連続殺人事件
あなたの細い髪の毛、つぶらな瞳、滑らかな口元、全部あなたの事が好きだった。
でも、今こうして見ているのはどうだろうか? 何とも醜い姿になってしまっている。そもそも、自分の握っているこの刃物が悪いのだ。こんなものをいつも持ち歩いているからダメなんだよ、きっと。
自分はあなたを死ぬほど愛していた。あなたがいない世界なんてつまらない。でも、自分もそっちへ行こうとは思いもしない。だって、あなたが悪いのだから。自分の気持ちを裏切るような行動を取ったあなたが悪いのだから。
そのすぐ、足の横には見るも無残な姿となった人と思われる塊があった。見ただけでは男か女かも分からないぐらいに、切り刻まれていて血の海となっていた。
犯人と思われるその人物の手に握られている刃物から、血と思われるものが一適一滴、ゆっくりと地面に落ちていった。
そして、その犯人と思われる人物はゆっくりとその変死体から離れていった。犯行に使ったと思われる刃物は、置いては行かずそのままぎっちりと手に握っていたのだった……。
よく見ると、その変死体の右腕に、文字が深く刻まれていた。
その、死体の人物に送るメッセージのように。
もしも、あなたに自分が敗れるというのならば……
自分は殺されるまで逃げ続けます。
その文字の刻まれた腕についているはずの手首は、死体が発見させられても、まだその手だけは見つかっていなかった。