閑話 王国①
場面は変わって王国。そこでは勇者と姫が楽し気に話をしていた。
「では勇者様の世界ではその化学?というものが発展した世界なのですね。魔力ではなく自然の力で電気を作り出しそれで物を動かしたりする…興味深いですわ、携帯とやらも見せてもらいましたが勇者様は素晴らしいですね!」
「はい、まぁ俺が凄いってわけじゃないっすけど…。」
「何を言いますか!十分勇者様は凄いですわ。自信を持ってくださいませ❤」
話の中心は勇者、田中真人の世界の話である。
ドンドン姫が勇者を持ち上げるため勇者も鼻の下を伸ばしてデレデレだ。こんな風にベタベタにくっついているのは魔法具の効力を高めるためである。
この魔法具は本人の常識などを使用者の都合のいいように歪めるものだ。そのために真人は姫の違和感には一切気づくことはできない。
「姫様、失礼いたします。王様からお呼び出しです。」
「かしこまりました。…申し訳ございません、勇者様。失礼いたしますわ。」
ドレスの裾を掴み優雅にお辞儀をする。
その仕草にポーッと見惚れたままそれを真人は見送った。
「邪魔をしてしまったかな?」
「いえ…もう勇者真人は私の手の内です。放っておいても良いでしょう。」
先ほど、真人に見せた愛らしい無邪気な顔と違い冷酷な顔をする姫はまるで別人のようだった。
髪を面倒そうに払うその姿は勇者に見せた姿より年相応に見える。
「で、逃げたタナカの行方はどうかね?」
「森へ逃げた後、先のあの国へと向かったようです。」
「あの国…あの森の先というとあれか。うまくいけば処分もできます。能力も分からない以上野放しにするのは面倒をされかねない。」
その言葉で会話はもう必要ないと締め切られる。
だってこの国にこれから死にいく者に気を向けるほど余裕はないのだから。
王国の設定もう少し練り上げないと…(-_-;)次回はもう少し長めに書こうと思います(いつも一話が短すぎる)