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第四話 ピンチ


「いない、いないですわーーーー!!!」


早朝、城は姫様の悲鳴で目が覚めた。

それを聞きつけ城中の者がドタバタと大勢やってくる。


「姫様、一体何が…!?」

「大声がしたから来てみたけど…って姫様!?どうかしたんですか?」

「っ!真人さまぁ!タナカ様が…タナカ様がどこにもいられないんです!」

「な、なんだって!?もしかしてその魔王とやらに連れていかれたんじゃ…。」


明らかに演技臭い噓泣き、だがそれに気が付くものは誰もいない。それが魅了の魔法具の力というものだ。


「そんな…早く助けないと!」

「失礼ながら…今の貴方は勇者として覚醒していない身、奪い返すのは不可能でしょう。まずは強くなることが大切かと存じます。」

「…そっか、じゃあ覚醒できるように頑張るぞーー!!!」

「その意気です!」


こんな少年よりタナカの方が良いと思い魅了に躍起になっていたが簡単に御せる勇者でもいいだろう。

目的の手段としての手先をこいつに変えてもいいだろうと姫は内心ほくそ笑んだ。




「よし、ここまで来たなら平気だろ。」


時は前日に戻る。

国を脱出したタナカは近くの森で息をひそめていた。


「問題はここからどうするか…ですね。」


何も力がない。しいていえば家事スキルだけが特化した一般人(勇者)。

これからの当てがあるわけもなく途方に暮れるだけだった。しかしこのままというわけにはいかない。何故なら複数の目がじっとこちらを見ているからだ。


「さてどう逃げますか…。」


無理だろう。分かったうえでタナカは希望を口に出す。

でもこのままではいけない、じりっと砂利が擦れる音がする。それに反応するように木の影から出てきた、魔獣たちが姿を現し襲い掛かってくる!


もうだめだ。

タナカがそう思った瞬間あたりが何も見えないほど光り魔獣たちは混乱したように声を荒げた。

だが、その声も一瞬で止む。


「あ、貴方は…。」

「タナカ、大丈夫か!私が助けに来たからにはもう何も心配はいらないぞ!!」


この世界に来てから一度も動揺していないタナカの初めての驚き。


艶やかな銀髪をたなびかせ重そうな甲冑を意ともせず軽やかに、まるで羽が生えているかのように大剣で魔獣を倒していくのだ。


そう、彼女はアリス、エデンホテルの客人だ。


これぐらいの短さでもいいのだろうか…。

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