表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

とりあえず、驚け。

挿絵(By みてみん)


 それは、とある夏の暑い夜のことだった。


 冷房のタイマーが切れて、暑さに目が覚めた。


 一晩中つけっぱなしは気が引けるのでタイマーをセットするのだが、スイッチが切れてしまう都度、起きてしまう。


 あと2時間ぐらい延長しよう。

 俺は暗闇の中、リモコンを探した。


 すると。

 むにっ、と柔らかいものが手に当たった。


 猫か……?

 

 寒い冬なら、布団に潜りこんできてくれるのは大歓迎だが、熱帯夜にはカンベンしてもらいたい。


 とりあえず床に降りてもらおう。俺は猫の首根っこを探して手さぐりする。

 なんだかちょっと、違和感。


 と、同時に「にゃー!!」と、声がした。


 続いて、

「ご主人様のバカ!!」と、女の子の声で日本語が聞こえた。

 はい? 


 誰だ、ご主人様って。

 俺のことか?


 とりあえず、電気を点けよう。


挿絵(By みてみん)


 気がつくと目の前に、褐色の髪と明るい緑の瞳をした女の子が座っている。


 その上、よく見ると妙な格好をしている。コスプレか?


 いくら暑いからって、腹を出すような格好は見苦しいぞ。


 だいたい、そんな服装で外を歩いてたら通報もんだ。


 それに、なんだよ。

 猫みたいな耳を生やして、ご丁寧に尻尾まで……。



 その時になって初めて、俺は異様な事態に気がついた。

「えっと……どちら様?」


 女の子は何を今さら、と言う顔をして答える。

「メイだよ」

「ああ、うちの猫もそういう名前」

「だから私、その猫のメイだって」

「……」

「……」


「……頭、大丈夫? そもそも、どこから入ってきたんだ? お家はどこ?」

 何を言ってやがる。

 どう見たって人間の女の子じゃねぇか。


 ちょっと妙な格好をした、ややイタい感じのな……。


「お家? ここだよ」

「あのな……」


 最後に帰って来たのは誰だ? 姉さんか? 

 玄関の鍵をかけ忘れたんだろうか。

 まったく、不用心なんだから……。


 その時。

「ご主人様、お目覚めですか?」

 背後から違った女の子の声がした。


 俺はおそるおそる振り返る。薄い紫色のロングヘアに、深い緑の目。やはり猫の耳と尻尾がついている。


 お目覚めも何も、起きているのか夢を見ているのかはっきりしない。


「プリン~!! さっきご主人様が私の胸、触ったんだよ?!」

 えっ?!

 どうりで、なんかいつもと手触りが違うと思った。


「メイ、それは事故よ。うちのご主人様は、そういうキャラじゃないから」

「むー……」

 おい、お前らが俺のキャラを語るのか?


「えっと……?」

「私、プリンです」


 確かに、家には二匹猫がいる。

 一匹はメイと言う名前で、もう一匹はプリンと名付けた。が……。


「驚いていらっしゃいますね。でも、これは現実ですよ?」

 嘘だ。


 なんで猫が人間の格好……それもコスプレみたいな衣装で、日本語をしゃべるんだ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ