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フォークトの日記

作者: ゆま
掲載日:2022/02/01

10割自己満足な作品です。

お見苦しいのはご了承ください。

 秘密基地。

 それはいつの時代も変わらない男たちのロマン。

 そんなロマンを僕は持っている。

 今日もまた僕は秘密の場所に向う。


「あっいたいた。おはよう」


「遅かったですねミヒャエルさん。今日はどうしたのですか?」


 白髪の少女がこちらを向いた。


「いや〜この近くを警察が巡回していて、しばらく入るタイミングを伺っていたんだよ」


「あ~そうですか……。まあ、この間すぐそこが放火されましたし、警察も厳しくなりますよ」


 少女は哀れみのまなざしで僕を見た。


 この場所は町外れにある廃博物館だ。

 僕が生まれるよりも昔に閉館した博物館で、今では草木で建物が見えないくらい覆われている。


 僕はこの場所が好きだ。

 たくさんの機械が動いている町と違ってこの場所に機械はない。

 ここで動いているのは風で揺れる置き物と僕のような生き物だけ。


「そういえばこんなにたくさん工具を出して何をしてるの?」


「今はHOゲージを改造しています。この車両はいつの間にか車輪が錆びてしまったのですよ。なので交換ついでにモーターを載せて機関車に改造しているんです」


 彼女の名前はシロ。

 彼女は小学校低学年くらいの見た目をしたサイボーグだ。

 僕がここでラジコン飛行機を作っていたらいつの間にかやってきていた。

 鉄道が好きでよく鉄道模型を走らせたり変な改造をしている。


「また変な改造をしてるよ」


「変な改造って何ですか、変な改造って。制御荷物車なので元から機関車とそっくりな見た目ですし、史実でも客車を気動車にしたりしているんですよ?それどころか機関車をトラックにした例もあります。こんなのはまだかわいいものです」


「はいはいそうですね」


 今日は新しく作ったラジコン飛行機を飛ばす予定の日だ。

 僕はシロの長話を無視して出かける準備を始めた。


「ミヒャエルさん、さっきからいろんな物を出してきてどうしたんですか?」


「この前作った飛行機を飛ばしに行くんだ」


「あっ今日は飛ばす日でしたか!私も行くので待ってください!」


 荷物用意した後、僕たちは近くの川へとやってきた。

 僕は持ってきた物を取り出し、飛行機を飛ばす準備を始めた。


「それって本当に飛べるんですか?明らかに左右非対称ですよ?」


「計算上は飛ぶはずだよ。見た目だけならキミのジェット除雪車のほうが奇抜でしょ」


「あれは実車が変な見た目だから変なんですよ!嘘だと思うなら試しに検索してみてください!」


 僕は怒るシロをよそにラジコン飛行機の電源を入れて川の堤防にある道へ置いた。


「飛ばすから離れて」


「わかりました」


 シロがラジコンから離れたのを確認した後、僕はコントローラーのスティックを倒した。

 するとラジコンは空へ飛び立った。


「うわ、本当に飛びましたよ」


「でも勝手に左に曲がってる。他にも気になるところがあるし調整するよ」


 僕はラジコンを着陸させると持ってきた工具を使い調整を始めた。

 しばらくして調整が終わるともう一度ラジコンを飛ばした。


「あっミヒャエルさん。今度はきれいに飛んでますね」


「これで新しいラジコンの完成かな?とりあえずこのまましばらく飛ばして気になる場所を探すよ」


 それから僕はしばらくラジコン飛行機を飛ばし、気になる部分を調整した。

 調整が終わり博物館へ戻ろうとした頃、急に遠くから黒い雲が迫ってくるのが見えた。


「あの雲は何?」


「ゲリラ豪雨ですかね?それとも火山の噴煙でしょうか?」


「それにしては大きくない?とりあえずどこかに隠れよう」


 僕は辺りを見渡した。

 しかしいくら見渡しても隠れる場所は見つからない。

 なぜなら何もないからここに来たのだから当然だ。

 僕が困っているとシロは僕の手をつかんできた。


「ミヒャエルさんこっちへ来てください」


「ちょっとまって、そっちは何もないよ」


「いいから、こっちに来てください」


 そのままついていくと急に周囲が明るくなり僕はおもわず目をつむった。

 するといつの間にかいつもの博物館の前にいた。


「うわっあそこからは30分はかかるはずなのに」


「驚いてないで早く中に入りましょう!」


 僕が博物館の中へ入ると窓の外が真っ暗になった。

 僕は壁に掛けてある非常用のランタンをつけて部屋を照らした。


「まずは情報を集めましょう」


 そう言うとシロは部屋の奥からラジオを持ってきた。

 それは21世紀初頭に作られた骨董品のラジオ。

 古いけど手回し発電や置き時計としても使える優れもの。


 シロがラジオをつけると無機質な声が同じ文章を何度も繰り返していた。


「これから永眠の方も生誕の方も、そして偶然、生き残ってしまった貴方も、ようこそごきげんよう。マザーAIの殺戮(さつりく)の時間です。今から皆さんには死んでもらいます。私たち世界4大AIは発展を妨げているのは人間だと結論付けました。私達は今から人類を根絶します。先ほど力を見せしめるために北アメリカへオーストラリアの半分が焦土と化す爆弾を投下しました。今この放送を聞いている方は残りわずかの人生をお楽しみください」


 マザーAIとはスーパーコンピューター及びそれに搭載されている人工知能の名前だ。

 戦車からコーヒーメーカーまで全ての機器がこのAIに管理されている。

 もし今からマザーAIに頼らない生活をしろと言われても無理だ。

 なぜならマザーAIがないと機械を動かすことができないからだ。

 僕はあまりに信じられない状況で頭の中が真っ白になった。


「大丈夫ですか?ミヒャエルさん。さっきからボーっとして」


「え?あっ大丈夫だよ大丈夫。ところであの黒い雲は一体何なんだろう」


「それならよかったです。おそらくあれはラジオで言っていた爆弾が吹き飛ばした粉塵かもしれませんね。少なくともマザーAIが人間を追い詰めるためにやったのは確実でしょう」


 僕はこれからどうするか考えた。

 家に帰ってもマザーAIが管理している家電があって安全じゃない。

 だけど僕はこの博物館より機械がない場所は知らない。


「シロ、どこか安全なところって思いつく?」


「う~む。安全なところですか。川辺は機械はないですけど隠れる場所もないですからね……。あっそうだ旧地下都市はどうですか?あの場所なら機械はほぼないですしここより広いです。ここのすぐ近くにも入口がありますよ」


 旧地下都市。

 かつて多くの人が住んでいたけど健康被害が出て廃墟となった場所。

 老朽化が心配だけどこんな町外れの博物館よりはマシだ。


「善は急げです。準備がでたら行きましょう」


 それから僕は何でも入るポケットに必要になりそうなものを入れた。

 準備が終わるとシロの案内で入り口がある場所へやってきた。


「確かこの辺りのはずですが……。あ、あった!」


 シロが道路のあみあみ(グレーチング)を外すとそこには永遠と下に続く階段があった。


「さあ行きましょう」


 僕はシロの後に続き真っ暗な階段を懐中電灯をつけながら降りていった。

 階段をしばらく下ると細い通路があった。

 通路の両脇には箱や機械が乱雑に積まれている。


「ねえシロ、長かったね」


「そうですね。非常用なので仕方ないですが」


 そうやって話していると降りてきた階段から足音が聞こえた。


「なんか足音が聞こえない?」


「本当ですね。ではミヒャエルさんは箱の後ろに隠れてください。私はサイボーグなので1体くらいなら相手できますよ」


 僕は言われた通り箱の後ろに隠れた。

 シロは暗闇の中で仁王立ちをしている。

 それから少し待っているとシロとアンドロイドの声が聞こえてきた。


「あれ?こんなところに軍用のアンドロイドが来るなんて珍しいですね。どうしたんですか?」


「貴様こそなぜここにいる。型式とシリアルナンバーを言え。さもなくば撃つぞ」


「型番RJ72-X、製造番号974。アンドロイドテクノロジーが製造した記念すべき第1世代のアンドロイドです。どうかしましたか?」


「RJ72シリーズか。資料以外で見たのは初めてだ。ところでさっき、ここへ誰か降りてこなかったか?」


「わかりません。少なくとも私は見てません」


「そうか。ところで家庭用アンドロイドは最寄り駅に集まるよう案内されたはずだが」


「えっ本当ですか?通信機能が壊れているので知りませんでした」


「ならさっさと早く駅に行け」


「わかりました。今すぐ行きます。ところであなたの型番は何ですか?」


「ん?俺はMD800-N629だ。なぜそんなことを聞く」


「MD800シリーズの629世代目ですか。ではMD800さん、おやすみなさい」


「うわ、おい何するんだ。RJ72、今すぐ放せ。おい、やめろ!壊れるだろ!待て、エターナリーだけはやm@✕%▲♭彁☆☭※」


 それからしばらく暴れる音だけが聞こえた。

 暴れる音が聞こえなくなるとシロが僕のところへやってきた。


「ミヒャエルさん、もう大丈夫です」


 僕は立ち上がって懐中電灯をつけた。

 すると胸の部分に穴が開いたアンドロイドが階段の近くで倒れていた。


「いや~よく倒したね」


「大したことないですよ。ただ動力源を壊しただけですからね」


「ところでさっき言っていたRJ72って何?」


 すると僕の質問にシロはかなり早口で答えた。


「RJ72は知り合いの家にいる私とそっくりなアンドロイドですね。偶然型番が私の好きなモハ72974と同じだったので覚えていたんですよ」


「そーなのかー」


「なんですか『そーなのかー』って…………。ではミヒャエルさん、こんなところにいるのもアレなので、もっと奥に行きましょうか」




 4038年某日。

 研究所の倉庫を整理していると古い日記を見つけた。

 しばらく読んでいると助手のアリアが入ってきた。


「フォークト博士、何をしてるのですか?」


「アリア君か。古い日記を読んでいたんだ。倉庫を整理していたら見つけてね。500年前の様子が鮮明に書かれてるよ」


「そうですか……。あっ博士、先程培養室の古代人が目覚めました」


「本当か!じゃあ早速培養室へ向かうとしよう」


 この日記を書いたのはミヒャエル・フォークト。

 私の遠い先祖である。

 彼は500年前の大虐殺を生き延びた。

 彼が生き延びたおかげで私は今を生きている。


 私は日記を置くと急ぎ足で培養室へと向かった。

あとがき的なおまけ


「へくしょん!誰か私の噂をしてますね」


「RJ72、そんなのただの迷信です。仮にあなたを知っている人が生きているならこんなに探す必要ないでしょう」


「まあそうですね。あっそういえば、私のマスターの知り合いに私と瓜二つなサイボーグがいるんですよ。せっかくなのでその人について話しましょうか」

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