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エピソード1
「乃依。俺、手羽先食いたい。」
私もそう思ってた、と微笑むと彼は、俺ら最近以心伝心してるよな。と派手に笑った。
國廣と私が付き合い始めて約一年が経った。
初めこそ、お互い疑い、探り合ってた日々だったが
今では信頼関係が少しずつ、確実に築き上げられているのが分かる。
「俺、また冬を乃依と過ごせて幸せー!」
私の肩を抱き寄せながら彼が笑う。
こういうところが好きなんだよね。
私は声にださずに呟く。
いつだって私は彼の、豪快で、ストレートなところが大好きなのだ。
出会った頃はこんなに仲良くなるなんて思いもしなかった。
だって私たちの年の差は30歳、なのだから。