人の夢
酷い夢を見た。
ばらばらになった鏡を再び1枚にくっつけたかのような、そんな懐かしくもあり悲しい酷い夢だった。
懐かしいあの時の姿で…今から思えば、あの時でも今でも未来のーーーでさえ無かったのかも知れない。
灰色の空の下、灰色に錆びて輝く太陽の下、雨が降り続ける寂しい街に僕と君二人で立っていた。
気付けばホテルだろうか、見知らぬ部屋に二人でいた。ここになぜ居るのかをも考えずに、君に問い掛けた。
どんな事を問い、掛けようとも君の答えは虚ろで、それでいて君らしかった。なぜそう思ったのかは解らない、だが、そう思えたことは確かだった。
嬉しかった。また会えたのだと、『また』という言葉の意味を考える間もなく次々に掛けていく言葉に少しの反応しか君は示してはくれなかった。君が居てくれるから僕は僕で居られる、ふと思った事だがそれには蓋をして…
色んな事を考え問い掛けようとも君は備え付けのパソコンから目を離さない。
そんな君にしびれを切らした俺はベットで添い寝してくれるように頼んだ。すると、君は今までとは違ってこちらまで来てくれた。
そして君はこう言った「ーーーーーー」解らなかった、いや。
聞き取れなかったんだ。でもね、その瞬間気づいたよ。これは私の心の中で夢なんだ、と。
消えゆく君を見てたらさ、一番聞きたくて聞きたくない事を言われたよ。現実なら嬉しいんだけれど、生憎とここは…
夢の中。
ただ、それらからわかるのは…もう私とは居られない。そういう気持ちとまだーーーーーーそういう私の気持ちなんだろうなとそう思ったよ。
だからさ?もし現状から脱け出せればまた、いや…その時は飲みにでも誘うとしようか。
だったらその時は受けてくれるかい?