第69話 地獄の逆ハーレム
※……今回はギャグ回です。
―ヴァンデッタvs白虎隊
1対多。この状況は、明らかに白虎隊に有利だと思われた。だが、勝負は始まる前に終わっていたのだ…。
※R指定になるので、細かい描写は省き、ダイジェストで御送りします。
ヴァンデッタの色気に早くも籠絡されてしまった血気盛んな若者達の身体を、ヴァンデッタの髪の毛が伸びて縛り上げる。
実際には初めて見る…いや、初めて体験するその縛り方に、苦悶の表情を上げる者もいれば絶頂に達する者も。ここで、白虎隊の半数が撃チンした。
状勢を立て直そうと、副隊長の斑目が、髪の毛を切り裂いて単身でヴァンデッタに襲い掛かる…も、その瞳に見つめられ、胸が高鳴って動けなくなった所に、ヴァンデッタの唇が自分の唇を覆い隠して来た。
その熱烈な攻撃に、班目は文字通り骨抜きにされ、その場に崩れ落ちた。
その後も、まだ無事だった若者達は、斑目と同じく骨抜きにされる者、エネルギーを枯渇される者、新たな扉を開かれたまま永遠の眠りにつく者…。
結局、白虎隊の将来有望な若者達は、ヴァンデッタ一人に全滅したのだった。
「ふぅ~……やっぱり若いエキスって、サ・イ・コ・ウ」
さてと、ヴァンデッタは着崩していた服を整える。そして、他の部屋へ助っ人に行こうかと考えるが…
(ジレンが遅れをとる程の奴が今回の作戦に参加してるかしら?確か、今回の作戦のリーダーが中将だったみたいだけど、なんか真面目そうでつまらない男みたいだったし…大した事無いわよね。
新入り君は…あれは化物ね。あんなのに勝てるのは、黒夢でもボスくらいでしょう?…チェリーなら今度お姉さんが食べてあげようかしら?)
…となると、後はイーヴィルである。
(あの子、あんまりこういう時って本気を出さないからね…)
よし、と、イーヴィルの部屋の扉を開ける。…が、そこは既にもぬけの殻だった。
(あら?もう終わったのかしら?もしくは…ブライト君に助けを求めた?…ありえるわねね。でも、なら安心か)
結局、もうする事が無くなったヴァンデッタは、最奥のボス部屋へと帰ってきた。
「あれ?ボスは?」
「辰一郎なら、地上で鬼島と死合ってるよ」
白夢のボスが軽いノリで言うので、ヴァンデッタも軽いノリで聞き流し、二人分の紅茶を淹れ、優雅にソファーに座って一息着こうとした…
「って、鬼島ぁ!?なんでですか!?ユキさん!?」
白夢のボス・“ユキ”は、ヴァンデッタに淹れてもらった紅茶を一口飲み、ほぅっと幸せそうに息を吐く。
「ヒミコちゃんが予言したんだよ。『この作戦に鬼島が来るって』ね」
「…それで、本当に来たんですね?」
ヴァンデッタの表情に先程までの余裕は無い。鬼島の強さを知っている者なら、誰でもそうなるだろう。例え、ボスである桐生辰一郎が戦うのだとしても。
加勢に行こうなどとは思わない。あの二人の間に入って行ける訳が無いからだ。
「…それでも、ここでジッとしてる訳にはいかないわね。ジレンが来次第、一緒に地上へ向かいます。ユキさんは?」
「私はここで待ってるよ。我が家で過ごす最後の夜だからね…」
…遅い。いくらなんでも遅い。そう思ったヴァンデッタは、ジレンの部屋へと向かった。
「え?ジレン!大丈夫!?」
血を吐いて倒れているジレンと、同じ様に倒れている仙崎の存在に、二人の実力が拮抗していた事を知る。
(この真面目そうなオッサン、中々やるのね…。それに、顔もよく見ると精悍だし……)
ヴァンデッタは仲間であるジレンより先に、仙崎の容態を確認する……のを理由に、身体をまさ…調べる。
(!?!?!?何これ!?本当に……?まるでプ◯ングルスじゃない!?)
何がお菓子のケースなのかは明記出来ないが、兎に角ヴァンデッタは興奮を隠しきれなかった…。
「うう……き、君は?」
仙崎が目を覚ますと、何故かヴァンデッタに膝枕されていたが、身体中がバキバキで動けない。
「目を覚ましたようですね?私は……えっと…峰不仁…」
「ヴァンデッタだろ?…黒夢のナンバー4の。…俺を殺すのか?」
「殺すなんてとんでもない!殺すのは貴方のを一度試してから…いや、貴方の実力を試してからにするわ」
「はは…、俺はジレンに負けてこの様だ。実力を試すも何も無いだろう?」
「ゴホッゴホッ…あ~酷い目にあったぜ。さて、仙崎は………何してんだ?おまえ」
すると、タイミング良くジレンも目を覚ました。
「え?……なんか無事そうだったから、起こしてただけよ!」
「ふ~ん……また惚れたか。いくらなんでも相手を選べよ~。そいつ、国防軍の中将だぞ?敵だぞ?…今はな」
最後の言葉に含みがあった事に気付いたヴァンデッタだったが、もっと重大な事を思い出した。
「そうだ!今地上でボスが、あの鬼島と戦ってるらしいの!」
「なんだと?なんで鬼島が!?おい仙崎、これも作戦か?」
「確かに救援は頼んだが…大将自ら出てくる訳が無いだろう?何かの間違いじゃ無いのか?」
「本当よ!ユキさんが言ってたもの!信じられないってなら…もし本当だったら、私の身体を貴方に捧げるわ!」
そう言って仙崎を見つめるヴァンデッタ。仙崎は何がなんだか分かっていない。
「…本当だったらって…。嘘じゃないみたいだな。よし、じゃあ俺達も行くか」
「ええ!じゃあ仙崎さんは私が連れてくわ」
「何を…敵の手など…ぐふぅっ!?」
ヴァンデッタの拳が仙崎の鳩尾にめり込み、仙崎は再び眠りの世界へと旅立った。
「さ、仙崎さんは私が連れてくから、とっとと行きましょ!」
「…おまえ……自由だよな…」
こうして三人は、地上へと向かうのであった。
くはーっ!辛かった!当初描いてた内容があまりにもノクターンで、ダイジェストにしたら尺がもたなくて!引き延ばし作業がこんなに辛いとは!
でも、そのおかげでヴァンデッタの人となりを知って頂けたかな?因みに、白虎隊は全員生きてます。…一応。皆幸せそうな顔で眠ってるたいです…。