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トモダチ  作者: tomo
最終章 終戦
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最終話(後編) 聖夜の決着

『この世はすでにオレの物だ。お前らに勝ち目はない』


と稲垣。


『オレはアメリカにミサイルを東京タワーに向けるように言ってある。イギリスには戦闘機の要請をした。そして、自衛隊には武装ヘリを用意した。最高の用意だろ?』


気付けば東京タワーの窓からヘリが見える。この様子ならアメリカはミサイルを準備しているだろうし、戦闘機も向かっているのだろう。


ただ、稲垣には一つ分かっていないことがある


『私達の怒りはそんなことに怖がらないわ』


あくまで強気な彩那に稲垣は鼻で笑った。


『世の中の人間はオレを恨んでいるお前を恨んでいるぜ』


確かにそうだろう。多分、私達は殺されるのだろう。しかし、稲垣だけは殺す。


終止符を打つのだ。


『貴方には死んでもらう』


彩那は慎太郎に目配りした。慎太郎は銃を投げてくれた。それを受け取ろうとしたが稲垣がそれを奪おうとぶつかってきた。


小さな悲鳴と共に二人は倒れ込む。銃は遠くへと転がった。それを取りに稲垣は走る。彩那もそれに続こうとするが


『駄目だ。オレに任せろ』


とのBの叫びで止まる。彩那と稲垣は一枚の大きなガラスの上にいた。彩那はBがガラスを撃つと知ってガラスから抜けようと逆方向に走り出した。それに気付かない稲垣。


稲垣と銃の距離は約五メートル。彩那がガラスから抜けるにはその倍近く走らなければいけなかった。稲垣が銃を取ればBが撃たれて終わりである。


必死に走る彩那。

それに対し、稲垣は既に銃に触れていた。


稲垣が銃を持って振り返る。


バァンと銃声が轟いた。



@ @ @


超強化ガラスにヒビが入っていく。先に撃ったのはBだった。


彩那のすぐ後ろにヒビが入っていく。それは彩那よりも遥かに早かった。ガラスから抜けるまで三メートル。彩那は一気にジャンプした。


その時にガラスは遥か300メートル下へと落下していく。


B、私は貴方を疑ったわ、本当にごめん


W、色々なことが合ったし少し怖かったりしたけど本当は太陽みたいに優しくてそんな日だまりにずっと包まれていたいな


最後に慎太郎へ。


本当にかっこよくて優しくて、


勉強はできなかったし何をやっても私の方が上だったけどさ、


慎太郎は私にはないものを持っていたよ


だから、好きになれた


今も好き、死ぬほど


死んだかと思ったけど生きていて良かった


これからは私みたいなのを救って悲劇のヒーローにはならないでね


みんなありがとう


さようなら




彩那の体が沈み始める。ガラスから抜けられなかったのだ。東京タワーの赤い鉄塔が見える。本当にこれで終わりだと思った。


しかし、頭に響いて来たのは


『手を伸ばせ』


という聞き覚えのある声だった。その声のままに手を振り上げると温かい感触が伝わる。


慎太郎の手だった。


稲垣の叫びが遠くなっていく。


そうして、やがて聞こえなくなった。


全てが終わった


@ @ @


夕陽に映える赤い東京タワー。下で待ち構えていたのは拍手だった。それは温かい。


『なんでこうなったの?』


と疑問がみんなに浮かぶ。そこに現れたのは二人の女子。


『舞……めぐみ……』


彩那の目から涙が溢れた。


『Wっていう人が私達に教えてくれたの、彩那が危ないって』


久し振りに聞く、舞の声。その声に当時のいじめの面影はない。


『本当にごめん』


とめぐみ。今だからこそ分かり合えるトモダチの存在。


『この二人が稲垣元総理の陰謀についてずっと抗議していて』


とのことだった。


『オレを捕まえてくれ』


と慎太郎が言う。


『オレは稲垣と共に組んで世界征服をもくろんだ男だ。死刑にしてくれ』


とのこと。警察が顔を見合わせながら手錠を出した。


『待って』


と彩那が慎太郎に近寄る。


『すまない、彩那。さようならだ』


嫌……


なんでまた別れなければいけないの?


せっかく会えたのに


『彩那、最後に一つだけ頼みが、いや2つある。一つ目はこの世界を頼んだ』


一回言葉を切る。


『そして、オレとキスしてくれないか?』


彩那は黙って涙を堪えながら慎太郎の唇にキスした。


『ありがとう。さようなら』


と慎太郎。慎太郎はパトカーに乗せられた。そして、太陽に向かって走り始める。


なぜか、夢を見ていたような気分になった。


3ヶ月くらいで世界を変えてしまったのだ。


そして、この変わったいじめのない世界を続けていくことが使命だと感じた。


そうして、それは


『トモダチ』


としか出来ないのだ。


おわり


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