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十色の追想  作者: 詩庵
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神と愛し子。

二人きりになると、黄緑の女の人は私に話しかけてきた。

「初めまして、いや久しぶりかな?鈴音」

何か返そうとしたけど、やっぱり声は出なかった。


「すまない、配慮が足りなかったな。これでどうだ?話せるか?」

「うん、話せる。あなたはだあれ?」

「おぉ!可愛い鈴音よ!鈴音は声まで可愛いのだな!」

「そんなに褒めなくてもいいよ。自分の身は弁えてるから。」

そう言うと、女の人は急に声色を変えた。


「なんだと?鈴音を侮辱したものがいたのか?

言ってみろ。今すぐ私が制裁を下してやろうぞ。」

「そんなのいいよ。もう終わったことだもん。それよりあなたはだあれ?」

「すまない。名乗り忘れていた。私の名はアウラ。風の妖精とでも思ってくれ。」

「そうなの?妖精さん?」

「そうだよ。鈴音の事が大好きな妖精さ。」

「…………」

「!!どうして泣いているんだ!?」

「嬉しくて、誰かにそこまで言って貰えたの久しぶりで……

嘘でも嬉しい。ありがとう、妖精さん。」

「そんなことを言うな!私は、妖精は嘘なんて付かない!

私は鈴音の事がとても大好きで大切なんだ!」

その声があまりにも必死で、

今まで邪険にされてきた私は、嬉しく思った。


「もっと速く鈴音に会いにくるべきだったな。来るのが遅くなってごめんな。」

そう言われると、引っ込みかけていた涙がまた出てきた。

「……なんで!なんで!なんでもっと速く来てくれなかったの?

私とっても辛かった!!!!苦しかったの!!」

泣きながらそう叫ぶとアウラは

「ごめんな」

と言い続けた。

「妖精さんなんてだいきら……」

『そこまで、これ以上は言っちゃいけないよ』

「カタルシス!」

『アウラ様。こう毎回急に居なくなられては困ります。ご自身の立場を弁えてください。

貴方様は、風の……』

「あーーーーー!カタルシス!言うんじゃない!!」

『それでは、これからは勝手に行方を眩ませないでくださいね?』

「それは……」

『お嬢さん。いいですか?この方は……』

「あーーーー!わかった!わかった!約束するよ!」

『ありがとうございます。言質は取りましたからね?』

「あぁ。わかったよ。」


『さてお嬢さん、いえ鈴音様。

聞かれていたと思いますが改めまして、私はアウラ様の仲間の妖精のカタルシスと申します。

アウラの方がお力が強い為、敬語で話させて頂いております。

先程の話ですが、アウラ様は鈴音様を放って置いた訳ではありません。

むしろずっと探しておられました。

しかし鈴音様がいらした場所が、あまりにも隠されていた為、

会いに行くのが遅れてしまった次第にございます。

言い訳ではありませんが、これだけはわかって下さい。

アウラ様の鈴音様を思うお気持ちは確かにございます。』

「……わかったよ。アウラ、無茶言ってごめんね……」

「鈴音!鈴音はなんて心が広いんだ!!」

「アウラ。」

「どうしたんだ?」

「さっき久しぶりって言ったけど、私といつ会ったの?」


「鈴音が生まれて、すぐだよ。鈴音に会いに行ったんだ。

もちろん鈴音は眠っていたから覚えてないかもしれないけど、あの時確かに会いに行ったんだよ。」

「そっか。アウラはずっと、私の事を思っててくれたんだね。ありがとう。」

「鈴音!なんて可愛いんだ!!口うるさいカタルシスに比べ鈴音はなんて愛おしいんだ!

このまま連れ帰ってしまいたい!!」


「『ダメです!』」

「チッ帰って来おったか。速かったね。木の実は十分拾えたかい?」

「もちろん!!というか、人のいない所で人攫いを堂々としないで下さい!!」

『そうですよ!それに我々の中には治癒系統を得意とするものはいません。

鈴音様の治療をできるものはいないんです!この意味分かりますか?』

「わかったよ。今日のところは大人しく帰るよ。」

「『そうしてください。』」

「お前達仲いいな。ここまでシンクロすると呆れを通り越して尊敬するよ。

さて、鈴音に会えた事だし帰るとするか。

その前にカタルシス。ちょっと待っておれ。」

『はい。仰せのままに。』


「鈴音!会えて良かった!これからも偶に会いに来てもいいかい?」

私がこくりと頷くと、アウラは嬉しそうに笑った。

「ありがとう!ではお近づきの印にプレゼントだ!」

そう言って、私の額に手を当て何かを呟いた。

すると、急に頭の中に沢山の情報が流れ込んできて、急に視えるようになったのだ。

「目が見えてないようだったから、視えるように私からのプレゼントだ!気に入ったか?」

「とっても!ありがとう!アウラ!!」

「あぁ!!またな!」

そういいアウラはカタルシスと共に去っていったのだった。


「相変わらず、嵐のような方だ。」

呆れたような声で金色の髪をした人が言った。

視えるようになった目でそちらの方を視ると、

そこには綺麗な黄金色の長髪を一つに纏めて結んだ、一人の男の人がいた。


「目覚めたばかりなのに、騒いでしまいすまなかった。」

その人は年下であるはずの私に向かってとても丁寧に話しかけてきた。

「私の名前は怜燈という。姓は月夜だ。」

「……月夜?」

「あぁ月夜だ。どうかしたか?」

「響さんは蝶花だっていってた。家族なのに同じじゃないの?」

「そうだな。確かに違うけどな、

俺達は家族だ。たとえ姓が違っても、血が繋がってなくともな。」

「…………」

「ごめんな。難しかったよな。」

「えっとな、これから君、えっと名前で呼んでもいいかな?」

私が頷くと怜燈さんはお礼をいいまた話し始めた。


「鈴音ちゃん。率直に聞きたいんだけど、君はこれからどうしたい?どうやって生きたい?」

そう聞かれた。怜燈さんの話はこうだった。

これから私には生きていく上で、いくつかの選択肢があるそうだった。


一つ、村へ戻って生活する。

二つ、アウラのもとで生活する。

三つ、怜燈さん達と一緒に旅をする。

四つ、父ちゃんと母ちゃんを探す旅に出る。

大まかに分けるとこの四つだった。

まず、一は有り得なかった。

あそこに戻ればいつかきっと殺されてしまうから……

一以外ならどれでも良かった。


「村へは戻りたくないの。」

そう告げると

「わかった。絶対戻さないと約束しよう。」

怜燈さんはそう言ってくれた。

「後はどれでもいい。どれがいいの?」

今まで、ほとんど死人のように生きてきた私には、どれを選べばいいのか。

選んでいいのか分からなかった。

どうするべきか悩んでいると、響さんが怜燈さんに何か耳打ちするのが視えた。


ー怜燈視点ー

「怜燈兄さん。鈴音ちゃんは年端もいかない子供ですよ。

急に選べと言われても、選べないと思います。」

響にそう言われた。

それもそうだ。

見た目からもわかる通り、鈴音はまだ幼い。

こんな幼い子に選択されるのは、良くないかもしれない。

でも、これは鈴音の人生だ。鈴音以外の誰のものでもない。

人生を、生き方を選ぶのは俺達じゃない。

鈴音だ。

生き方を選べない事は確かにある。

だからこそ、選べる時は選ばせてあげたい。

俺はそう思ったのだった。


ー鈴音視点ー

選んでいいって言われた。

だけど、どれがいいのか分からなかった。

今まで、駄目だと言われ怒られた事は沢山あったけど、

どうしたい?って言われたのははじめてだった。


「鈴音のしたいようにして良いのよ。責任は私達が取るから。

やりたいように、したいようにすれば良いのよ。

私達は、何を選んでもずっと鈴音の味方だから。」

響さんは答えをくれなかった。

でも、絶対私の事を捨てたりはしない。

そう思える事だけは確かだった。


だけど私は答えを出すことが出来なかった。

「私はどうすればいいの?答えを教えて欲しいの。」

そう言うと、

響さんは何かを言いかけたが、怜燈さんがそれを制止した。


「響、だめだ。これ以上は干渉してはいけない。」

そう言って止める怜燈さんに響さんは

「わかっているわ。だからこれだけ言わせて。」

「鈴音、答えをあげることはできないんだけどね、これだけは言えるわ。

鈴音がどれを選んでも、私達はその選択を尊重するわ。」

私の想い。願い。

そんな存在は無いものだと思っていた。でも、それが存在して叶えて貰えるなら、

私は、

「〇〇〇。」

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