第6話 TOKYO TRAVEL
日本編1です。
「何でしょうか?いきなり呼び出して。」
アリナが私にそう尋ねた。
「いきなりだけど…俺と玲奈の故郷に行かないか?」
優一君がアリナとミーシャにそう言った。
「ユウイチさんの故郷ですか…確か…『日本』でしたよね?」
「そうだ。」
「どんなところなんですかぁ?何か食べ物でもあるんですかぁ?」
ミーシャ…食べ物のことばっかだな。
「あぁ、ラーメンやうどんやトンカツにハンバーグなどなどたくさんあるぞ。」
「その単語を聞くだけでお腹が空いて来ましたぁ。」
単語だけで⁉︎
「とりあえずこの街の服じゃあそこは目立つから、玲奈の持っているあの服を着ろ。」
私はバックから二人の分の服を取り出した。
「この服、何だか変わってますね…」
まぁ、日本の服だからね。
二人は日本式の服装に着替えた。
「でも、結構いい服ですね。」
とりあえず良さそうだ。
「準備が終わったらこの魔法陣に乗れよ!」
準備が終わり、私たちは魔法陣の上に乗った。
「一体どんなところなんでしょうね?」
アリナはワクワクしながらそう言った。
「どんな食べ物があるんでしょうかぁ?」
食べ物ばっかだな。
「戻ったら英智にも会わないとな。」
「そうね。」
英智君にお礼を言わないとね…
そうして優一君は魔法を発動した。
気がついたら、私の目の前に犬の像があった。
「ハチ公…てことは、渋谷ね。」
私は近くに現れた犬の像にそう呟いた。
「不思議なところですね…高い建物がたくさん…」
普通はそんな反応ですよね。
「クンクン…近くから美味しそうな匂いが…」
犬か。
「とりあえず、100万あるから観光するか。」
「待って優一君…100万⁉︎そんなにお金あるの⁉︎」
私は思わず驚いてしまった。
だって、日本国の最高紙幣を100枚持っているからだ。
「レミリスから貰ったんだ。」
あぁ、なるほど…レミリスの差し金なら確かに納得がいく。
「とりあえず渋谷観光してから、英智と再会した後、俺の家に行こう。」
「ユウイチさんの家って…ご家族に迷惑ではないんですか?」
「あぁ…俺、一人暮らしだから。」
「それなら問題なさそうですねぇ。」
ミーシャがそう言い、私は複雑な心境になった。
そうして私たちの渋谷観光が始まった。
わたあめやタピオカを食べたり、いろんな服を買ったり、ゲーセンでいろんなゲームをしたりした。
ミーシャは食べ物のクレーンゲームばかりやっていた。
某本屋で漫画や小説を買ったりした。
その後は某うどん屋にてうどんを食べた。
そして夕方…
私たちは渋谷駅で電車に乗った。
「英智!」
「優一か⁉︎しかもおまけに玲奈ちゃんも!」
「おまけとは何だ英智?」
再開した矢先にそう言われ、私は英智にそう言った。
「て言うか、美少女二人まで連れてくるとは…」
英智君はうらやましそうにそう言った。
「とりあえず、家にあがろう。」
優一君はそう言って、家の鍵で扉を開けた。
中は意外と整理整頓されていた。
「あれ?優一君の部屋ってもっと散らかっていたはずなのに…」
「おいそれを言うな!」
優一君がそうツッコンだ。
「俺が片付けたんだぞ。感謝しろ!」
英智君が片付けてくれていたんだ…
優一君のためにわざわざ…
「ま、今日は鍋パーティーだ!」
英智君、相変わらず切り替えが早い。
「「「「「いただきます!」」」」」
私、優一君、アリナ、ミーシャ、後一人、英智君を含めた5人は、夕食を食し始めた。
「ん!何ですかこれぇ!めちゃくちゃ美味しいですぅ!」
「あぁ、それは黒毛和牛って言ってな…」
英智がミーシャに説明しだした。
ミーシャも楽しそうだ。
…てか、英智君、今黒毛和牛って言ったような気が…
「これは何でしょうか?」
「それは天ぷらでな…」
アリナも少し、言葉が弾んでいる。
二人とも、日本食が新鮮なのだろう。
次々と口へ運んでいる。
私はその光景を微笑ましく思った。
「あぁ、うまかったですぅ。」
夕食を食べ終わり、私たちは食休みをしていた。
「最高に楽しかったぜ!」
英智君がそう言った。
確かに楽しかった。
「あ、優一、玲奈。」
「「ん?」」
「明日から入学式だぞ。」
私たち二人はそう言われ、スマホのカレンダーを見た。
「「4月11日…」」
それは今日の日付だった。
「英智君!何で早く言ってくれなかったの⁉︎」
「いや、だって知ってるかと思ってな…」
「玲奈、英智の意見はごもっともだ。俺たちはどうこう言えない。」
優一君にそう言われ、私は黙ってしまう。
「とにかく、制服もクリーニングしてあるから、それ使えよ。」
本当に何から何まで、英智君には感謝しかない。
「じゃ、俺は帰るからな。」
「唐突だな。」
「これ以上は尺が増えちまうからな。」
「そうね。」
私達は英智君を見送った。
帰る間際、英智君は呟いた。
「『あっち』でもうまくやれよ。」
そう言い、英智君は帰って行った。
何だか意味深なことを言ったような…
…気のせいか。
私たちは明日に向けて、家に戻って行った。
英智さんって何でも知ってますねぇ
by ミーシャ