裏のプロローグ 闇黒の深淵
私は暗い淵の底にいた。
黒く、深い、海の底。
何時からいたのだろうか。
何処からきたのだろうか。
何も分からない。
認識も出来ない。
黒、黒、黒、黒。
何もない。
私もない。
ここは空間と呼べるのか。
時間の概念さえ疑わしい。
黒、黒、黒、黒。
闇、闇、闇、闇。
考えることは出来ても。
考える為の材料がない。
記憶もない。
自我もない。
黒、闇、黒、闇。
闇、黒、闇、黒。
ここに堕ちることはあるが。
ここから上がることはない。
まさしく世界の果て。
深淵、混沌。
アビス、カオス。
ここは何処か。
いまは何時か。
ワタシは誰か。
なにもわからない。
カンガエラレナイ。
ワタシの精神はそのうちに。
無数の雑念に埋もれ喰われ。
このナニモナイセカイでひっそりキエル。
黒、闇、闇、黒。
深淵、混沌、ダークネス。
黒く、深い、闇の沼。
残留思念は暗い、淵で死ぬ。
黒、黒、黒、黒。
黒、黒、黒、黒。
もう消えようか。
光が見える。
私の頭上。
遥か高く。
何だろう。
私には。
希望に見えた。
この場所が果てならば。
失うモノなど何もない。
私の意識は。
見えざる手に従って。
上がることのないはずの世界を。
ゆっくりと。
浮上した。