閑話 フェノム再来
皆様お待たせしました……いや、お待たせし過ぎたかもしれません。
…………ん?もう忘れてた?
すみません、今日から不定期ではありますが、また細々と更新して行きますので、気が向いたら読んでみて下さい。
2072年1月1日、世界は再び、フェノムの恐怖を知った……。
突如、世界各地に出現したブラックホールからは、これまで20年もの間存在自体が確認されなかった危険度レベル7を超えるフェノムが次々と出現し、人々を襲い始めたのだ。
これに対し、人類もスペシャリスト達を筆頭にフェノム撃退に動くも、国によっての戦力の偏りと、何より有象無象に現れる高レベルのフェノムに対して、対抗できる実力のスペシャリストが圧倒的に足りず、国としての機能が崩壊する国も出始めた。
そして日本では……。
フェノム再来の三ヶ月前、時の総理大臣他19名を殺害した日本最大のフィルズ組織黒夢のナンバー1・ブライトを、同組織黒夢のトップである桐生辰一郎が粛清。
更には爆弾テロも黒夢を裏切ったブライトが陽炎と手を組んで行ったとされ、ブライトの名は完全に地に堕ちてしまった。
その後、新たに総理大臣に就任した徳川幸之助の下、国防軍の実質的トップである財前敏明と、ブライトを粛清してテロを沈静化させた黒夢の桐生が手を組み、これまであった国内におけるギフト能力者に対する差別や偏見を一掃しうる法案が国会に提出された。
当然この法案には多くの反対意見が飛び交った。一時はヒーローとして知名度を得たブライトのテロも影響し、世論も反対派が僅かに上回っている状況だったのだが、そんな最中に世界中でフェノムが再来した事で状況が一変する。
徳川の指令により強行された国防軍と黒夢を含む桐生に賛同した能力者たちによる連合軍は、いち早く国内のフェノムを殲滅。
日本は世界的に見ても、最もフェノム再来における被害が少ない国となり、国民も徳川の法案を認めざるを得ない風潮が流れ、反対派の議員達を圧迫していた。
これにより、桐生が長年思い描いた目的は、実現を待つだけの形になったのだった……。
――東北地方、仙台市
日本各地に現れたブラックホール。だが、東北地方最大の居住エリアである仙台市近辺にはブラックホールの出現は確認されず、フェノムによる被害が無かった。これは、日本国内の主要居住エリアでは唯一の事だった。
原因は分かっていない。それに、当初は国も特に深く調べようとはしなかった。危機がなかったのであれば、それに越した事は無いのだから。
だが、ブラックホールは出現していたのだ。仙台市から少し離れた山中に。他の地域に出現したフェノムと同じく、危険度レベルの高いフェノムが。
もし、このフェノム達が山を降り、居住エリアである仙台市に襲来していれば、犠牲者の数は計り知れないものとなっていたであろう。しかし、フェノム達は山を降りる事はなかった……いや、出来なかったのだ。
自我を失い、もはや戦うだけの獣となり、目の前の敵を手当たり次第に殲滅する事しか出来なくなった漆黒の悪魔の手によって……。
2072年4月。
一先ずは国内のフェノムを制圧し終えた国防軍・華撃隊に、仙台市近辺の調査の任務が下された。
本来、近辺調査などの任務は、華撃隊の様な一線で活躍している隊に回ってくる様な任務では無い。
華撃隊は黒夢と陽炎との抗争の際、交戦の末に、全員生存はしていたものの全滅。みすみす爆弾を一ヶ所で爆発させてしまった事で、大きく評価を落とした。
その上、隊長である水谷風香は、相対した黒夢のヴァンデッダによる精神攻撃によりダメージを受け、半年以上経った現在でもどこか本調子ではなかった。それは、ブライトが粛清された事も影響を与えていたのだが。
更には、隊の一員である浅倉梓が、風香に対して反感を示し、隊全体がギクシャクしてしまい、以前の様な活躍が出来なくなった事より、今回の指令が下されたのだった。
変わってしまった世界……。
そして、ここから物語は終幕へ向けて加速し始める。
人類とフェノムによる二度目の……いや、最後の決戦が、もうすぐ始まろうとしているのだから……。
第六章の内容を大幅にカットしちゃいましたが、何が起こったのかは今後補填して語る予定です。なんとか完走目指しますのでヨロシクですm(__)m
また、書籍も発売中なので、よかったら買ってくれい(*´-`)