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第17話 黒夢

『…リバイブ・ハンターの能力発動により、“ロンズデーライト”を習得しました』




 …目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。光輝はそこで、リバイブ・ハンターが発動してくれた事に安堵する。


 砕けた拳や、同じくカウンターで砕けた顎、壁にぶつかった事による全身の骨折も、綺麗に治っている。


(リバイブ・ハンター様々だな。こりゃやっぱスゲーチート能力だわ)


 蘇り、身体が回復した上に、あの男の能力まで習得した。光輝は賭けに勝ったのだ。



「おっ?目が覚めたかい?」


 驚いて声の方を振り向くと、そこには眼鏡を掛けた白衣の女性がいた。


(あれ?どこここ?…廃虚じゃない!あの男は!?)


「安心しなよ。危害は加えないからさ」


「……ここは、何処ですか?」


「フフッ、貴方が戦った男がボスをしている組織のアジトよ」


 そうは言われても、光輝の頭の中で事実関係が上手く纏まらなかった。


 自分は確かにラスボスの様な男と戦い、一度は死んだ。カウンターを喰らった瞬間に即死していたので、それ以降の状況はサッパリだ。なので、敵対していたあのラスボスの組織にいると言われても意味が分からない。何故、自分はラスボスのアジトに連れて来られたのか?



(あの男が組織のボス?じゃあ俺、もしかして、これから拷問でも受けるのか?)


「だから、そんな青い顔してビビらなくても良いって。ボスが貴方をここに連れて来たのは、()()()()()()()()()()()()よ」


「え?気に入った?なんで?」


「それはボスに聞きなさい。目が覚めたら部屋に来させる様に言われてるから」


「……嫌です」


 光輝は女医の言う事が信じられなかった。何より、実際に一度はあの男に殺されてるのだ。あっという間の出来事で死んだと云う認識すら出来なかったのはある意味良かったのだが…。

 なにより、自分は死ぬ程のダメージを受けたのに無傷で生き返ってる。こんな理不尽、何らかのギフト能力だと勘繰られても不思議では無い。

 下手すれば、リバイブ・ハンターの事を根掘り葉掘り問いただされるかもしれないと思ったのだ。



「それにしても…ボスに聞いた話だと、結構な怪我をしてたのにあっという間に治ったらしいわね。貴方、回復系の能力者なのかしら?気になるわね…」


 光輝の胸が驚きでドキッと高鳴る。


「…ああ、言いたく無ければ言わなくても大丈夫よ。組織(ここ)じゃあ他人のギフトを()()()()詮索したりしないから。()()()()()()


「え?そうなの?」


「ええ。ま、時と場合によるけど、それでも基本的には無理強いしないわ。さ、怪我も無さそうだし、ボスの所に案内するから着いてきて」


(マジで…?なんか嫌なんだけど、これ行かないと駄目なパターンだよな…)



 ボスの部屋へ向かう際中、光輝は白衣の美女に色々と話を聞いてみた。

 彼女の名前は『阿左美(あさみ)』と云って、組織の医務を担当しているそうだ。


 組織の名は『黒夢(くろゆめ)』。


 ここは地下らしく、広さはかなりの物で、郊外のショッピングモール(イ◯ン)程。場所は今は人が住んでいない旧東京都の八王子市らしい。



 そして、光輝が戦った男がこの組織のボス、桐生辰一郎だと云う事。


 組織の構成員はかなり多いらしく、世界でも五本の指に入る程のフィルズ(犯罪者)組織なのだそうだ。


「もうね、ウチのボスは変わり者だから。今回も、「ちょっと暇だから刑務所に遊びに行って来る」って言って本当に投降しちゃうんだから。ま、一週間で飽きて戻って来たんだけど」


(…なんだそれ?只のアホじゃないか?でも、結局飽きて脱走したんだよな…。そんな理由で死んだ警官達は報われないな…)



「さ、着いたわよ」


 阿左美がボスの部屋の扉を開けると、見た感じ50代のナイスミドルがソファーに座っていた。


「よう、起きたか。早かったな。まあ座れ」


 光輝は促されるまま、「失礼します…」と言ってテーブルを挟んで桐生の向かいのソファーに腰を降ろす。



 ドクンと…心臓が高鳴る。


 それは、桐生に対する殺意と、それ以上の恐怖が合わさった不思議な感情だったのだが、光輝は自分では気付けなかった。


 そんな不思議な感情を抱き、全身からブワッと汗をかきはじめた光輝は桐生を見る。先程は全身黒い姿だったから、顔を見るのは初めてだったのだ。


「ん?ああ、そういえばお前は俺の能力発動時の姿しか見てなかったな。

 改めて自己紹介でもしようか。俺の名は桐生。この黒夢のボスだ」


「俺は…あ…えっと…」


 釣られて自己紹介しようとしたが、ここで正体を晒しても良いのか不安になり、言い淀む。



「…言いたくなければ強制はしない。なら、早速本題に入るか」


 桐生の表情が引き締まった。それだけで、光輝は背筋がゾクッとしてしまった。


(…やっぱこの人ラスボスだよ。名前、今からでも言おうかな…)


 桐生の能力を習得したにも関わらず、光輝がここまで弱気になるのには理由がある。


 スピード・スターも、発動のコツを掴むまで時間が掛かった。インビジブル・スラッシュも、冴嶋の放った斬撃と比べれば、威力も射程もまだ雲泥の差があるだろう。


 そして、まだ発動もしていないが、感覚で分かる。ロンズデーライトの能力は、今の自分では到底扱える自信が無い事を。

 仮に、桐生がやった様に全身を硬化したり、黒い壁を出現させるなど、どれだけの努力と時間を費やせば良いのか予測すら出来ないのだ。



「単刀直入に言おう。()()()()()()()()()()()?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに読み返したけど組織の名前ずっと、こくむって読んでたわ、くろゆめって読むのか、、、、、
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