婚約破棄されたし、ファンクラブを作ろうか
「俺には好きな人がいる。 だから、お前との婚約は破棄する! もう金輪際俺に近寄るな」
私、五宮詩季は、久方ぶり会った婚約者(仮)である宮坂月哉に、いきなり呼び出されて上から目線で言い放たれた。
「だいたい、お前はいつも男を立てようとしないし、ウザかったんだよな。 一方、花澤は可憐で慎ましい。 理想の女だ」
よりによって花澤に恋したのか。可哀想に。
花澤華恋は、名前の通り可憐で綿菓子のようだと男子に評判である。女子目線から言うと、男女で態度を変える男好き評価だ。
こないだなんて、点数調整失敗して学年1位なんて取ってしまったから、あり得ないカンニングじゃないの?と言われて答案用紙を破られた。
本人曰く、うっかり転けて破いちゃったテヘペロらしいが。
テストの座席、私の周りは平均から赤点常連組で占められているのに、どうやってカンニングするんだろう。逆に教えて欲しい。
話はそれたが、そんな花澤華恋の周りには、イケメンハイスペックで占められている。俺様で学年1位の一宮正春、知的クールで万年2位の二宮夏彦、漂う色気のモデル三宮秋人、年下甘えん坊の四宮真冬、爽やか担任の六宮大地だ。
そんな中に、スペック平凡で割り込もうという勇気に拍手を贈りたい。
「はぁ……私は構いませんが。 どうせ親同士が酒の席で交わした約束ですし」
別に、財閥令嬢とかではない。居酒屋で意気投合した父同士が、交わした約束だ。婚約者と言うほど大袈裟ではない。
「その言葉忘れるなよ! 2度と付きまとうな!」
そういって婚約者(仮)は去った。ストーカー呼ばわりは不本意だが、身軽になれて私は万歳をする。
「やっと自由になれた! これで正々堂々あの人に告白出来る!」
私は、早速今後について作戦を練り始めた。
●
昨日、パソコンに色々シミュレーションを打ち込んだ結果、まずファンクラブを作る事にした。
あんなに魅力的なのだから、ライバルは多いだろう。そうしたら、血で血を洗う惨事になる。ならば高校生の間は牽制して、卒業後に畳み掛ける。それが最良だと思った。
「そう言う訳で、貴方のファンクラブを作ってよいでしょうか? 七宮零くん」
翌朝、早速七宮くんの席に行き宣言する。七宮くんが顔を上げると、ふわりと甘い匂いがした。今日のデザートはシュークリームかな。昨日のマフィンも、美味しそうでした。
「………え?」
七宮くんの、眼鏡の奥の瞳が大きく見開かれる。
なんて可愛らしい!
「ダメですか?」
「いや……一宮くんや二宮くんなら分かるし、実際あるけど……俺のファンクラブだなんて」
「七宮くんは魅力的なんです! 私はそう確信しています。 だから、牽制を兼ねてファンクラブを」
「五宮さんって才色兼備なのに気さくな人と思ってたけど、そんな冗談言う人だったんだね」
七宮くんの瞳の色が、呆れを見せる。
ザワリ、と全身が冷えた心地になった。
「冗談じゃ…」
「なら、からかってる?」
「ちが……私…」
「五宮、席に座れ」
担任の六宮が教壇から声をかける。
これ以上何か言って嫌われたらと思うと、何も言えず私は席に戻った。
●
それから、私は休み時間の度に七宮くんの席に向かう。すると、昼休み付近から、避けられ始めてしまった。チャイムと同時に戻ってくるので、話しかける事も出来ない。
「まぁ、ドンマイ」
親友・八宮神那が、棒菓子の箱を向けて笑う。私は、1本を貰って不貞腐れた。
神那は、昔から私が七宮くんを好きだと知っていて、応援してくれている。1つ年上の彼氏がいるので、ライバルにはならないのが有難い。
「何でうまくいかないんだろ」
「まぁ、ファンクラブは突拍子もないわな」
「だって、あんなに可愛くて家事万能な人、モテないはずがない! だから」
「せっかく婚約者も消えたし、告白して彼氏にしたいと思わないの?」
告白?彼氏?
「そんな! 私みたいな女子力低くて勝ち気な女、今告白しても無謀だって。 だから、牽制しつつ仲良くなってから…」
「そうかねぇ? 婚約破棄したって聞いた男子から、十件ほど仲介してくれって言われてるよ、私。 それに、下駄箱にラブレターあったっしょ?」
神那の指摘に、私は今朝の下駄箱を思い出した。
封筒が入っていたが、きっと開けたらカッターが仕込まれてるんだと思って、ゴミ箱に捨てていたのだ。
「あれは不幸の手紙やカッター入りでしょ? 開けるわけないじゃん」
そう言うと、神那は大袈裟にため息をついた。
「あいつ数回殴りたい」
「あいつ?」
「宮坂。 散々詩季を貶して否定してさ! 何様だっての!」
「でも、魅力がないのは本当だし……失敗して学年1位取って男のプライド傷付けたし…」
不器用だから、うまく男性を立てられない。だから、伴侶として支えられるよう賢くありたいと思ったのに、仇となった。本当に泣きたい。
「詩季がレベル低い奴に合わせる必要はないの!」
「でも…嫌われたくないよ……いや、もう嫌われてるね」
やけ食いがしたくて、私は神那の菓子を大量に奪取した。
甘いけど、苦くて味が分からない。
「詩季!?」
「もう今日はやけ食いする! 甘いもん寄越せーっ」
叫ぶと、ボヤけた視界の先に、丸いふっくらした物体が見えた。
「シュークリーム!!」
「何で泣いてるか判らないけど、甘いもので気が晴れるなら」
甘い香りと共に、優しい声が降ってくる。
「な…七宮く…」
「八宮さんも食べる? 調理部で作りすぎちゃって」
そう言って、七宮くんは机にシュークリームやプチケーキの入ったタッパーを置いた。
どれも美味しそうである。
「え、いいの? サンキュー」
「家にもって帰っても、余らせるだけだし」
「美味っ! 余らせるなら、また頂戴よ」
嬉しそうに神那がプチケーキを頬張る。それを見た七宮くんは、照れ臭そうに笑った。
私は、さらに視界をボヤかした。
「………っ」
「えっ!? 大丈夫?」
サッと七宮くんは、ハンカチを差し出した。きれいにアイロンがけされているハンカチに、涙腺がさらに緩む。
何でこんなに女子力が高いんだろう。嫌いなのに慰めてくれるんだろう。
「酷いよ七宮くん、私、ますます惚れちゃうじゃない!」
「えぇっ!?」
「好きだけど相手にされないって分かってるからライバルを寄せ付けないようにファンクラブ作ろうとしても許してくれないし、嫌われちゃうし、でも優しくしてくれるし! 酷いよ!」
拭っても拭っても涙が止まらない。胸が苦しくて、目の前のシュークリームが食べられない。
「あ…あの、もしかして、五宮さんは、俺のこと…」
「好きなんです! ずっと前から。 でも私っ」
ぼんやりした視界の先に、七宮くんがオロオロしているのが分かる。
「私っ、色々資格持ってるし…っ、経済学部…っ目指してるからっ、ケーキ職人になって独立した時、役に立てるよ! お買い得だよっ!」
七宮くんがパティシエ目指してると聞いて、友人としてでも仲良くなれないかと、資格を取ることにした。
打算的な私の、打算的な足掻きだ。
「……それなら尚更、俺で妥協しちゃダメだよ」
「………七宮くん以上の人、どこにいるんですか?」
「一宮くんや二宮くんなら」
「有り得ない! 過剰評価の自己中男と、自称クールなチョロインじゃない」
「ぶはっ! それ詩季だから言えるセリフなんだって」
神那が腹を抱えて笑っている。見た目清純中身強か女子に骨抜きにされて取り巻きしている男子と、調理部に入り、休日も夢を目指して技術向上に勤しむ七宮くんは違う。
七宮くんは、驚いて呆気に取られていた。
「確かに何でも出来るだろうけど、私にとって全く魅力的に映らない。 私は……夢があって、諦めずに突き進んでる七宮くんが好」
「もう言わないで」
七宮くんが、私の口を抑え、言葉を止める。
その表情は、耳まで真っ赤に染まっていた。
「……そんなこと初めて言われたから……照れる」
「で、詩季にここまで言わせてどーすんの? 不誠実な返事したら殴るよ」
はー、と拳に息を吹き掛ける神那。
「………まずは、友達からじゃ、だめ?」
困ったように笑いながら、七宮くんが首を横に倒す。
口許を抑えられているので、私はコクコクと頷いた。
それを見て、七宮くんの手が離れていく。甘くてかさついた指の感覚が名残惜しい。
「じゃあ、よろしくね」
「はい!あと、ファンクラブ作りたいです!」
「いや、それは恥ずかしいからやめてくれる?」
今また言うと嫌われそうだから、曖昧に濁す。でもいつか作るよファンクラブ!
私は、1歩七宮くんに近づけて、満悦に笑った。
●
あれから、七宮くんと友達になり、昼休みにデザートを頂いて会話して、と夢のような日々を過ごしていた。下駄箱に届く手紙もよく読めばラブレターで、嬉しくも私は七宮くんが好きだから、即行断らせて頂いた。
そんなある日の昼休み、教室でデザートを頬張る私の前に、意外な人物が現れた。女子の黄色い声と共に現れたのは、俺様自己中ナルシスト…もとい一宮正春。
「五宮詩季、お前俺の女になれ」
「お断りします」
断りに慣れたせいか、ざっくりと切る。変に間を入れて七宮くんに誤解されたら最悪だ。
断られると思わなかったのだろう。俺様一宮が顔をひきつらせた。
「は?俺様が言ってんだぞ」
「だから、お断りします。 大体、一宮くんは花澤さんが好きなんでしょう?」
「そうだ」
「なら、どうして」
「俺は将来会社を立ち上げる男だ。 妻には有能な者がいい。 だが、華恋に無理をさせるには可哀想だ。 だから、書類上の妻にしてやる」
嬉しいだろう、と言わんばかりの言い分に、ヘドが出そうになる。
「私には好きな人がいます。 これ以上誤解されたくありません。 だから、お断りします」
「俺が言ってるんだぞ?」
「何様か知りませんが、妻にしてやるが浮気を許せと言われて喜ぶ阿呆がどこにいるんです。 しかも実績もない多少見た目がいいだけの『俺は将来ミュージシャンになってビッグになる』と同類なナルシストに、ハイそうですかと喜ぶわけないでしょう」
私の返答に、クラスが静寂に包まれる。そして神那が腹を抱えて笑った。
「なにそれウケる! 『俺はビッグになる』ってそれダメな奴のテンプレだし!」
「だって、花澤逆ハーの取り巻きに勤しんで、資格とか勉強してないでしょ? いつも通りの点数の私に首位取られたのが証拠じゃない」
そう、点数調整で安定の480点だ。いつもなら上位組だが、首位は取れない。
男を立てろとうるさい婚約者の言う通りにしていただけだ。
つまり、私が首位を取ったのは、周りが万年首位の俺様一宮が学業を疎かにして点数を落としたからだ。
もう婚約破棄されたので、次の考査からは全力を出すつもりである。
「貴様、後で泣きついても許さねーからな!」
可愛くねえ女、という捨て台詞と共に、俺様一宮が立ち去る。
目下泣きつく予定はないので、痛くも痒くもないが、やはり可愛くないと実感して気が滅入る。
「詩季、大丈夫?」
「………やっぱり私って可愛くないよね」
「いや、あれは拒否って当然でしょ! それに、詩季の努力は一体誰のため? 一宮の駒になるためじゃないでしょ?」
言われて気づく。
皆に可愛くないと言われても構わない。ただ一人、七宮くんにだけ可愛いと思われたら、それだけで幸せだ。
私の表情を見て、神那が満面に笑う。
つくづく、神那の彼氏は見る目があるな、と思った。神那は、愛されてると判るほどに、幸せそうだ。
「ねぇ、七宮はどう思う? 詩季可愛いよね」
「っ!!?」
いつの間に戻っていたのだろう。神那が近くにいた七宮くんに声をかけた。
「うん、五宮さんは可愛いと思うよ」
その言葉だけで、心が跳ね上がる。
嬉しい。嬉しくて泣きそうだ。
「フリーだと、また勘違い野郎に言い寄られるから、匿ってやってよ」
そう言って、神那はさっきの出来事を簡潔に説明する。すると、七宮くんはしかめ面になって考え込んだ。
「あ、あの、私はちゃんと断れますし」
「……俺で抑止力になるなら、構わないよ」
照れながら、七宮くんが笑う。本当なら嬉しいはずなのに、ひどく心が冷えた。
●
それから、七宮くんは私を彼女のように扱ってくれるようになった。
お昼も一緒、お弁当を交換して、デザートを貰って、部活がない日は一緒に帰る。
他愛もない話をして微笑む七宮くんに、私は泣きそうになった。
本当に好きになってくれたと勘違いしそうになる。証拠に、七宮くんは私の手を握るまではするが、そこから先は手を出さない。
抱き締めてくれたら、自信がついたのかもしれない。
自分からは怖くて恥ずかしくて行けなかった。
だから、休日デートもなかった。学校以外で束縛するなんて迷惑でしかない。
結局、ファンクラブは私が唯一会員だった。自作の会員証を見せたら、七宮くんは真っ赤になった後、やんわりと笑ってお菓子をくれた。
そして、卒業式。
私は国立大学の経済学部へ進み、七宮くんは製菓専門学校へ進む。
もう、顔を合わす事もないのだろうか。握られる手の温もりが、離れるのが怖い。学校最寄りの駅が見えて、足がすくんだ。
「詩季?」
「………やだ」
学校は卒業した。だから、これ以上七宮くんに迷惑をかける訳にはいかない。
判ってはいるけど、離れたくなかった。
下の名前で呼ぶ声も、もう聞けなくなると思うと、涙が出そうになる。
「帰りたくない」
「………んー、じゃあそこの喫茶店でお茶飲んでく?」
七宮くんの大きい手が、私の頭を撫でる。胸が苦しい。これ以上優しくしないで。
手を離したくなくて、喫茶店でも隣に座った。
店員さんが、私たちを見て「初々しい彼女ですね」と微笑んだ。
「はい、可愛らしいです」とにこやかに返す七宮くんに、また心が締め付けられる。
こんな所でも、演技してくれなくていいのに。
「ここのコーヒー美味しいんだ。 気に入ってくれるといいな」
そういえば、店員さんと親しげだった。
自分の好きな店に案内してくれたのだ。
無理に横に並んでいるから、触れあう制服ごしの腕が熱い。
まるで腕に心臓があるように、バクバクする。
「そう言えば、寄り道するのも初めてだね」
七宮くんの貴重な時間を、これ以上取らせるほど傲慢じゃない。本当は、休日も一緒に出掛けたかったし、帰りも寄り道したかった。でも、我が儘を言って困らせたくなかった。
「詩季の予定が空いてる日でいいから、学校始まる前にどこか行かない?」
え?
これからも会ってくれるの?
驚きと嬉しさで、思考が停止する。
「学校が始まったら、当分は互いに忙しいだろうし。 もちろんメールや電話もするけど……詩季?」
メールも、電話もしてくれるの?
「もしかして、春休みは丸々予定が詰まってる?」
「え、いや! 丸々空いてます!」
卒業旅行やお祝い夕食なと多少の予定はあるが、七宮くんとの予定に比べたらどうでもよかった。
「卒業旅行の話は八宮さんから聞いてるから、それ以外で」
「いつでもいいです!」
食いぎみに返すと、七宮くんは手帳を取り出した。私が右手を掴んだままだから、左手で器用に開いている。
七宮くんは字もきれいだ。風邪で休んだ時に作ってくれたノートは、まだ大切に残している。
「……夢みたい」
「ん?」
「だって、卒業しても会ってくれて、電話もメールも貰えるなんて、夢みたい」
そう言うと、七宮くんは不思議そうに首をかしげた。
「なんで? 詩季は彼女なんだし、それくらいはするよ。 むしろそれ以上……うん、これは聞かないで」
「今のもう一度言って!!」
聞き間違えかも知れない。妄想が過ぎた幻聴かもしれない。
すると、七宮くんは真っ赤になったまま目を反らした。
「むしろ…それ以上の事をしたい」
「もっと前!」
なんかすごいこと聞いた気がするが、私は前を促す。
「……詩季は彼女なんだし?」
「彼女っ! う、嘘じゃないですよねっ!? 私、七宮くんの彼女なんですよねっ」
「……そろそろ、名字じゃなくて名前で呼んで欲しいんだけど…うん、俺はずっと詩季を彼女と思ってたけど?」
「だって、私顔も性格も可愛くないし」
自分で言ってて悲しくなる。もし肯定されたら、今度こそ立ち直れない。
「詩季は可愛いよ。 目標が俺の独立ってのは恥ずかしいけど、一心に努力してる所が特に可愛い」
誰に誉められても響かなかった心が、震える。
「七宮くん、抱き締めてもいいですかっ!?」
「………むしろ、俺から行かせて」
やんわりと手を離され、腕が背中に回る。七宮くんの胸に顔があたり、甘い匂いが私を包む。
「幸せすぎて怖い」
「大げさな」
「夢なら醒めないで」
「感覚があるから、夢じゃないよ」
トクトクと、七宮くんの心臓の音が聞こえる。
全身で暖かさを感じる。
「…………参ったな、こんな様子だと、これ以上は当分無理だね」
せっかく卒業したのに。
七宮くんが、ぼそりと呟く。
これ以上?これ以上どんな幸せがあるというのだろう。
「有難うございます」
七宮くんの声に顔を上げると、店員さんは口許に人差し指を当ててウィンクをした。
「ケーキはサービスです」
おめでとうございます。
そう言ってコーヒーとケーキを2つずつ置いた店員さんは、持ち場へ戻っていった。
「さて、せっかくだし頂こうか」
七宮くんの腕が、熱が離れていく。私はとっさに、七宮くんに抱き付いた。
「………困ったな。 後でいくらでもするから、今はケーキ食べない?」
ケーキ。
パティシエ希望の七宮くんに、ケーキで困らせたくない。
私は名残惜しく、七宮くんから離れる。
「何を怖がってるか、聞いていい?」
真剣な眼差しで、七宮くんが覗きこむ。
「わ……私、七宮くんは、嫌々盾になってくれてると思ってた、から」
「始めはね。 でも、接してるうちに、詩季の見た目とスペックには勿体ないくらい本気で俺を思ってくれてるって判って。 これでも悩んだんだけど、ブレずに真っ直ぐに好意を向けてくれてるから、疑いようがないなと。 だから、詩季も俺を疑わないでくれると、嬉しい」
迷惑だ我が儘だと思いつつもやってきた行為が、きちんと伝わった。
それだけで十分に嬉しい。
疑えない。疑ったら、そこで終わりそうだから。
「今、疑ったら終わりとか思ってるだろうけど、簡単には終わらせるつもりはないからね」
何で分かったんだろう。
「………改めて、俺の彼女になってくれる?」
「………、はいっ!」
私は、また七宮くんの胸に逆戻りした。
七宮くんが、参ったな、と呟いたが離したくない。
七宮くんファンクラブ会員ナンバー一番、五宮詩季、今日正式に彼女に昇格致しました!
名前に全部宮がつくのは、たんに考えるのがめん(以下略)
浅井は思ったより匂いフェチなのかと思ってきました。気が付けば○○の香りとか書いてますんで。
匂いと背中チラリズムはジャスティス!
お詫び。
二人のその後を、というお言葉を頂き他の作品が完結させたら考えますとお答えしましたが、諸事情によりこの話は短編のままで終了させていただきます。