第52話 暗闇の中は同じ
回想シーンで尺取すぎた!
by 英智
神田君は東山さんに尋ねる。
「何故男が嫌いなんだ?そうなった経緯はなんだ?」
そう東山さんは言われ、答える…
「あれは8年前のことで…」
彼女は、自身の過去を振り返るのであった。
あれは8年前の事。
私は小学2年生でした。
その時は男子も女子も平等に接していました。
でも…
「ただいま。」
私は家に帰っていました。
私はすぐに部屋に閉じこもった。
今日も今日とて両親の口論が耳に聞こえた。
『あなた!もう賭け事はやめて!』
『お前そんなこと言っていいのか⁉︎』
聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない聞きたくない…
そんな憂鬱な1日が毎日続く。
そんな不快なことが何故続くのだろうか。
父親はいわゆるパチカスだった。
朝昼晩とパチンコに行っていた。
母親は父のパチンコ代稼ぎのために朝は新聞配達、昼はチェーン店で接客、夜は清掃員と働いていた。
働きすぎな程に。
段々と生活が苦しくなってきた頃からだった。
母の休んでいる姿を見なくなった。
朝昼晩の仕事の時間を増やしつつ、家でも内職を始めるようになった。
母はそれでも私に勉強を教えていた。
わからない部分を母は付箋を貼って丁寧に教えてくれていた。
私はそれでも嬉しかった。
でも、いつだったのだろうか。
私があんなに泣いたのは…
『過労。』
そう一言言われた。
私は目から涙をこぼした。
周りの人たちは私に寄り添ってくれた。
しかし、父は違った。
どうやら後の調べによると、父は母に暴力を振るっていたらしい。
その暴力の矛先が今度は私に向かってきた。
学校から帰ったら私は父に暴行を受けるのがいつのまにか当たり前になっていた。
そしてまた1人になる。
私は泣きっぱなしだった。
そしてまた日常は変わる。
父は逮捕された。
近所のおじさんおばさんの夫婦の通報によって、父が私に暴力を振るっていることを疑ったという。
その頃私は既に男嫌いになっていたが、そのおじさんだけは心を許していた。
きっと私を保護して、暖かい食事や寝床を与えてくれたからだろう。
そしてもう1人、刑事さんが私に言った。
「お前はこれから別の環境で生きていくことになる。」
私はそう言われた。
「男嫌いになったところで男が離れるわけじゃない。現に俺がいるしな。」
そう淡々と言う。
「お前はそのうち答えを出すことになる。」
刑事さんはそうタバコを吸い…
「選択肢はお前次第だ。」
煙を吐きながらそう言った。
それから3年後、私は小学5年生になった。
おじさんおばさんの都合によって転向した頃、小学校に探偵と名乗る人物らが現れた。
彼らの1人は現役高校生の男と、もう1人は…私でも驚いたほどだった。
もう1人の男は、なんと警察庁の公安所属の刑事さんだったらしい。
初めて見た時は、女子かと思ったが、喋り方や服装からすぐに男だとわかった。
伊澄優梨のように暴力を振るわなかったのは彼が救ってくれたからだ。
犯罪者の男に襲われそうになった時、彼は男に向かって発砲したのだ。
男は近くの板でなんとか耐えたが、彼はすぐに男を気絶させた。
私は彼に名前を聞いた。
彼は萩原司佳と名乗った。
優しそうな好青年だった。
私は彼に心を許してしまった。
だけどそれはおじさんおばさんにも言わなかった。
それから私は多忙ながらも学校生活を続けた。
高校は私立東洋高等学園に入学することになり、おじさんおばさんの2人は喜んでくれた。
私はそこで生徒会に入った。
生徒会の仕事を続けていく中で、生徒会長の田村沙也加さんと出会った。
田村さんは全てが完璧な女子。
私より勉強、運動ができて、スタイルや顔もいい。
私は憧れを抱いた。
「みかりちゃん、大丈夫?こっち持つ?」
おまけに女神のように優しい。
そして2年生に。
クラス入れ替えで、女子が多くなった。
前のクラスより、女子が多くなっていた。
私はそのうち、女子に恋心を抱くようになった。
でもみんな振り向いてくれない。
なんでかと思ったが、ある日クズと転校してきた神田恭弥という男にこう言われた。
「お前は女が好きなようだが、一つ大きな穴がある。」
「なんですか?早く去ってくれませんか?」
「あのクラスの女全員、誰かしらに夢中だ。だから難しそうだぞ。」
私はそう言われた。
確かにみんな、誰かしら男子を見ていたり、話していたりしていた。
でも、私が夢中なのはクラスのみんなじゃない。
田村さんに夢中だった。
私はそれからもアピールしまくった。
それから7月の初めぐらいだろうか。
伊澄優梨と岸愛莉が転校してきた。
岸愛莉さんには好感が持てそうだったが、伊澄優梨には嫌悪感を感じた。
長年の男嫌いからすぐに伊澄優梨が男だとわかった。
普段だったら男は基本スルーをするはずだった。
でも今回は違った。
伊澄優梨は女子の格好をしていた。
私の中で言葉にできない感情が込み上げていた。
私を絶望の淵に陥れた男子。
それが女子の格好で女子の言葉遣いで、男子の分際でのうのうと友達と話している。
私の中に怒りが込み上げた。
そして私は彼を呼び出してそれで…
「それが、あなたが優梨君を虐めた真相なのね。」
私はそう言った。
東山さんは押し黙ったままだ。
そして私と神田君は言う。
「いるんでしょ、優梨君。」
「いるんだろう、伊澄。」
私たち2人はそう言った。
「え?」
そう東山さんが言うと、校舎から優梨君が出てきた。
優梨君は複雑そうな顔をしている。
東山さんは顔を伏せたままだ。
そして優梨君は言う。
「なんだか、僕と同じですね。」
「え?」
優梨君の言葉で、東山さんは思わず声を漏らした。
「東山さんの話を聞いてるうちになんだか小さい頃の自分と重ねてしまって。」
「どういうことなんですか…?」
「僕…小さい頃虐待を受けてたんです。」
優梨君はそう衝撃なひと言を発した。
「なんだか僕が女の子みたいだったのが父と母には気に食わなかったみたいで、それが原因なのか、父は朝から競馬に行ったり母はどこかに食べに行ったりして…」
優梨君は話を続ける。
「全く、どっちもクソみたいな環境で育ってんだな。」
神田君がそう呟いたのを私は聞こえていた。
「でも刑事さんたちが保護してくれて、タバコ臭い刑事さんもいたけど、天真爛漫な女性警官とかやる気のある男性刑事さんと、男性か女性かわからない刑事さんもいましたし、あとはここの学園に通っていた学生さんもいました…男性らしいですけどどう見たって女の子にしか見えませんよ。その学生さん、なんだか東山さんの言っていた萩原って人になんだか似ていて…」
優梨君は照れくさそうに言った。
そして東山さんは涙をこぼし…
「私…自分がされて嫌だったことを他人に…」
そう言った。
そして優梨君が東山さんに手を伸ばす。
「だから、手を取り合っていきましょう。」
優梨君がそう言った。
そして次は、東山さんが言う。
「男嫌いは変わらないです…でも、伊澄優梨、あなたは認めます…」
東山さんは少しの笑顔を出しながらそう言った。
東山さんは優梨君の手を握った。
「ふぅ、これにて一見落着か。」
「そうだな。」
優一君と英智君がそう言った。
「騒がしい一件…いや、事件だったな。」
神田君はそれだけを言った。
「そうね。」
私はそう言った。
そして…
「あ!文化祭の準備がまだ一つ残ってるの忘れてたっす!」
突然金生がそう言った。
みんな少し黙り…
「仕方ない。早く終わらせて帰るぞ。」
神田君はそう言い、部室へと向かった。
「そうだな。」
「アニメに間に合わねぇしな。」
みんなそう言い、部室へと向かって行った。
「手伝ってくれますか?」
優梨君がそう尋ねると…
「…はい。」
東山さんは涙を拭きながらそう言った。
「じゃあ、私も手伝いましょう!」
田村さんもそう言った。
「それじゃ、いくか玲奈。」
優一君が私の手を握った。
「う、うん!」
私は胸が熱くなりながらも、そう返事した。
文化祭まであと1日。
一体のどうなるのだろうか。
それを考え続けることにしながら、私たちは部室へと向かっていった。
「文化祭を絶対成功させるっす!」
「最高っす!」
「射的とかどうやんだよ。」
「大好評ね。」
「いい思い出になったわね。」
次回 第53話 文化祭




