第20話 漆黒の鳥人
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黒夢の一員になってから3日。休日の土曜日に、光輝は再び黒夢のアジトへやって来た。
黒夢のアジトは全国各地に6箇所存在し、現在光輝がいるアジトは本部となっている。
本部は地下5階で形成されており、郊外のショッピングモールと同等の広さだった。
黒夢では身バレしたくない為、光輝は現在、帽子・サングラス・マスクの3点セットで顔を隠している。トンキホーテで買ったコスプレグッズが全て桐生との戦闘で破壊されたからである。
「君がブライトかい?」
入口でボーッとしていると、一人の優男が話し掛けて来た。優男は金髪の欧米人の様だ。
「ブライト?…ブライト!イエス、ブライト!」
ブライトと呼ばれたが、一瞬自分の事だと気付かなくて焦る光輝。因みに彼の英語力は御察しだ。
「僕、日本語ペラペーラーだから、日本語でダイジョブよー」
「あ…すんません」
「さて、早速だけど自己紹介を。僕の名前は『ライン』。主にこの本部の任務関連を担当してるんだ。宜しくね」
「はい、よろしくお願いします」
「Oh~、ブライトは礼儀正しいねー。ボスの話だと、将来有望な期待のルーキーって話だったから、どんな横柄な奴が来るんだろうと思ってたけど、ブライトなら大歓迎だYo」
ラインに親しげにハグられる。男にハグられてもな~と思いつつ、一応先輩なので我慢した。
「さて、早速だけど、君の新しい装備を用意してるから。着いてきて~」
装備?確かにトンキホーテ産の装備は一日にして使用不可になってしまったから、ボスがお詫びに用意してくれたのだろうか?と、期待する光輝。
ラインに連れられてやって来たのは、古今東西あらゆる武器防具が陳列されているショップの様な部屋だった。
「『シド』さ~ん!ボスが頼んどいたルーキーの装備出来てる~?」
ラインが叫ぶと、ショップの奥からズングリムックリだがマッチョなおじさんが出てきた。
「出来とるわい。…お前さんがブライトか?早速じゃが、着てみい」
そう言うと、シドは光輝に装備が一式入っているであろうボックスを手渡す。
「あっちが試着室じゃ。早よ着て感想を聞かせい」
有無を言わせないシドに流されるまま、光輝は試着室へと入って行った。
「強引なオッサンだなぁ。考えたら、まだ挨拶もしてないっつーのに」
愚痴を言いながらも、光輝は早速渡された装備を取り出す。
装備は全体的に軽い素材で出来ており、機動力を重視してたタイトな造りだった。だが、素材に使われている繊維が頑丈で、造りはしっかりしている。…マントを広げると、背中から腕にかけて羽根が生えてる様に見えるのには疑問だが。
頭部はオープンフェイス型のヘルメット様な形にだが、真っ黒な上形が鳥をモチーフにしている様にも見える。
「闇の閃光・ブライトねぇ…。これ、なんかネイチャー・ストレンジャーのコスチュームに似てるな。まあ、正義の味方とは絶対に言えないだろうけど…」
光輝にとってネイチャー・ストレンジャーは密かに憧れだったのだが、このスーツは似てはいるのだが微妙に禍々しいと云うか…自分の想い描いてたヒーロー像とはかけ離れた姿だったが、これはこれで中二大好きの光輝は気に入った。
試着室を出ると、シドは満足気に微笑み、ラインはちょっとだけ笑っている。
「ブライト、カラスみたい」
「…俺もそう思った」
「何を言うか。辰一郎からは機動力重視で、且つ、衝撃を吸収する装備と聞いておったんでなあ。外見も、“漆黒の鳥人”っぽくと言われておったんじゃ」
光輝の能力を知っているボスが監修した装備。だとすると、性能に間違いは無いのだろうが、漆黒の鳥人で依頼を出し、このボディースーツを造るとは、ボスもシドも大したセンスである。
(漆黒の鳥人って…あの人もこの人も、どんだけ中二なんだよ。まあ、俺も嫌いじゃ無いけども…)
「そのグローブは衝撃を25%カットする仕様じゃ。思う存分殴れるぞい。ブーツも同様じゃ。
そのマントも頑丈なだけで無く、自力で羽ばたいて風を利用すれば飛行も可能じゃ。
ヘルメットは中に無線機能が着いておるから、何時でも本部との連絡が可能だし、スイッチ一つで赤外線モードも搭載しとるから、暗闇も安心じゃ。
更に!全身が耐火、耐電、耐衝撃、耐斬撃のスペシャル仕様じゃ!」
あらゆる衝撃を殺す仕様。確実にスピード・スターに適した装備なのだろう。その上、各種耐性が付いてるのだ。
トンキホーテのコスプレの替わりにこんな立派な物をくれるなんてと、光輝はボスに心の中で感謝する。
「さて、今回の装備じゃが、ブーツとグローブがセットで3000万円、ボディースーツは3300万円、マントが1600万円、ヘルメットが2600万円じゃ」
「…っと待った!!これ、プレゼントじゃ無いの!?つか、合計で…1億円!?払えるかっ!!」
「何を言う?これでも桐生の頼みだから価格を半額にしとるんじゃぞ?心配せんでも、お主の任務の成功報酬から天引きするから、安心して使え」
「つか、どんだけ任務成功しなきゃいけないんだよ!?」
いきなり1億の借金を容認出来る程光輝の家は裕福では無いので、驚くのは当然だった。
すると、安心させるようにラインが頬笑む。
「心配しなくても大丈夫だよ。仮に、毎回の成功報酬から20パーセントを支払いに充てるとして、黒夢の任務の平均単価で計算すると500回位任務をクリアすれば大丈夫だから」
「500回!?俺は週末しか働けないんだぞ!?何年かかるんだよ!」
「なら単価の高い任務をこなすしかないけど、当然難易度も上がるからなぁ。それに、難しい任務は新人には回って来ないだろうから、早く実力を証明してくしか無いんじゃないかな?」
「ええ~…マジっスカ…。」
借金を早く返す為には、より多く高難易度の任務をこなす必要がある。しかし、この案は光輝にとって良策では無かった。
元来、光輝はゲームのRPGでも、ボスと戦う前に絶対勝てるレベルまで上げてから挑むタイプだったのだ。
そんな慎重派の光輝にとって、リバイブ・ハンターの能力も解明してない現状で、いきなり高難易度の任務に挑むのは出来ればしたくない選択肢なのである。
(やっぱり最初はコツコツと簡単な任務で経験を積もう。借金ったって請求期限がある訳でも無いだろうし)
「ちなみに、利息は10日で一割じゃから、早よ払えよ」
「利息あんのかよ!どんだけガメついんだこのクソジジイ!」
「なんじゃと!?もういっぺん言ってみろクソガキ!」
睨み合う光輝とシド。それを笑いながら眺めるライン。
…なんにしても、この日から光輝は半強制的に任務をこなさなければならなくなったのだ。
ガッチャマンなの?バットマンなの?どっちがモデルなの!?…黒い鷹です。
そして、活動報告の方で、主人公・周防光輝と、ブライト時のイメージイラストを公開しています。こちらに乗せるにはとてもお粗末な出来なので…。宜しければご覧ください。
また、本編を気に入って頂けた方は、是非ブクマ・評価・感想・レビューを宜しくお願いします!
宜しければ此方もどうぞ!
そろそろ告知はもういいかな?タイムスリップしたサッカー物語です。
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