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転生した元社畜、普通に安全確認してるだけなのに無双扱いされる ~異世界の常識が、どう考えても信用できない件~  作者: 黒木ソウ


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第19話 正式に招かれて、正式に断った

 結論から言うと、俺は断った。


 話を聞き終わる前に、ほぼ即答で。


 ――だが、そこに至るまでの前置きが長い。


 場所は、魔法学院の応接室。

 無駄に広く、無駄に静かだ。


 向かいに座っているのは、学院長。

 その左右に、教授が数名。

 都市管理局の代表もいる。


(これ、断りづらいやつだ……)


 嫌な予感は、正確だった。


「カナメ君」

 学院長が、穏やかに切り出す。

「これまでの行動、評価している」


 知ってます。

 評価されすぎて、困ってます。


「そこでだ」

「君に、正式な立場を用意したい」


 来た。


「魔法学院・特別協力員」

「授業義務なし」

「研究義務なし」

「拘束時間も最低限」


 一見、破格。

 でも。


「……要するに」

 俺は確認する。

「困った時に、呼ぶ枠ですよね」


 学院長は、否定しなかった。


「そうとも言える」

「だが、権限も与える」

「意見は、記録される」


 記録、ね。


「待遇は?」

「十分に保証する」

「生活には困らない」


 悪くない。

 条件だけ見れば。


 だからこそ、即答した。


「断ります」


 一瞬、空気が止まった。


「理由を聞いても?」

 学院長は冷静だ。


「責任の所在が、曖昧だからです」

「……ほう」


 俺は、淡々と続ける。


「俺の意見は、採用されるかもしれない」

「されないかもしれない」

「でも、結果が悪ければ」

「“あいつの意見を聞いたから”になる」


 誰も、否定しなかった。


「それ、面倒なので」


 本音だ。


 革新派の教授が、食い下がる。


「だが君は」

「すでに、影響を与えている!」

「自覚があるなら――」


「だからです」

 俺は遮った。

「自覚があるから、断ります」


 静寂。


 学院長が、ゆっくり息を吐いた。


「……正直だな」

「それしか取り柄がないので」


 数秒の沈黙の後。


「分かった」

 学院長は、頷いた。

「今回は、引こう」


 ……今回は?


「だが」

 視線が、鋭くなる。

「学院として」

「君との関係を、完全に切るつもりはない」


 ですよね。


「意見を求めることはある」

「聞くだけだ」

「答えるかどうかは、君次第」


 それ、昨日と同じ結論だ。


「了承します」

「それでいい」


 会談は、それで終わった。


 建物を出ると、イーサが待っていた。


「即断でしたね」

「長引くと、飲み込まれそうだったので」

「賢明です」


 彼は、少しだけ微笑む。


「ですが」

「はい」

「これで終わりではありません」


 分かってる。


 宿に戻り、ベッドに倒れ込む。


「……正式に断っても、関係が続くの、厄介だな」


 でも、後悔はない。


 組織に入れば、

 俺は俺でいられなくなる。


 それだけは、避けたい。


 窓の外を見る。

 学院は、今日も静かだ。


 だが、たぶん。


(次は、断れない形で来る)


 そんな確信だけが、

 妙に現実味を持っていた。


 ──第19話・完


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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