4.語り
少女が自ら、自分の身にあったことを話します。
短いです。
争いの火種は、いつもホントに些細なことです。
とは言っても、常に臨戦態勢にある私たちに、火種も何もないのですが。
私の国は、ちょうど日本の真上に位置します。
平和な日本に対して、私たちの国は年中戦争。
争いを嫌う『穏健派』と、戦いを好む『武力派』――
価値観の違う私たちは、いつも争っていました。
多くの者が血を流し、犠牲になり、仲間を失い――そして、何百年もの間封印されていた『アレ』が爆ぜたのでした……
『アレ』には、正確な名称がありません。
人の命を奪うことしか出来ぬ兵器に、名など必要ないでしょう。
『アレ』を所持していたのは、武力派の人間でした。ですが、彼らはそれを戦争に用いようとはしなかった……むしろ絶対に起動させまいと、専門の技師を雇って管理させるほどでした。なぜなら、彼らは自分たちの手で、国を破壊したかったからです。
しかし、戦争は激化――
突然、大地を揺るがすような大爆発を感じ、『アレ』が爆発したと理解した時にはもう遅かったのです。刹那、近くにいた者は塵となり、比較的遠い距離にいた私たちも爆風に飛ばされ、気づけばこの有り様なのです――――
* * * * *
これまでの話を大人しく聞いていた僕は、当然ながらリアクションに困った。
「え……っと? それは……笑った方がいいのかな……?」
苦笑いしつつ言うと、少女はかみつくように反論してきた。
「ちがいます! 本気で言ってるんですから。つまり、私の国が戦争中で、爆弾が爆発してしまって、それで吹き飛ばされちゃって、で、今ここにいるんです」
「…………。……その、君の国って……」
「上です」
少女は人差し指を天井の方に向けて、もう一度言う。
「この町の……つまり『東京』の真上――――そこが、私の『国』です」




