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どれだけ頑張ったと言うのでしょう?

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

日本人に多そうだなーと思って書いてます。



――私が何時、何処で、どれ程頑張ったというのでしょうか? 理解に苦しみます。

――君くらいな物だよ。誰よりも必死に机に齧り付いて、質の高い書類を出すのは。これから先、君はもっと多くの事を学んで行くだろう。出世とまでは行かないまでも、大きな物を任せるに至るだろう。君には素質がある。だから期待しているよ。


彼女は人より飲み込みが遅かった。罠に掛かると他の子よりも脱走に時間が掛かった。けれどもその分、同じ轍は二度踏まない子だった。罠に掛かった時にも、すぐに逃げ出さず、細部に至るまで良く吟味していた。この問いの本質はどこなのか。また間違えない為にはどうするか。そんなことを自分に問い掛けた上で、罠を解除する。けれどもその質はどうにも本人にとって無自覚に行われている様だった。

ある時顔を真っ赤にして、椅子に座って作業を進めていた事がある。見るからに体調が悪そうで、小さな間違えを幾つか繰り返している。私が声を掛けると、ぼんやりとした目のままに、首を傾けた。

「顔色が悪いね。小さなミスも多いし、早く帰った方が良い」

「そうですか? でも……まだ作業が残っているんです。きっと予定日までには終わりません」

そう言って、また作業に戻ろうとする。あまりこんな言い方はしたくないが、仕方がない。

「小さなミスを直すのも面倒なんだ。今のままの君に給料分の対価が払えるとは思えない」

気を使った言い方をしたところで、この子は差し伸べた手を振り払って作業を続けるだろう。それこそ狂ったように。可哀想だが、仕方がない。

彼女は少しだけ気落ちした様な顔をして、帰り支度を始めた。その時のやるせない顔が脳裏にこびり付いて離れなかった。


「あの、昨日は有難う御座います。いいえ、昨日の事だけでなく、何時も有難う御座います」

彼女は出社時にそう言って深く頭を垂れた。顔色は元に戻っている。どうやら回復した様だ。その事を安堵すると同時に、忠告を一つ。

「巻き返そうとして、法外な労働は禁止するよ」

気を配らないと平気で、にこにこ二時間残業を突貫するからなぁ。

「……でもそうしないと間に合いません。……御期待にそう事が出来ません」

「あのねぇ……。そうしたらまた熱を出して、作業が滞ってしまうよ」

「ならば熱が出ても作業出来る様な体を作ります」

ああ言えばこう言う。埒が明かない。どうにか彼女を言いくるめて、無理をしないようにさせないと。そう考えていると、彼女の方から口を開く。

「私が此処に来た時、皆様のお話を陰ながら聞かせて戴きました。まだ研修期間だけど、何れ此処の枠に収まらず、他社を相手に出来る程になって欲しいと。ならないと困ってしまうと」

それから意志の強い視線で此方を見た。戦国武将顔負けの眼力にしり込みしそうになる。

「私は基本的に物凄く他力本願なのです。期待されなければ動くことさえままならない。だから、全部皆様のお陰なんですよ。私はその御期待に応えたい」

思い返して見ればそんな会話があった気がする。罠を吟味し、転んではタダでは起きない彼女の無自覚な質を察して、陰ながら皆で期待をかけたのだ。でもまさか、そこまで重く捉えていたとは。

「……分かった。でも皆でやった方が早い。君はもう少し、人を頼る事を覚えなさい。『何一つ頑張ってないのに、人の力を借りるだなんて』とか言わないでね?」

風邪引いている人が増えてきて、それでも皆さんスーツなので、出来た話です。


予定日までに終わらないとか、皆働いてるから自分も働かないと駄目とか、そんな心持ちで必死に働いているのだと思います。


でも頑張った本人が気が付かないまでも、周りの誰かが気づいてくれると良いと思います。

甘い妄言ですが。本当は自分で気が付くしかないのですが。


フライドポテトが食べたいです。

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