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第30話 初めての合コン

※おっとぉ!ティザーの名前が変わってませんでしたので瑠美に変更します!

 ―翌日、蘇った事で怪我が全回復した光輝は、普段通り学校に登校していた。


 比呂はどうやら欠席している様だ。昨日の事があったから予想してはいたが、偶然にも風香も今日は欠席している。


 なので、久々に昼休みに、屋上で独り寝そべっていた。



 昨日、伊織に殺された時は、今度こそ本当に死んだかもと覚悟はしたのだが…



 『…リバイブ・ハンターの能力発動により、“サイレント・ステルス”を習得しました』



 その声が頭の中に鳴り響き、光輝は蘇った事に安心したのだった。



(変化系ギフト、サイレント・ステルス…。だから、伊織は気配を完全に殺して俺の背後を取れたのか)


 光輝はまた一つ、新たなギフトを手に入れた。


 サイレント・ステルスは、発動時、自分の行動に際して一切物音が消える。その上、身体までもが消えるのだ。

 と云っても、完全に気配を消すのは隠密の訓練が必要となるし、身体の部分は眼を凝らせば少しだけ歪んで見える。

 既存の三つのギフトとの相性等は、スピード・スターとロンズデーライトは併用出来るが、インビジブル・スラッシュの様なアクションを用いる能力を発動するとステルス効果が切れる様だ。


 何にしても、単独でもかなり有能なギフトではある。偵察、暗殺、潜入、逃亡…如何なる行動にも効果を発揮するだろう。ギフトランクもAと、ランクだけならインビジブル・スラッシュと匹敵する。


(伊織って人は、戦闘能力は同じ中尉の冴嶋とは比べ物にならなかったから、ギフト能力を高く評価されての中尉だったんだろうな)



 光輝の脳裏に、伊織の死に顔が浮かぶ。


 …綺麗な女性だった。それに、比呂との会話や行動を思い起こしても、立派な軍人だった。


 仮に、自分が国防軍に入隊していたとしたら…、きっと尊敬に値する上司だったのかもしれないと思う。


(敵だと云うだけで、別に殺さなくても良かったのかもな…)


 光輝は、昨日、冴嶋や伊織を含め100人以上の軍人の殆んどを殺したのだ。


(…皆、それぞれの人生があったんだろうな…)


 後悔しているのか、と聞かれれば、確実に後悔していた。


 思い起こせば、初めてリバイブ・ハンターが発動した時もそうだった。蘇生した直後は、ひどく好戦的になり、殺戮衝動を抑えられなくなる気がする。あの時も、殺さなくても良かった死体処理班を殺した。



(闇の閃光か…。その内、周防光輝(おれ)ブライト(オレ)に呑み込まれるんじゃ無いだろうな?)


 訳の分からない不安に襲われていると、崇彦が話し掛けて来た。


「よう、元気無いなー。彼女が休みだからってよぅ」


「…そんなんじゃねえよ」


 崇彦は、寝そべった光輝の隣に座ると、特に喋る事無く、ただボ~っと空を眺めていた。



 何も言わず、只隣にいる。普段底抜けに明るい崇彦には珍しいなと光輝は思う。


「…お前こそ、今日はおとなしいじゃねーか?」


「ん?まあな。俺だってセンチメンタルな気分に浸る事だってあるさ」


「へ~。お前がねぇ。明日は雪が降るな…」


「ハハハッ、んじゃ俺は雪だるま作るぜ!」


 何気無い会話だったが、大量殺人者となってしまい、暗く沈んだ気持ちが少しだけ軽くなった。



「…そうだ。おい光輝!折角風香ちゃんがいないんだ!放課後ちょっと付き合えよ!」


「ん?そうだな…たまには良いぞ。何するんだ?」


「ぐふふふ、それはあとでのお楽しみ!」


「…吉田はやめろよ?あれ、トラウマなんだから…」


「違うって!それに、最近吉田達もすっかり大人しくなっちまって、もうお前に付きまとう事も無いんじゃないか?」


「そういや、この頃は結構普通に女子に話し掛けられるもんな…」


「と、云う訳で!気兼ね無くお前を誘えるって訳よ!グフフフフッ…」


 何が気兼ね無くなのかは分からないが、取り敢えず崇彦の誘いに乗ってみる事にした…。




 ―そして放課後。



「おい崇彦。男二人でカラオケかよ?」


「まあまあ、騙されたと思って!」


 光輝は崇彦に連れられ、カラオケボックスにやって来た。


(男二人でカラオケって、なんか寂しくないか?……仕方ねえなぁ、気分転換だと割り切って、思いきり歌うか!)



 何を歌おうか考えながら崇彦に着いて行く。すると…


「お待たせー!美沙子ちゃん!」


「あ!やっと来たー!遅いよ崇彦くん!」


 そこには、既に三人の女子高生が受け付け前で崇彦達を待っていた。



(……ん?女の子が、ひぃふぅみぃ…三人!?)


 光輝は慌てて崇彦の腕を掴み、小声で詰め寄った。


「おい!これどういう事だよ!?」


「いや~、俺、あの美沙子ちゃんって娘といい感じでさ。話の流れで合コンしようってなった訳。で、絶対カッコいい奴連れて来いって言われたからさ…」


「だからってなんで俺なんだよ!?他にもいるだろが!」


「いや!最近の社交的になったお前は、比呂に劣らず人気があるんだぜ?何故か吉田達の妨害も無くなったみたいでさ。だからさー!親友を助けると思って…な?」


 言われて、光輝の頭に風香の顔が過った。だがしかし!彼は女の子は嫌いではない。むしろ大好きだ。常日頃の比呂のハーレムっぷりも、実は羨ましくて仕方がなかった程に。



「…一つ貸しだぞ?」


「おお!心の友よ!」


(まあ、たまにはいいか。…ん?たまには?…いやいやいや、俺、異性とカラオケ来んの初めてだわ!)


 そう意識してしまうと途端に緊張してしまった光輝は、何も喋らないまま部屋へと移動するのだった。



 案内された個室のソファーはコの字になっており、入口から右側にギャル系の美沙子ちゃん、崇彦、正面側に清楚系の舞ちゃん、光輝、左側にショートカット美人の瑠美ちゃんが一人となっている。



「へ~、光輝君って言うんだ~。崇彦君が言うように、確かにカッコいいかも~!ね、舞!」


「そうだね…あ、私は舞って言います。宜しくね」


「アタシは美沙子~!宜しくね~!ほら、瑠美も自己紹介!」


「…ああ、私は良いから、四人で楽しくやってよ」


「あれあれ~?瑠美ちゃんは、元気無いね~?」


「ゴメンね崇彦君。瑠美、ちょっと今日元気なくってさ。心配になって、連れて来ちゃったの」


「そうなんだ~。じゃあさ、思い切り歌って盛り上がって元気になろー!」


「イエーイ!楽しもー!」



 どうやら三人とも学年は光輝達よりひとつ上の高校三年生と云う事らしい。歳上のお姉さんも嫌いじゃない光輝の緊張度は更に上がった。

 なので、美沙子と崇彦が盛り上がってる間、光輝は緊張で頭の中が真っ白になっていた。当然、女子を直視出来ていない。


(両手に女の子()!?どうすんのよ!?くそぅ…俺にはハーレム耐性は無かったのか!?そうだ、こんな時は唄だ!唄を歌って緊張を解そう!)



 その後、それぞれのドリンクを頼み、暫し会話を楽しむ。…と言っても、会話してるのは崇彦と美沙子のみ。


 光輝も、唄を歌いたい気持ちはあるのだが、電子リモコンが美沙子の下にあり、中々リクエスト出来ずに困り果てていた。



「…あの、光輝君って、趣味とかあるの?」


「…あひ?あ、俺?」


 突然、舞に話し掛けられて声が上ずってしまう。


(恥ずっ!でも、何事も無かった様に…。)


「し、趣味、ですか?えっと…俺、ヒーロー物なら全般的に好きですよ?」


「……え?」


 不思議な人を見る目で光輝を見る舞。


(何言ってんだ俺ーっ!女子高生にヒーロー物の話って!ドン引きされた!)



 すると、何故か左側に座っていた瑠美が、ヒーローの話に食い付いて来た。


「へ~。ヒーロー物好きなんだ?どういうのが好きなの?」


(お?話が膨らんだ?よし…ヒーロー物の話ならいくらでも語れるぜ!)



 光輝は瑠美の方を向いて語り始める。今まで緊張から女の子達の顔をよく見ていなかったのだ。


「戦隊物も良いけど、やっぱり俺は“仮面ニンジャーシリーズ”が………あ?」


 そこには、髪の色こそ茶髪だったが、昨日一緒に死地を潜り抜けた、“ティザー”がいたのだった。

※タ行U汰さん。 『仮面ニンジャー』。採用させてイタダキマシタm(__)m

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