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第171話 最終形態

 アンノウンと光輝。 


 攻撃力。 防御力。 機動力。 そして、再生能力。


 ここまでは、そのどれもがほぼ互角。


 突き抜けた力と力のぶつかり合いには、もはや戦術など意味を為さない。


 地球上の全生物の頂点を決める二人の戦いは、一進一退の攻防が続いていた。



「驚いたよ……まさかたった一人で、この私とまともに戦える人間がいたとはな。 ……失礼、君はもうフェノムだったな」


「あくまで星の意志の棲み分けだろ? 俺は人間だ」


 避けられた光輝の拳が地面を砕く。


「君が人間だったなら、星のバランスの面では問題なかったんだがな。 まあ、星の気紛れで私たち二人はどのみち邪魔な存在になってしまったのだから、どっちでも良いがな」


「だったらテメーも大人しく消えればいいんじゃねーのか?」


「……違うんだよ、君とは。 私はねえ、端的とはいえ星と意志の疎通が出来る唯一の存在だったのだ。 君たちリバイブ・ハンターを生む様に願えば叶えてくれた様にね。 なのに、星は私を見限ったのだ……気紛れでね。 いわば、星への復讐だよ。 リセットしたくばすればいい。 だが、それまで私は好きに生きてやるのだ……私たちに与えられた本能に従って」


「チッ、女々しいだけじゃねーか」


「女々しい? フッフッフ、それも人間だった頃の名残りかな。 さて、お遊びはここまでにしよう……」



 アンノウンが一旦大きく間合いを取る。


「私は一対一でまともに戦った事が無かったのでね……少し遊んでしまった。 だが、もういい」


 アンノウンから、一際強大なオーラが溢れ出る……。


「なるほどね。 今までのは本気じゃなかったみたいだな」


「その通り……。 とくと見よ、私が人間になった事で手に入れる事が出来た最終形態を!」



 アルマゲドンの第一形態は、真っ白なマネキンの様な人型。


 第二形態は、人型ベースに角や翼が生えていた。


 そして最終形態……。



「くっ!?」


 あまりの眩しさに、光輝は思わず目を覆った。


「……なっ……?」


 ……そして、気が付くと、アンノウンの腕が光輝の肩を貫いていた。 瞬時に避けていなければ、確実に頭部を貫通していたであろう。


「フッフッフッ……これが最終形態だ……」


 その姿は、第一形態とフランキーの姿がミックスされた、白銀だが限りなく人間に近い外見だった。



「ぐっ……うらあっ!」


 前蹴りでアンノウンを押し返し、フラッシュで間合いを取りながら直ぐ様セルフレイムで肩を治療する。


(クソッ……見えなかった! 一先ず回復するまで逃げるしかない!)


 先程まではスピードも互角だった。 逃げに徹すれば、回復するまでは問題ないと判断していたのだが……


「最終形態を舐めてもらっちゃ困るな?」


 アンノウンは、一定の距離を保っていた光輝のフラッシュにアッサリと追い付いて来た。


「なんだと!?」


 そして、蹴りで光輝を宙に舞い上げると、先回りしてエルボーで地面に叩き付けた。


「がはぁっ!?」



 静かに着地したアンノウンが光輝を見下ろす。


「あまりにも呆気ないから、治療する時間をくれてやろうか」


(舐めやがってっ……!)


 久しく感じた事のなかった屈辱。 それでも、今の光輝にはアンノウンの申し出通り、自らのダメージを回復するしかなかった。



「……一分か。 もう回復したのかい?」


「おかげさまでな。 ……絶対に後悔させてやる」


 再度ゴールド・キングダムを発動。 熟練度を上げた事で、五倍に身体能力が上がる。


「手の内を隠してたのは、おまえだけじゃない!」


 黄金のオーラを纏った光輝がアンノウンに飛び掛かる。 それを、白銀のオーラを纏ったアンノウンが迎え撃つ。



 光輝のラッシュは先程までよりパワーもスピードも格段に上がっている。 だが、アンノウンは余裕で全てを捌いていた。


「ほほう、本当に大したものだ。 だが……」


「!?」


 光輝の右ストレートに、アンノウンがカウンターで右フックを左側頭部に合わせた。


「あがっ……」


 ロンズデーライトによる目元の武装が簡単に破壊され、光輝の視界が歪む。


「確かに、お互い手の内を隠してはいた訳だが、その隠していた実力に差があり過ぎたようだな」


 アンノウンが追撃の膝蹴りで光輝の顎をかち上げる。 数十メートルふっ飛ばされた光輝は、起き上がる事が出来ずもがいていた。



「がはっ! ハァ、ハァ、ハァ……」


「もう打つ手無しだろう? このまま続けても可哀想なだけだし、いっそ楽にしてやろうか?」


 一歩、また一歩と、アンノウンが光輝に歩み寄る。


「まだ……まだだ。 まだ、負けてねぇぞ……」


 必死でセル・ホワイトを発動しながら、光輝は立ち上がろうとするが……気付けば目の前にアンノウンが立っていた。


「往生際が悪いね。 これでも私は、まだ全然本気を出してないんだがね?」


 そして、中腰の光輝を蹴り飛ばす。



 仰向けに倒された光輝は、絶望的なまでの力の差に、愕然とするしかなかった。


(まさか、こんなにも差があったなんて……)


「驚いてる様だね。 実は、私も驚いてるんだ……この最終形態の圧倒的なまでのパワーにね」


「かはっ……それだけの力があって、なんで第一次ハルマゲドンで、封印なんてされたんだよ?」


「ふむ……実は、この力はフランキーという人間として過ごした時間によって到達出来た形態なんだよ。 あの時にこの力を手に入れていれば、封印などされず、鬼島や桐生もまとめて殺せていただろうな」


 なんとか立ち上がった光輝は、まだ定まらない視点でアンノウンを睨みつける。


「へっ……まいったな。 全然勝てる気がしねーよ」


「諦めたか? まあ、これだけ歴然とした実力差があれば、諦めざるを得ないだろうがね」


「誰が諦めるって言った? まだ、俺はやれるぜ?」



 ……その時、地面が揺れ出した。


「地震? ……ではないな。 なら、君の力かい?」


「ああ……そうだ。 ワールド・マスター、発動!」


 比呂のギフトであるワールド・マスターは、なんでも出来るのだが、その為にはかなりの知識と想像力、そして創造力を要する。


 はじめは使い勝手の悪さから、ワールド・マスターは対アンノウンには使わないつもりだった。


 だが、ある一つを支配する事に集中する事で、切り札となるかもしれないと考えたのだ。



「なあ、アンノウン。 この星で最も殺傷力の高い自然現象って、なんだと思う?」


「何をいきなり……」


「水か? 風か? 火か? そのどれもが、普通の生物になら致命的なダメージとなるだろうけど、俺たちにはそうでもないよな?」


「……何が言いたい?」


 光輝の目に宿る自信に、アンノウンの脳裏に一抹の不安が過ぎる。


「考えたんだ。 星がリセットする時に、この地球でどんな現象が起こるのかを。 当然、星は俺たちを消したい訳なんだから、俺たちでも耐えられない自然現象を起こすんだろう。 それが何か……」


「……まさかとは思うが……」


 アンノウンは、決戦の場所を此処にした事が光輝にとって有利に働いた事を悟る。


「そうだ……マグマだ!!」


 アンノウンの足下の地面が割れ、マグマが吹き出す。


「やはりな。 だが、それがどうし……なっ!?」


 マグマはアンノウンを包み込みながら、空高く吹き出した。


「恐竜を絶滅させた切っ掛けを作ったのも、最初はマグマだった。 そして、幸いにも此処は活火山。 だから俺は、マグマを支配するシミュレーションを繰り返して来たんだ!!」

起死回生の策は、アンノウンに確かなダメージを与える。そして、いよいよ戦いは最終局面を迎える……。


次回 『ラストバトル』

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