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見習い魔術師と X X X  作者: Lumie
見習い魔術師と通り魔
6/23

帰宅

どこにでもありそうな一軒家、それが私の家だ。

 両親は一人っ子の私を日本において、現在海外へ仕事に行っていて一年半ほど帰ってきていない。

 生活費は毎月口座に振り込まれているので捨てられているわけではない。たまに電話もくれる。近況をよく話すがさすがに先生のことは伏せている。

 玄関を開けて電気をつける。他の家庭の玄関をあまり見たことはないがまあ一般的な構成だと思う。

 白百合は玄関で先生のマンションからずっと持っていたバスケットを私に渡し、深く一礼して、

 「それでは、失礼いたします」

 と言って帰っていった。

 バスケットの中身を覗くとキッシュがワンホール入っていた。私は一瞬ワンホール!? と喜びかけた。

 しかしすぐに思い直す。私は食べる方だとは思うが一食でこれは多すぎる。

 これは朝ごはんに明日のお昼までずっとキッシュになりそうだ。先生はこういうところでズレたことをする。。

 とりあえず手を洗って、制服から部屋着に着替えて夕食にしよう。携帯の時計を見ると八時近い。そのことを認識したら急にお腹がすいてきた。


 階段を上がって二階の自分の部屋に行くことにする。二階には部屋が四つあり私の部屋は上がってすぐ右だ。

 私の部屋のドアは先生の家のマンションみたいにプレートが張ってあったりはしない味気ないものだが私はこれでいいと思っている。

 ドアを開けると機能性しか考えてないような部屋が私の帰りを出迎える。私の部屋は南西を向いていて、ベランダへ続く窓が南側に配置してある。

 部屋の右奥には勉強机と椅子がおいてある。それと反対側の壁にはベッドがあり白いシーツ、青いカーバーがかかった枕、青い掛布団という構成になっている。

 着替えるためにクローゼットを開く。クローゼットには外出用の洋服と部屋着、パジャマが吊ってある。

 普段着はブルーのダメージジーンズに少しゆったりとしたTシャツだ。今日は少し寒いから薄手のパーカーを着ようかと思案する。

 着替えを手早く済ませてバスケットをもって一階へ降りる。玄関側から見て左手側に居間へつながる引き戸がある。

 ガラスがはめ込まれた戸を開けて電気をつけると三十型のテレビに左右に二人ずつ計四人が座れるテーブルとイスのセットが目に映る。奥には大きな掃出し窓があり今はブルーのカーテンがかかっている。

 居間に入ってすぐ左にはいわゆるダイニングキッチンが設置してある。

 台所に入りバスケットのキッシュを取り出す。先に切り分けてあったので食べたい分だけ小皿に取り分けてレンジに入れる。二分くらい温めれば大丈夫だろうか。

 温めている間インスタントスープ用にお湯を沸かす。この間、私は少し寂しという感情が沸き上がるのを感じた。帰り道で聞こえた一家団欒のせいだろう。

 なぜ私の父と母はここにいないのだろうか?答えは簡単で仕事だから。そして海外よりは日本の方が治安がいいので一緒に連れていく選択肢はなかったから。

 静かな家には慣れたつもりでいたがまだどこかで割り切れていないらしい。

 レンジが温め終わったことを知らせる電子音を鳴らす。ちょうどお湯も沸いた。インスタントスープがいくつか入っているかごから適当に袋を取りカップに開けお湯を注ぐ。スプーンでぐるぐると回しフリーズドライの具を溶かしていく。なんだか今の私の頭の中のようで嫌になる。

 キッシュとカップをテーブルに並べ一言いただきますと言ってナイフとフォークを取る。

 食べやすい大きさに切り分けて口に運ぶ。味はとても素晴らしい(白百合が作ったものでおいしくなかったものはないが)。

 しかしどこかでその味を楽しめていない自分がいた。

 「ああーやめやめ!」

 こんな思考は無駄以外の何物でもない。私にはやりたいこと、やらなければならないことがたくさんある。

 私は先ほどより大きめにキッシュをカットし口に運んだ。食べることに集中する。

 それでいい。

 その日は夕食後のんびりと湯舟につかり体と思考をほぐしてから学校の勉強と魔術の勉強を行い深夜1時ごろにベッドにもぐりこんだ。お休みを言う相手もいないがそれはそれでなんだかしゃくだったので誰にとでもなく「おやすみなさーい」と声を上げ眠りについた。

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