第九話 パズル
パズル…
それはまるで現実に置き換えられるオモチャである。
それぞれのピースが人間で、塗られた色が個性。お互いの個性が複雑に絡み合って全部揃えば一つの絵になる。ピースが無くなれば見つかるまで絵は完成しない。
これから彩那と周りの人に起こる衝撃の展開に絵は完成するのだろうか?
もしかしたらお互いのピースは噛み合わないかもしれない。でも、大丈夫だよ!!別のピースがはまればそのピースの横に噛み合うかもしれないから。絵になれば必ずみんなで繋がっていられるから。私たちはピースなんだよ。それぞれに色と言う個性があって、それが繋がり合えるから。
そうして、また一緒にみんなで笑えると良いね!!
必死に涙を堪えながら彩那は中川春子に背を向けた。そうして、無言で立ち去った。
家の前に来ると手でポケットの中を探す。しかし、手は空を切るばかりだった。
『なっ!!』
彩那は焦った。しかし、鍵は見つからない。
『ねぇ、嘘でしょ?』
ポツリと呟く。スペアキーは…
持っているのは慎太郎だった。カバンから携帯を取り出す。
プルルル…
(はいもしもし?彩那?どうかした?)
『うん、ちょっとね…今から慎太郎の家いっていい?』
(え!?マジで?)
と、電話越しに明らかに動揺した声で言われた
『いや、ダメならいいんだよ、気を使わないで』
(いや、全然オッケー!!今から公園行くからそこで待ち合わせね)
『分かったよ!!用事だけ済ませたらすぐ帰るから。公園で待ってる♪バイバイ』
彩那は携帯を閉じた。静寂の中にパタンと言う音が響いて彩那は更にむなしくなった。
そして、公園を目指して歩き出した…