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~密輸~4/4

 潮風が強く、仁科の背中を押す。


 生きて……帰りたい!


 仁科は立ち上がる。突然の行動に、銃口を向けていた男は、一瞬銃口を離してしまう。仁科は、その拳銃を持った腕を掴み、空に向ける。一発、二発、薬莢が落ちなくなるまで、空に向かって発砲。仁科の背中に、膝蹴りが襲う。倒れる。転がり、姿勢を立て直す。上段蹴りが炸裂。それは、かつてバトル部に有里を誘ったときに見せて貰った、思い出の技だ。上段蹴りは男の首筋にめり込み、首が九十度ほど曲がり、男は吹き飛ぶ。そして砂浜に倒れ込む。


「うっくそ!」


 叫びが聞こえ仁科が振り向くと、用務員と筋骨隆々の外国人が取っ組み合いになっている。


「おじさん、離れて!」


 仁科は走る。そして外国人の寸前で砂浜を踏み切り、跳び蹴りをかます。外国人は吹っ飛び、砂浜にめり込む。しかし、すぐに立ち上がる外国人。一瞬で仁科に間合いを詰める。重い拳が仁科の腹に打ち込まれる。


「ぐふう!」


仁科は地面にのたれた。頭上の外国人から、仁科にも分かる汚い言葉が浴びせられる。

カチャ。

拳銃の押さえを外す音だ。


「生きて帰る、生きて帰る、生きて帰る! 絶対に――――」


仁科は立ち上がる。


「皆で部活動をするんだ!」


 拳がいつもの、数倍の速さで外国人に襲いかかる。仁科の拳はその意思のように硬く、骨を砕く音とともに、外国人のあばらに激突した。倒れ込む外国人。遠くから、パトカーのサイレンが聞こえてくる。


「来たんだ……!」


 仁科はあたりを見渡す。有里、新藤、富枝、用務員。それから一緒に逃げ回った私服警官。彼らは拳を構え、その周りには、たくさんの男たちが倒れていた。






「君たち、大丈夫か!」


 パトカーから降りてきた警官が駆けつける。


「ええ」


 仁科はそっけなく答えた。安心で、体の力が抜ける。

「どうしてこいつらが倒れているか、教えてもらえるか?」

「俺たちが、頑張って倒しました」


 仁科は、駆けつけた警官に、状況を説明する。


「危険なことをするんじゃない! こういうときは警察を待つこと!」


 ものすごい剣幕の警官に、仁科は目を見開く。


「すみません……」

「しかしね、生きてて良かった! まさか外国人マフィアと殴り合いで勝つなんて、とんでもないことだよ!」






 その後、記者たちが押しかけて来た。学校にも大量の記者たちが押し寄せる。


「しばらく、活動を休止しよう」


 昼休みの廊下。仁科は有里と新藤、富枝を集めて離した。


「おじさんには話したんだ」

「休むだけだからね」


 有里は微笑んだ。新藤と富枝も、静かにうなずいている。

 春の暖かな日差しが、窓から差し込む。バトル部の奮闘記は、まだまだ始まったばかりだ――――






おしまい


これにてエンドとなります。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!

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