはもう彼女は前の車両に居た。


遥は外も見ずに考えていた。

(あの駅の何が面白いのかな……)

結局分からなかったが、あの駅の様子は学校に着いても彼女の目に焼き付いていた。

初めて書いたそれっぽい(?)お話です。

てか僕はまだ中学生ですけどね〜


是非、多くの方々に読んで欲しいです。次回もよろしくお願いいたします。

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