第八話 結束2
外に出ると蒸し暑い熱風が彩那を襲った。気持ち悪くなるほど暑い。
『うぇ~、暑い。アイスでも買おう。』
と、家から離れる。
彩那の家は一軒家。土地とローンは今はなきお父さんとお母さんが払い終えていた。家具はそのまま使っている。生活費はバイトで稼いでいた。足りないときは親戚に払ってもらう。
それで一応金には困らない。しかし、最近はいじめがヒートアップしてきており、金をとられることもあった。
コンビニのドアが開いた。彩那の家からコンビニまでは3分とかからない。
『いらっしゃいませ♪』
と、コンビニ店員の明るい声を背にドリンクコーナーへ向かった。
『どれにしようかな…』
と、悩んだ末にコカ・コーラを手に取った。あとガリガリ君とおにぎり2個も。
レジにどさりと置いて財布をカバンから出す。やけに目線を感じたため前を向く。
女性店員がこちらをガン見していた。なんとなく冷たい感じがする
あぁ、こんなところにも私が嫌いな人っているんだ…
彩那は涙をじっとこらえてお金を出し、商品を待った。その時不意に声をかけられる。
『ねぇ、あなた大阪第一高校の川島彩那さん?』
え!?
なんで名前を?
分からぬままにはいと答えた。
すると、女性店員はレジから出てきた。
彩那は行動の意味が話からなくて困惑する
女性店員はそのまま土下座をした。意味が分からない。
『ごめんなさい』
『いや、ちょっとどうしたんですか?』
しかし、女性店員の謎の行動は続く
『本当にうちの娘が…どれだけ謝っても謝りきれません。』
『ねぇ、詳しく話してくださらないとわかりませんって!!』
『中川春子と申します。中川舞の親です』
まるでパズルのピースがはまったように過去が一瞬で鮮明によみがえった。
≪暑くない?≫
≪良かったね、クールダウン出来て!!感謝しなさいよ?≫
彩那の頬に透明な雫が伝わって地面に落ちた。
熱くなる気持ちを抑え、冷静に考える
すると、おかしなことに気付く。なぜ、舞は親に話したのか?
自分が怒られるとわかっていたはずなのに…
中川春子は続けた。
『全て、娘から聞きました。冗談のつもりが彩那の一生を狂わせたと…本当に親として情けないです。あなたの生活費、全て家が持ちます。』
中川春子はここで一回咳払いした。
『もちろん、そんなことで許されるはずがないと思います。しかし、私たちもあなたを守ります。』
くだけ散ったままの何かが一つ戻ったような気がした。