神と人と神族と。
ー怜燈視点ー
俺はどこまで人に、家族に、関わっていいのだろうか……
最近そう思う事が増えた。
俺は、本来なら人と関わる事が許されない存在だ。
「人に多大な影響を与えてはいけない。」
神約の一つにある言葉だ。
神は強い力を持つ。
だからこそ人の、生き物の決められた運命を大きく変えてはいけない。
という神の決まりだ。
神約は破ってはいけない。
一度破ってしまえば、神罰が下る。
そして罰が下るのは破った神ではなく、その周りの者たちへ下るのだ。
神は人を、いや神の創造物を愛さずにはいられない。
どんなに憎かろうが、嫌だろうが愛してしまうのだ。
これは、無限の寿命を持つ神達への呪いだ。
愛するものを奪い、苦しめる呪いなのだ。
だから、俺は家族を自分の意思だけで迎えたことはない。
必ず、本人の意思を聞かねばならない。
でなければ失ってしまうから……
「行きたい。響さん達と行きたい。」
そんな声が聞こえた。
迷いのない声と音は、それが本人の意思であることを強く表していた。
俺達は家族になった。
ー鈴音視点ー
「行きたい。響さん達と行きたい。」
気づくとそう口にしていた。
言うつもりなんてなかったのに。
私にこんなことを言う資格はない。
私が望めば、この優しい人達はきっと私の事を受け入れてくれる。
だけど、私はいつか、このアウラの寵愛を表す加護で迷惑をかけるだろう。
だから、望んではいけないんだ。
「やっぱり、違くて、まちがえ……」
そう言いかけた時だった。
響さんが、その言葉を遮るかのように私を抱きしめた。
「言わないで。私、鈴音と約束したわ。
鈴音がどんな選択をしても、私達は鈴音の事を尊重するって。
それはね、鈴音の事を何があっても守るって事なのよ。
だからね、鈴音がさっき私達といきたいって言ってくれたあの時から私達は家族。
取り消しなんてなしよ。そうでしょう?」
「そうだ。取り消す必要なんてない。
迷惑上等。鈴音はまだこんなに小さいんだ。
鈴音は俺達に沢山甘えてくれればいいんだ。
もう我慢も遠慮もいらない。
可愛い妹のお願いを断るお兄ちゃんやお姉ちゃんはいないぞ。だから、約束しよう。
俺達は絶対に鈴音を捨てたり虐めたりしない。
その代わり鈴音は、俺達を頼ってくれないか?
どうだ?これで対等だろ?」
「……私ばっかりいい思いする約束。」
「そんなことないさ。俺達は可愛い妹が増えて、もっといい思いをしてるんだから。」
そう言ってくれた。
響さんと怜燈さんを視ていたら、さっきまで考えていた事がとても馬鹿馬鹿しくなってきた。
「ありがとう!お兄ちゃん!お姉ちゃん!!」
今度こそちゃんと言えた。
これは私が言いたくていった私の言葉だ。
想いだ。
今日、私はこの人達と家族になった。
まだ、視える事にも慣れてないし、風も上手く制御出来るかわかんない。
けど、私はこの人達と生きていきたい。
あぁ、私は今とても幸せだ。
そう思った時、私の隣を優しい新緑の香りの風が駆け抜けていった。
長い雨がようやく空けたみたいだ。
きっとこれからの空は、とても明るい。
いや、そうあって欲しい。
そう願った。
「もう入ってもいいかな?」
「ダメに決まってるでしょ!
もう少し空気読んでよ!!凪!」
「??空気は吸うもので、読むものではないだろう?」
「それ素で言ってるんですか?」
「素ってなんだ?」
「あーーーー、もう知りません。」
「えっ、ごめん。紫音。(俺何か変なこと言った?)」
「すまない、紫音。こいつには俺からよく言っておくから、今日はもう勘弁して欲しい。」
「時雨兄さんがそう言うなら……」
「紫音お姉ちゃん。お腹空いた。」
「ごめんね、桜花。お腹空いたよね。これ食べてもう少し待っててくれる。」
「うん。」
そんな会話が聞こえてきた。
「……うん。どうせ最初からほぼ聞いてたんだろう。さぁご対面だ。」
そう怜燈お兄ちゃんが呟き、勢いよく扉を開けた。
すると、すごい勢いで人がなだれ込んできた。
「紹介するよ。鈴音のお兄ちゃんとお姉ちゃん達だ。
さて盗み聞きとはいい度胸だ。
まぁ今日はおめでたい日だ。お説教は、しないでおこう。
さぁ可愛い妹に自己紹介しな。」
「盗み聞きをしたかった訳ではなかったんだけど、
改めまして、刀守 時雨です。上から二番目の兄になるよ。これからよろしくね。
鈴音!次凪!」
「えっと、はじめまして。海野 凪です。三番目の兄になります。」
「もう少し言うことあるだろ。」
「えー、どうしよう。あっ!
ご飯に塩をかけて食べるのが好きです。これからよろしくお願いします。」
「うふふふふ!なかなか面白い自己紹介ね!凪!次は紫音ね!」
「蝶花 紫音です。二番目の姉になるかな。
薬草に詳しいからなんでも聞いてね!///(なんか気恥ずかしい。)次、桜花よ」
「月蝶 桜花。お花が好き。これあげる。梔子っていうの。」
そう言って桜花お姉ちゃんは何処から出したのか、一輪の梔子の花をくれた。
「次は、優朝と優夜ね!言える?」
「「うん!」」
「俺、優朝です。よろしくお願いします。」
「僕、優夜。早起きできるよ!」
怜燈お兄ちゃんに響お姉ちゃん、
時雨お兄ちゃん、凪お兄ちゃん、
紫音お姉ちゃんに、桜花お姉ちゃん。優朝君、優夜君。
一気に、たくさんの家族ができた。
ずっと一人だったから嬉しかった。
「皆これからよろしくお願いします。」
そう言うと。
「「「よろしく(ね)!」」」と、たくさんの声が返ってきた。
家族って温かい。
そう思った。
ーアウラ視点ー
「あーあ。やっぱりそうなっちゃったかー。」
『どうなさったんですか?』
「鈴音があの狐君達に付いていく事にしたみたいでさ、
もう一押ししてたら今頃可愛い鈴音と一緒に暮らせたのに。惜しいことしたなー……」
『アウラ様、これで良かったんじゃないですか。
鈴音様はここで暮らされるより、外で自由に生きた方が幸せだと思いますよ。』
「なるほどねー。クロニクルはどう思う?」
『ほんとに鈴音様を愛しておられるなら、籠に閉じ込めるようなことはせず、
自由に飛び回れるように手助けをする方が良いかと愚考致します。
それに、貴方の愛は鈴音様に必ず届いておられると思います。」
「二人揃って言うね。まぁ、私も幼子じゃないんだ。
今回は引くとしよう。それに神の愛し子は寿命が長い。心替わりするその時まで待つとするさ。」
『『(ほっ、良かった。)』』
「ほっとしたのバレてるからな。」
『『失礼致しました。』』
「まぁ良い。わらわは今機嫌が良い。大目に見てやろうぞ。」
『『有り難き幸せに御座います。』』
思わず想いを漏らしてしまったが、惜しい事をしてしまった。
今まで、探しても見当たらなかった鈴音が今になって見つかるとは。
長生きしていると色々な事が起こる。
鈴音のこれからの人生に幸ある事を祈るとしよう。
━━━━━鈴音。幸せに生きるんだよ。━━━━




