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十色の追想  作者: 詩庵
出会い編。
35/41

冬の訪れ。

ー怜燈視点ー

「……怜燈。怜燈。お願い……あの子を助けて。」

縋るような幼い声。

泣かないで。俺がなんとかする。だから泣かないで……


「……怜燈兄さん……怜燈兄さん!」

ハッ!

「怜燈兄さん!いい加減起きて!今何時だと思ってるの?」

「ごめん、ごめん。うーん……三時くらい?」

「そうね……何か言うことは?」

「はい。昼寝した挙句、買い物の約束すっぽかしてすいません。」

「……怜燈兄さんなんて知らない!もう、姉様と行く!」

そう言って紫音は行ってしまった。


「あー、またやっちゃった。」

「怜燈さん。また紫音を怒らせたの?最近多いね。」

「あぁ。時雨か。うん、またやっちゃった。」

「……冬だから?」

「うん。」


冬だからと言うのは嘘だ。

時雨は信じてくれたけど、普通に眠たかっただけだ。

今いる、凍守連合国はあまり治安が良いとは言えない。

夜に出歩く人も多い。

夜の警戒は欠かせなかった。


二日くらいなら寝なくても平気だけど、三日目はきつい。

それに最近は……



ー桜花視点ー

「桜花姉!お花出して!」

「……うん。」

鈴音は私によく話しかけてくれる。

だけど、私はまだ上手く話せない。

言いたいことはあるのに言葉がちゃんと出てこないのだ。


「ねぇ、桜花姉のその力なんて言うの?」

「えっ……」

突然の質問に戸惑っていると、

「それ俺も気になる!」

時雨兄さんもこちらにやって来た。

助けを求めて怜燈兄さんの方を見ると、

「俺も桜花の力は上手く言えないから、自分で言ったほうがいい。」

まだ何も言っていないのに、そう言われてしまった。

どうしよう……


私は昔から、植物と仲が良かった。

彼らはいつも私に寄り添ってくれたし、支えてくれた。

特に木々の皆にはお世話になりっぱなしだ。

家になってもらったり、桶になってもらったりとても感謝している。

「ありがとう」と言うと、

皆はいつも「気にしないで」と言って揺れた。


私がお願いすれば、そこには新しい植物も生まれる。

これは使い勝手が良いようで、とても眠くなってしまうからあまり使っていない。


そして最近わかったことだけど、普通の人にはこんなことができない。

父と母に疎まれていた理由がようやくわかった。

だけど、ありのままの私を愛して欲しかった。

一言でも「そのままで良い」って言ってくれれば私は……


「桜花姉!桜花姉!大丈夫?」

「え?」

「急に固まったから驚いた。急に聞いてしまってすまなかった。

無理に言う必要はないからな。」

純粋に私を思ってくれる二人。

大切にしてくれる家族だ。

二人を見ていたら、さっき考えていたことなんてどうでも良くなってきた。


「ううん。大丈夫。ありがとう。

この力は、きっと神様からの贈り物。皆に会うための贈り物だと思う。」

ちゃんと言えた。


「そっか!素敵な贈り物だな!」

「素敵!素敵ね!桜花姉!」

二人もそう返してくれた。

やっぱり家族っていいな。


ー優朝視点ー

「なぁ、いつまでこんなこと続けるんだ?」

「多分ずっとじゃない?」

「優夜は嫌じゃないのか?」

「うーん。これは嫌とか好きだけで決めれる話じゃないよ。

桜花姉さんは、過去を思い出したらきっと壊れちゃう。

知らない方がきっと楽だよ。」

「でも……」

「優朝。これは仕方ないことだよ。

僕達がこうすれば、皆幸せなんだ。」

そう言った優夜の顔は、少し悲しそうに見えた。

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