私の幸せ。
ー鈴音視点ー
陽の光で目が覚めた。
何年ぶりかもわからない、気持ちの良い目覚めだ。
外からは小鳥の鳴き声が聞こえた。
聞こえるって、こんなにも幸せなんだ。
目ははっきりとは見えないけれど、アウラのくれた力で世界が視えるようになった。
視るもの、聞くもの、すべてが新鮮で楽しかった。
ふんわりと香る芳ばしい香りに釣られて外に出ると、怜燈兄達が朝ごはんを作っていた。
グルルル。私のお腹から今まで聞いたことのない音がした。
顔を赤らめると、響姉が
「鈴音。おはよう!今日はいい天気よ!」
楽しそうな笑顔で話しかけてくれた。
「うん!みんなおはよう!」
響姉からは、優しいお日様の香りがした。
私の朝ごはんはお粥だった。
本当はみんなと同じものが食べたかったけれど、紫音姉に
「今までちゃんとしたもの食べてこなかったでしょ?
急に食べたら胃がびっくりしちゃうからだめよ。」
と言われてしまった。
「もう少し鈴音が元気になったら、沢山美味しいもの食べましょう。」
少し残念そうな顔をしたら、紫音姉はクスリと笑ってそう言った。
ここまで、言われたら諦めるしかない。私はお粥を口に含んだ。
真っ白な見た目に反して、ほんのり甘く塩気が効いていてとても美味しかった。
勢いよくお粥を口に運んでいたら、お米が気管に入って咽せてしまった。
みんなが心配そうな顔で私を見ていた。
みんなを心配させたくない。
だけどそれ以上にみんなが私を思ってくれているようで、少し嬉しくもあった。
朝ごはんが終わると怜燈兄から、一つの木箱を渡された。
開けると中から風鈴が出てきた。
「綺麗……」そう呟くと、
「鈴音。この風鈴は鈴音への贈り物だよ。大事に持っててあげて欲しい。」
「怜燈兄からじゃないの?」不思議に思って聞くと
「そうだよ。だけど鈴音の事を大切に思っている人からの贈り物だ。」
怜燈兄はそれだけしか教えてくれなかった。
どんなに聞いても、笑うだけだった。
風鈴を空にかざすと、ガラスがきらきらと輝いた。
その輝きは、宝石のようだった。
風が風鈴を揺らした。
その音は高くも、心が澄み渡るような心地良い音色だった。
「鈴音。またね。」
そんな声が聞こえた。
思わず振り向くと誰もいなかったけれど、なんとなく懐かしい声だった。
私は今、とても幸せだ。




