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02話

 今の声は、まさかこの奇妙な動物が発したのか?


 突然の出来事により俺は困惑した。見たことの無い奇妙な動物が人間の言葉を喋ったという出来事があまりにも信じられなかった。


 もしかしたら他に誰かいるのかもしれない、そう思い辺りを見回してみたが誰も見当たらなかった。


 そこで俺は奇妙な動物から出た質問に答えることにした。


 「あーえっと、俺は川瀬 明、この森の中で迷って困り果ててたんだ。」


 少々戸惑いながらも正直に自己紹介をする。すると奇妙な動物は驚いた様子で言葉を発した。


 「おじさんぼくの言っていることがわかるの!?」


 …今日は何とも不思議な日だ。喋り方からしてこの奇妙な動物は見た目通りかなり幼いようだ。


 「あ、あぁ分かるぞ、それでお前はいったい何なんだ?」


 今度は俺が質問を問いかける。


 「え?えっとぼくの名前は・・・うーん、えっとえーっと・・・」


 奇妙な動物は非常に困惑した様子でうなり込んでしまった。自分の名前が分からないらしい。


 このままその場に立ち尽くす訳にもいかない。日も暮れてきたし移動したほうが良いだろう。


 「名前のことは後で聞く、それよりどこか安全な所に移動しよう。」


 とは言ってもその安全な所というのを知らない。どこに移動するべきだろうか。


 「え?あっそれならいいばしょを知ってるよ。」


 うん?



──────────────────────────────



 ザッザッザッ


 「本当に近くに家があるのか?」


 「うん、もうすこし歩けばつくよ。」


 俺は奇妙な動物に自分の住み家の所まで案内してもらっている。


 もうすっかり日は暮れているが運良く月が昇っていたので、その月明かりによって周りの景色がある程度見える。


 それにしても、月明かりがあるとはいえ多少暗いが周りをよく見るとところどころに妙な形をした植物が自生している。ただ目の前にもっと珍しい生物がいるのでそこまで驚きは無いが、それにただ見たことが無いだけかもしれない。


 「ついたよ。」


 そうこう言っているうちに住み家に着いたようだ。


 見たところ俺が最初にいた場所とは違う入り口がかなり狭い洞窟だ。直径約80cm位で奇妙な動物にとっては充分だろうが俺が入るにはしゃがまなければならなさそうだ。


 中に入ると冷たい風が出迎える。真っ暗なので足元には注意を払うべきだろう。


 しかし本当に暗いな、何か灯りがあれば…


 ボッ


 と思っていると奥の方で火が燃えるような音と共に橙色の光が差し込んできた。どうやら奇妙な動物が先に行って何かしらの方法で火をつけたようだ。


 そのまま奥の方へ進む。すると広い空間の場所に入った。


 「ここがぼくの家だよ。」


 こうして俺は奇妙な動物の家に招待された。


 狭いのは入り口だけで中には部屋のような空間があるようだ。とは言っても俺が立ち上がれるほどの高さはないが。


 部屋の中は中央に焚き火が設置してあり入り口の近くには大量の葉っぱや木の枝が置いてある。おそらく焚き火の燃料や寝床のためだろう。


 奥の入り口の向かい側には何やら複数の荷物が置いてある。内容は木の実やキノコなどの食料や少しくたびれた服が二、三着、どこの国か分からないような通貨が入った袋に何故かナイフが1本だ。


 「この荷物はどこから取ってきたんだ?」


 気になって奇妙な動物に荷物の出所を聞いてみる。


 「食べものはいろんなところからとってきたんだ、それいがいはねている人からもらったよ。」


 寝ている人?気になるワードが出て来た。


 「もりの中にいたんだ。ふくろをもっていてその中においしそうな食べものがはいってたからふくろごともらったんだ。」


 「…寝ている人は起きなかったのか?」


 「何回もゆすったけどぜんぜん起きなかったよ。それにすごくくさかった。」


 なるほど…どうやらこの森は俺が思っている以上に危険なようだ。


 人の物を使うのは気が引けるがこれはありがたく使わせてもらおう。

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