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第63話 白虎隊突入

 遡る事20分程前…。



 白夢アジト内で、白夢のナンバーズ二人が待ち伏せしている事を伝える為、白虎隊の相良が本隊と合流していた。


「…なるほど。やはりこちらの作戦がある程度筒抜けだった可能性が高いな…」


 相良からの情報を得て、仙崎は今後の対応を考える。


(…だとすると、高確率で白夢が万全の体勢を整えてる事が予想される。最早此方が少数精鋭で来た意味合いは半減してるな…。本部に連絡して応援を待つか…?)



「白虎隊!全員突入するぞ!」


 まだ考えがまとまらない仙崎を他所に、斑目率いる白虎隊は突入準備を始めた。


「斑目。気持ちは分かるが勝手な行動は慎め」


 仙崎は一応指揮官として白虎隊をたしなめる。


「中には仲間が俺達を待ってるんだ!ここで黙ってる訳には行きません!」


 中将である自分の命令に異を唱える。これは、温厚な仙崎以外の者であれば厳罰に処されてもおかしくは無い行為だ。


 だが、仲間を救いたいと云う斑目の想い。そして、現状の危険度を考えれば、条件付きであれば許可してやりたいと仙崎は考えた。


「……分かった。ただ、先発部隊と合流した後、直ちに帰ってくる事が絶対条件だ」


「イエッサー!よし、行くぞオメーら!!」


 白虎隊は意気揚々とアジトに入って行った。



 仙崎は白虎隊の突入を許可したが、本当にこれで良かったのだろうかと考える。もし、何らかの理由で斑目達が戻って来なかったら…この作戦は中止する事すら出来ず、白夢に主導権を握られたままズルズルと引きずり込まれる事になるのでは無いかと。


「ネイチャー・ストレンジャー、我々も、いつでも突入出来るように準備をしておいてくれ」


「分かりました。イエロー、ホワイト、分かったね?」


「ああ。俺はいつでもOKだぜ!」


「…分かったわ」


(5分だ…。5分待って、白虎隊が戻って来なかったら、我々も突入する。先ずは現状を国防軍本部に連絡しておこう…)





 ―白夢アジト一階



「おお!無事だったか、岩下!」


斑目を先頭にアジト内へと侵入した白虎隊が、先発した岩下と無事に合流していた。


「ええ。ただ、真田が白夢の弦慈と世音を追って奥に行っちまいましたがね」


「そうか。あんな奴でも一応は白虎隊の一員だ。見捨てる訳にもいかんだろう。じゃあ、ここで二手に分かれよう。真田を追い掛ける班は相良が指揮してくれ。後は俺と一緒に一度外へ出よう…ん?」


 その時、斑目は異変に気付いた。


 白虎隊は総勢20名だが、今日は隊長が来てないので19名。比呂が先走って奥へ進んで行ったので18名のハズなのに、均等に二手に分けようとしても、割り切れない。()()()()()()のだ。


「…全員、右手側の者から点呼!」


 突然の斑目の号令に、隊員達は戸惑いながらも点呼を始める。



 13…14…15…16…



 …割り切れた。だが、更に数が減っていた。



「敵襲だ!!全員警戒!!」


 斑目を中心に、隊員全員で360度を警戒出来る布陣をとる。



「……なんだ、案外早く気付かれたな…。流石は精鋭部隊」


 アジトの奥からは、糸をゆらゆらと揺らしながら弦慈が現れた。


「…貴様、白夢のナンバー2・弦慈だな?隊員達をどこにやった?」


「心配しなくても無事だ。一足先に()()()()()()にご案内しただけだ。付いて来いよ…」


 明らかに、誰が考えても、これは罠だ。斑目一人だったら、こんな誘いには絶対に乗らない。だが、斑目は今、隊の指揮を任されているのだ。



 白虎隊は結成されてまだ半年に満たない新参の組織だ。だが、隊員には若手の有望株が揃っており、将来的に出世コースが望めるので斑目には願ったりな話だった。

 その上、年齢の上限が25歳までと、結成時24歳で、同年齢では出世頭の少尉だった斑目は、自分こそが隊長に任命されるものとばかり思っていた。

 だが、隊長に任命されたのは、異例のスピード出世で最年少女性少将となった水谷風香だった。


 斑目は当初、風香の事を話題作りの客寄せパンダだと見下していた。それは、斑目だけで無く、他の隊員達もそう思っていただろう。

 だが、風香は強かった。そして、毅然としていた。とても十代とは思えない程に。


 だから、ショッピングモールの件で風香がボロを出したのは、斑目にとってはラッキーだった。隊長不在の間、副隊長として他の隊員の心を掴み、不甲斐ない風香に代わり自分が隊長に成り上がるチャンスだと考えていたのだ。


 正直、隊員の一人や二人の命など、斑目は惜しくは無い。ただ、ここで見捨ててしまうと、折角ここ一週間で隊員の心を掴みかけていた努力が無駄になってしまうと云う打算が働いた。



「…相良、悪いがまた仙崎中将へ伝言を頼む。残りは全員奥へ進入する。…仲間を見捨てる訳にはいかないからな…」


 絞り出した言葉とは裏腹に、斑目の表情は苦々しさを隠しきれていなかったが、幸いにもその表情は誰にも見られていない。


「さあ、案内しろよ。VIPルームでもなんでも行ってやる」


「話が早くて結構。こっちだ…着いて来い」



 弦慈の後を、白虎隊の隊員が着いて行く…。その道が、地獄への一本道だとは知らずに…。

ちょっと短めでしたが、キリが良いので今日はここまで。


斑目副隊長……頑張れ(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点] あれだね、白虎隊の人意外と優しいね。 [一言] この小説読んでたらPC壊れて今スマホで読むハメになってるのですがどう落とし前つけるつもりです? 更新待ってるよ(はぁと
2019/11/13 05:48 ぬこさんver30
[気になる点] 班目が引かないのはいいのですが最低でも各個撃破を狙って白夢の2人に攻撃を仕掛けるのが自然かと。
2019/11/12 22:26 通りすがりの人
[良い点] 風香( இ﹏இ )うるうる
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