第53話 文化祭
楽園の文化祭
文化祭当日。
私たちは部室にいた。
「文化祭を絶対成功させるっす!」
金生が大声でそう言った。
この2週間色々あった。
命懸けの資材集めにめちゃくちゃな製作、そして優梨君と東山さんの一件。
それらを乗り越えて今、文化祭が開催する。
果たして客は来るのだろうか。
「一名入るぞー!」
安沢がそう言った。
そういえば安沢、料理をするのも脅かすのも会計もできないので、部室の外で案内を担当することになった。
そして私は、いかにも幽霊って格好をしていた。
『これで脅かすぞ。』
そう思いながら、私は英智君を見た。
いかにも殺人鬼って見た目だ。
舌を出しながらナイフを舐め回している。
見事に恐怖を醸し出している。
そして客が来た。
私は「お前を呪ってやるぅ!」と言った。
そしてら客は一瞬で顔が青ざめた。
私の中のヤンキーの血が騒いだのね。
そして止めで英智君が…
「お前をバラバラにしてやるぅ!」
と言った。
「「いぃいいいやぁああああああ!」」
客は一瞬で奥へと進んでいった。
さすが英智君。
狂人の演技が並じゃないわね。
その頃、俺は絵画展にいた。
客がここに青ざめながら駆け込んできた。
あの2人…全く。
客は俺の絵を見た。
「この絵すごいですね!誰が描いたんですか⁉︎」
「俺だが。」
「あなたが⁉︎すごいですね!」
「それほどでもないがな。」
俺はそう言った。
どうも、金生っす。
俺は今、メイド喫茶の会計係をしてるっす。
今回女装しているのは、河上さんと伊澄さんっす。
後他に燈香ちゃんと公太もいるっす。
「最高っす!」
俺はそう呟いた。
可愛い女子のメイド姿を見ることができるんすから。
俺は会計しながらそう思った。
河上さんは少しばかり顔を赤くしてる。
きっと女装が恥ずかしいのだろう。
でも仕方ないっすよ。
河上さんと伊澄さん以外に適任がいないんすから。
「で、でが、おいしくなる呪文を…かけますね…ラブラブキュンキュン美味しくなーれ!」
「ではでは、美味しくなる呪文を唱えますね!…萌え萌えキュンキュンラブラブキュンキュン!」
伊澄さんはそう言ってポーズをした。
さすが伊澄さん。
男というギャップ萌えが伊達じゃないっすね。
俺はそう思いながら適当にエロ本を読んでいた。
「さて、休憩時間だな。」
神田君はそう言った。
「射的とかやらないか?」
英智君はそう言った。
「2組の奴らのか。よく用意できたな。」
神田君はそう言う。
「射的とかどうやんだよ。」
安沢がそう言った。
私は射的の料金を払い…
「いい、射的ってのはね…」
私はよく狙いを定め…
バンッ!
と強烈な音を出して景品のラジコンをとった。
「す、すごいっす…」
「こ、怖い…」
なんだかものすごく恐れられてるような気がする。
そして昼ごはん。
私たちはめちゃオシャ喫茶という3組の出し物で食事をすることになった。
そこで…
「あ、神田さん!それに異世界部みなさん!」
と、声をかけられた。
声の主は、生徒会長の田村沙也加さんだった。
それと…
「あ、伊澄君…」
東山さんもいた。
2人は、私たちの隣の席に座った。
「伊澄さんが『萌え萌えキュンキュンラブラブキュンキュン!』って可愛いんすよ!」
「『萌え萌えキュンキュンラブラブキュンキュン!』…ね。」
田村さんはそう言った。
その時、俺はあることを思い出した。
俺はこの学園の文化祭に行ったことがあった。
そこで立ち寄った女装メイド喫茶で、たまたま公園で出会った彼とばったり会った。
俺のテーブルには注文したカレーが置かれていた。
「そ、それじゃ…美味しくなるじゅ…呪文…呪文を…」
彼はカタコトながらそう言い…
「も、萌え萌えキュンキュンラブラブキュンキュン!」
彼は力一杯そう言った。
そして…
「…それじゃ…いただくよ。」
俺は鼻血を出しながらもカレーを食べ始めた。
「…彼…今も元気にしてるのかな…」
「何か言いましたか?」
「いえ、なんでも。」
田村さんは東山さんにそう返事をした。
「大好評ね。」
私はそう言った。
私たちは異世界部の出し物にはものすごい行列ができた。
そのせいかすごく忙しくなった。
私と英智君も脅かすので精一杯だった。
優一君と優梨君、排施君と天宮さん、金生は接客で忙しかったらしい。
安沢と岸さんも道行く人たちに声をかけていたため、それはもうお腹が空いていたという。
そしてそれが終わり…
私たちはげっそりとしていた。
「大変だったみたいだな。」
神田君は私たちにそう言った。
神田君…絵画展の担当だったみたいけど…ほとんど何もしてないっぽい。
そして私は帰路へと歩いていた。
部室の片付けは明日行うみたいだ。
本当に災難な日々だった。
でも…
「いい思い出になったわね。」
ふと私はそう呟いた。
でも、なんやかんや言って楽しかった。
私はあの日、異世界へと飛ばされた出来事を思い出した。
思えばあの日から災難な日々が始まったのかもしれない。
異世界に飛ばされ、クエストで死にかけ、王女様(排施君)と出会い、日本に戻れるようになり、神田君、安沢、金生と出会い、異世界部が結成され、部員のみんなで異世界へ行って、みんなで旅行に行って優梨君と岸さんと出会って、期末テストがあって、入れ替わりがあって、催眠術があって、文化祭の準備と製作、優梨君と東山さんとの一件。
ふふ、まともな日々が一つもないじゃない。
私はそう思った。
岐路を歩いていると…
不意に肩を掴まれた。
私の肩を掴んでいたのは、優一君と英智君だった。
「帰ろうぜ、玲奈!」
「帰りのゲーセン寄ろうぜ!」
2人はそう言った。
私は顔が赤くなった。
胸が熱くなっているような気もする。
そして私は…
「うん!」
とびきりの笑顔でそう言った。
第4章終了まであと7話っす!
by 金生




