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 第26話 「比企景虎」

 神和の趨勢はいよいよもって、豊田藩に傾いている。

 しかし、時満ちれども、一向に豊田藩に上洛する気配がない。


 もちろん、豊田藩主長柄による「英留府」上洛も間近との噂もあったが、逆にそれを否定する噂もある。情報が錯綜し、多くの藩が政策決定に支障を来たし始めていた。


 それは天下の大藩、比企藩でも同じであった。

 

 藩の政策は富国なら富国、強兵なら強兵と、シンプルであればある程良い。天下分け目の決戦が控えているのなら強兵に勤めるべきだし、長柄が上洛し、天下の大号令を発布すのなら、戦は終結なのだから、富国、つまり豊田幕府開闢(かいびゃく)後の藩政を考えるべきだ。

 

 それが、上洛するかもしれないし、大戦になるかもしれない、などとどっちつかずの状況が長く続くと、藩政的にも、予算的にも、精神的にも、あらゆる意味で宜しくないのだ。

 

 比企藩だけではない。

 多くの藩が()れていた。

 すなわち、己の藩の事情だけではない。今後の神和をどうするのか、という方向へ意識が向かわざるを得ない状況になっていたのだ。もしや、それが長柄の目的なのではと勘ぐりたくなるほどに。


 

 そんな折、比企藩主比企景利の元に、当の豊田藩より書状が届く。


 「榛名(はるな)、この書状が一体何を言いたいのか分かるか? 『英州制』とは何じゃ? ワシはさっぱり分からん」


 声は低く、東州訛りの入った朴訥とした発音は、さして広くない城の一室に一際(ひときわ)通った。

 

 比企景利(ひきかげとし)

 未だ後進に家督を譲ることもなく、藩の実権を掌握し続けている御年58歳の偉丈夫である。

 

 かつては比企幕府をもう一度、と天下統一を夢見た景利であったが、今や昔。その人生において、小競り合いレベルの戦は何度もこなしたが、結局、天下統一までは手が届かなかった。

 ただし、戦国以前には比企幕府を天下に敷いていた由緒ある家柄であり、今尚、東州土一の雄藩であることに変わりはない。

 

 また、比企藩は魔窟『比竜窟』を有することでも有名である。

 魔窟は藩の管理下にある場合に限り、素材鉱山として莫大な富を藩にもたらすが、魔物の管理に失敗すると、巨大災害にも似たダメージを藩に与える。

 現に、比企幕府がその実権を「英留府」に奉還したのは、魔窟が召喚した40m級の古代竜の短期での討伐に失敗したからである。


 最終的には竜を討ち、面目は保った形だが、一時は廃藩の危機すらあったという被害は、それはそれは大変なものであった。事実、比企藩による大政奉還後、神和には下克上の嵐が吹き荒れ、長い戦国時代へと突入し、現在に至る。


 事ほど左様に危険な魔窟だが、それがもたらす富によって、比企藩を雄藩足らしめているのだから皮肉な話ではある。


 「はっ。それがしにもトンと。ただ、ようは神和をいくつかの州に分割して、それぞれがそれぞれの州を統治していこう、ということかと」


 応えたのは榛名信義31歳。

 比企景利の太刀持ち(付き人)である。軍師でもなければ、藩の要職に就いているわけでもない。景利に男色の気はなく、いわゆる(・・・・)小姓というわけでもない。

 景利の話し相手なのだ。


 比企景利は榛名と議論を交わすことによって、あやふやな部分が明確になり、物事の理解を深めることが出来た。


 「どうして長柄は天下を取らぬ。豊田は神和を治むる自信がないのか?」


 戦国の世とは言っても、「天下統一」とは、基本的には立候補制である。つまり、「天下統一したい!」と宣言した者同士で潰し合うのだ。神和200藩(現在は150藩ほど)が(しらみ)潰しに戦をするわけではない。

 「一国一城の主」という地位で満足している藩主は多いのだ。

 

 比企景利は内心に忸怩たる思いはあるにしても、一応は一国一城の主であることに納得している。大藩に戦を吹っ掛けたり、上洛を目指さなかったのは、結局のところ自身の采配だ。誰の所為でもないし、時勢の所為でもない。

 単に、歳を取るにつれ、守らなければならない者や物が多くなり過ぎたのだ。歳を取るとはそういうことである。

 

 だからこそ、景利には豊田長柄の心が分からなかった。

 長柄は現在36歳。その歳で、その才がありながら、どうして天下を目指さないのかと。


 相手が自分より二周りも若い、才気煥発にして、血統も悪くない豊田長柄であるからこそ、景利は天下統一からは手を引いたのだ。諦めも付いた。

 景利としては、「それが、『英州制』だと?」と言ったところか。


 「そこでござる。私には(てい)の良い休戦協定のようにしか……」


 長柄の唱える『英州制』は、言ってみれば雄藩同士による談合(・・)である。長柄の『英州制』にはメリットデメリット様々あるが、一番のメリットは、『英州制』施政後のことではない。それ以前の問題。


 つまり、自分たちに匹敵するような藩と、興亡の一戦をせずに済むことである。


 「天下分け目の大戦(おおいくさ)になれば、民草も疲弊しよう。ならば、雄藩が一国あたり15~16藩程度を治めて、それで満足しようと。そういうことか?」


 「そう理解するしかないかと。豊田も長いこと、あちこちで小競り合いを続けておりました。金蔵の中も寂しくなったのではと察しまする」


 榛名の言うことももっともであった。

 だが、逆の意味にも取れないだろうか。

 つまり――


 「休戦協定ではなく、宣戦布告とも取れるな」


 「それはどういう……?」


 「『英州制』が嫌なら、今すぐ相手になってやる、と」


 脅迫や恫喝の類。

 比企景利がニヤリと笑う。

 『英州制』は一種の炙り出しであり、従う藩と従わない藩に分ける踏み絵のようなもの。『英州制』に従わないなら、豊田藩が直接相手になる、と読めなくもない。

 

 「あくまでも天下分け目の決戦はしないと……」


榛名信義がゴクリと唾を飲み込む。


 榛名としても、どうしてそこまで決戦を固辞するのか、全く意味が分からない。

 公平に見て、現状、反豊田の立場を明確にしている藩は、鍋島藩を筆頭とする連合30藩程度のみである。しかも飛び地が多く、個別に当たればすぐに音を上げそうな小藩もある。天下分け目の決戦の行方は、誰がどう見ても豊田藩一択であった。


 「うむ。もちろん、勘繰りが過ぎるやも知れんがな。実際に長柄が何を考えているのやら、ワシにはさっぱりじゃ」


 「『英州制』などと話を濁しておいて、実際のところは、落ち着いた頃に我が藩や六海藩を不意打ちしようということでは?」


 「六海はウチ以上に反発するだろうな。腹に一物抱えたまま『英州制』など施行してみろ。今までの戦の規模が何倍にもなるわ」


 一国が15~16藩を統合した規模になれば、当然、戦の規模も大きくなる。藩vs藩の戦ではなく、州vs州になるのだから。

 しかも、一度では終わらないだろう。東西両軍に分かれての天下分け目の決戦ではないのだから。

 規模を大きくした潰し合い。


「それともあれか? ジリ貧の三下(さんした)藩の恭順を狙っておるのか?」


 『英州制』が雄藩ごとに15~16藩を「小統一」し、治めることだとするなら、20藩、30藩と多ければ多いほど、英州制下における力は大きくなるだろう。

 貧乏藩や弱小藩なら、潰されるよりはマシと、近くの雄藩に対し、恭順を願い出るかもしれない。


 「可能性はありますぞ。いずれ潰される小藩なら、『英州制』は大歓迎でございましょう。一国一城の主でなくなるだけで、お家は残るのですから」


 「戦になれば、負けた方は一族郎党全てを失うからな」


 「左様でござる」


 「しかし……、さっきから何か大事なことを忘れておるような、こう、モヤモヤとするのう。もっと根本的な……何か」



 その時――


 「お(やかた)様!」


 簡潔に景利を呼んだ後、シャッと景利と榛名のいる部屋のふすまが開いた。御用取次ぎを主な仕事としている御側衆の一人である。

 礼を欠いているわけではない。ふすまを開ける前に、ドタドタと廊下を歩いて来ることで、ノックの代わりとしているのだ。

 

 「何じゃ?」


 「夏目殿の使者が参っております。通されますか?」


 「用向きは?」


 「豊田の『英州制』についてでござります」



 夏目竜庵(りゅうあん)73歳。

 旧名は夏目英五郎。

 夏目家は代々比企藩の寄子(よりこ)(藩と緩めの主従関係にある地方豪族)であったが、比竜窟を管理している部署「魔窟守方」の助成を景利に乞われ、英五郎がこれを受けた。以来、名を「竜庵」と変えた。


 「上洛する気が無い?」


 「左様でござります。主(竜庵)自らが直接、豊田長柄に確認しております。本日参ったのも、それが件にて」


 「「……」」


 「現在、書状を受け取った各藩の使者たちが、続々と豊田(もう)でをしている真っ最中。恐らく他の藩の者も同じような返答を受けていると思われまする」


 「厭戦気分が度を越して、よもや狂うたのではありますまいな」


 榛名が吐き捨てる。


 ふぅうううう……


 景利が大きく息を吐いたかと思うと、ポンと膝を叩いた。

 

 「榛名、長柄の書状を読んでより、ずっとモヤモヤとしておった理由が分かったわ」


 納得が行ったのだろう。表情は晴れやかだ。


 「「?」」


 「烏丸衆を抱き込んで調子に乗っておるのではないか。あるいは既に天下人気分で、戦や(まつりごと)に飽いておるのではないか。いろいろ考えられるが、何のことはない。当たり前のこと過ぎて、読めなんだ」


 「して、それは……?」


 尋ねたのは榛名だが、夏目竜庵の使者も身を乗り出す。


 「長柄は『英留府(えるふ)』を切るつもりじゃ」


 「馬鹿なっ――、しっ、失礼仕りました」


 思わず竜庵の使者が叫ぶ。

 だが、彼が叫んだのも無理はない。英留府を切るということは、3000年以上続く、神和の仕組みを変えるということだからだ。


 「構わぬ。『英州制』には『英』の字が入っておる。これは『英留府』も州の一つとして認めるということだろう、表向きはな」


 「と、私は理解しておりましたが」


 「さにあらず。北王土を切ったのよ。勝手にしろと」


 どういうことか、榛名も竜庵の使者も意味が分からない。


 「しかし……、確かに北王土は貧しき藩が多くございますが、さすがに『英留府』とは比べ物になりませぬ。そもそも、『英留府』に戦力と呼べるような組織は存在せず、近衛がいくらかいるばかりでござりましょう」


 「それゆえよ。『英州制』に『英留府』の存続は考慮されておらん。第一、海渡大将軍が無意味なものとなれば、それを任命する英留府の存在意義は無くなるのだ。なれば、英留府を守護する藩も、援助する藩もいずれ無くなるのが道理」


 朝廷が軽んじられれば、やがて、英留府を討とうという輩も出てくるだろう。それを防ぐ手段を、英留府は持たない。


 「……確かに」


 「『朝廷』や『公方様』などと奉ってはいるが、耳長族なんぞ、とうの昔に絶えた種族よ。今や果てしなく薄い血の末裔が細々と暮らしておるのみ。200年前に六海藩に漂着したという耳長族の子孫の方が、よっぽど血は濃かろう」


 榛名も夏目竜庵の使者も呆気に取られ、顔を見合わせるばかり。

 だが、確信に似た予感があった。


 「十中八九、長柄は『英留府』を潰すつもりじゃろう。それも、朝敵とならずしてな」



 ◇◆◆◆◇



 【比竜窟32階層にて】



 ドッシャアアア


 地響きを立てて倒れる、二本足の大顎系地竜。体長は20m近い。


 「お見事、景虎様ッ!」


 「はぁ、はぁ……、少し、血を流しすぎた。黒線の連中のようには行かぬか。固い魔物はどうにも苦手じゃ」


 全身血だらけ傷だらけで腰を付いているのは、比企景虎(かげとら)18歳。景利が虎種の血を引く側室に産ませた子である。


 景利には11人の子がいて、7人いる世継ぎ候補(男児)の中では、六男ながら筆頭。

 頭脳明晰にして、戦闘力は黒線許可証持ちの魔窟守にも匹敵する。

 身長は180cmほどだが、身体が分厚く、手足が太い。

 正室の子ではない為、城内では一歩引いた行動を心掛けてはいるものの、あふれ出る強者の雰囲気は隠しようもない。


 景虎は「固い魔物は苦手」だと言っているが、竜種は二本足、四本足を問わず、皮膚が硬質化しており、刃物を当てたからとスパスパ切れるものではない。つまり、「固い」のは当たり前なのだ。景虎だから苦手なのではなく、誰にとっても地竜が容易な敵であるはずがないのだ。


 「とんでもござりませぬ景虎様。『音斬り』や『石霊塔』など数名を除けば、単騎で32階層、それも竜種討伐は黒線でも恐らくは不可能かと」


 言いながら、倒れて虫の息の地竜にずんずん近付いていくのは、不破亮ノ介17歳。

 景利に仕える不破家の次男で、景虎の一歳下。不破家は仙術師の家系であり、風系の仙術を得意としている。また、不破家に伝わる仙術、「内気攻」を使う。


 比竜窟においては、30階層を超えたあたりから、ぽつぽつと大型の竜種が召喚される。その為、5名以上での行動が推奨されている。

 また、31階層からは【赤茶色】のラインが入った入窟許可証が渡される。階層ごとの色分けは以下。


 ・【白色】1~5階層まで(10歳以上の者なら誰でも可)

 ・【青色】6~10階層まで

 ・【緑色】11~20階層まで

 ・【紫色】21~30階層まで

 ・【赤茶色】31~40階層まで

 ・【黒色】41階層以下


 藩主の世継ぎ候補が単騎で32階層を踏破するなど、前代未聞であろう。それだけの才能と、情熱と、執念が景虎にはあった、ということだ。


 「全く、呆れるほどの剣の威力ですな。固い皮膚はおろか、分厚い筋肉を裂き、骨にまで達している箇所もござりまする」


 「何、まぐれや運の類よ」


 血は流れ続けているが、完全に息絶えたわけではない。地竜の目だけはギョロリと近付く不破を捕らえる。

 畳二枚分は優にある巨大な頭の上に、不破がスッと右手を乗せる。

 次の瞬間――


 グッシャアアア


 固い竜種の骨の中でも特に固い頭骨が砕ける凄まじい音と、辺りに飛び散る血。

 不破家に伝わる仙術「内気攻」によって、大顎系竜種の頭部が一瞬でぺちゃんこになった。地面に()された頭部は、数十トンの巨石で圧し潰したような有様である。


 「不破家の者とは絶対に握手したくないな」


 「景虎様、それは酷い」

 

 「はははは」


 ちなみに現在の比竜窟は59階層まで確認されており、近々【黒色】以上の階級新設が予定されている。過去、約10年で一階層成長するペースから、そろそろ60階層目が生まれそう(・・・・・)なのだ。


 ただし、比竜窟は魔窟の中では少々特殊であり、全ての階層に首級クラスの魔物が常駐(・・)しているわけではない。つまり、現在の最下層は地下59階だが、たまたま魔物が召喚されていない場合、踏破自体は可能なのだ。

 ゆえに危険なタイプの魔窟と言える。


 通常、弱い魔物を召喚することで、緩やかに消費される魔力が、比竜窟の場合、魔力を溜め込む性質がある所為で、強力な魔物が召喚されやすいのだ。


 餌となる魔物も首級クラスと同時に召喚されるが、首級の単独召喚であった場合、最悪である。空腹で怒り狂った魔物が下層から逆走することがあるからだ。

 かつて40m級の古代竜が魔窟を逆走し、地上に出た際には、当時、比企幕府を敷いていた比企藩をして、廃藩寸前まで追い詰められたほど。


 「それにしても……さすがに疲れた。帰りの道案内は頼んだぞ」


 今回は比企景虎自らが討伐に成功したが、本来、20m級の大顎系地竜はかなり危険な魔物である。地竜だけではなく、餌となる猪鬼(ししおに)(オーク)や、赤鬼オーガなども同時に召喚されるからだ。


 「手早く解体しろ」


 不破亮ノ介が後ろで控えている10人ほどに命令する。

 彼らは竜種討伐の為に連れて来た者たちではない。32階層で竜種が召喚されたとの第一報を受けた景虎と不破が「優先的に」討伐に向かうことになったのだが、討伐した後の素材を持ち帰る為の強力ポーターたちである。


 「「「「「おうっ!」」」」」


 「首長系なら旨い肉と脂が取れるが、大顎系だしな。角竜じゃないから武具素材としても半端だ」


 竜種は大きく首長系と大顎系に分類されるが、ようは、草食系か肉食系かの違いである。草食系の方が脂も多く、食味は上とされる。大顎系の中には魔力抜きの必要な種類さえあり、魔力抜きが不要な種も食味は落ちる。


 「皮や牙は十分価値がありますよ。肉も晒して臭みを取れば、干し肉としては高級な部類です。私は大好物です。竜種の干し肉をアテに、地酒で一杯、なんて……考えただけで胃の腑がきゅぅと鳴りますよ」


 「「「「「ははははは」」」」」


 彼らにも手間賃だけではなく、役得として、肉の一部が分けられるだろう。不破の言葉を聞いて、彼らの胃もきゅぅと鳴ったらしい。


 「それじゃ、お前たち、頼んだぞ」


 「「「「「おう!」」」」」


 さっそく作業に取り掛かる。



 「不破よ」


 不破亮ノ介の肩を借りながら、ゆっくりと地上への帰り道を往く景虎。


 「はい」


 「今、上では親父たちが長柄の書状について協議しているらしいな」


 「ええ、そのように聞いております」


 「逆よな」


 「逆?」


 不破は何が逆なのか分からない。


 「豊田長柄の頭の中を探っているようでは、親父の負けだ。長柄が親父の頭の中を探るようでなければ、土台、器比べでは負けだということよ」


 確かに、周囲の人間の気持ちを一々酌んでいたのでは、『英州制』などという発想は浮かばないだろう。まして、景利が読んだ通り、朝廷権力の消滅まで長柄の想定内だというのなら、到底、常人の発想ではない。


 空気を読む人間は人の上には立てない。

 空気を読ませる人間が人の上に立つのだ。


 「豊田を討とうというのなら話はわかる。相手を知らば、百戦危うからずというやつだ。だが、親父に豊田を討つ気はないのだろう? 相手に下駄を預けておきながら、そのくせ相手の腹のうちが気になり、コソコソ探探りを入れようとは、もはや武人とは言わぬ」


 「……」


 「親父も俺の邪魔にならんうちに、そろそろ引退して欲しいものよ。新しい船に古い水夫は不要と相場は決まっておる」


 半枯れの景利と違って、景虎の野心は飛躍の時を静かに待っている。



 ※第一章 神和国編  完

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