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トモダチ  作者: tomo
第4章 裏で
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第四十四話 新学校

『ここがお前の新しい家だ。』


そう案内されてやって来たのはまだ完成後間もない綺麗な家。だけど、新しいと言う感じがしなかった。その理由はBの言葉ですぐに分かった。


『気づいたと思うが、これは元お前の家をベースにしてある。』


聞いてみればそうだ。新しい感じがしなかったのは見慣れている家だったからである。


『家の中も全て同じにしてある。』


しかし、解らないのは誰がこんなサプライズ染みたことをしたのかである。Bがするとも思えなかった。


『一体、誰がこんなことを!?』


『Wだ。お前を見た時からオレに提案してきたんだ。』


彩那は心の底から驚いた。Wはもっと冷たいタイプの人間だと思っていた。


『Wはお前と家族の思い出があるからって無理したんだぞ。お前の家を調べ上げて木の材質までこだわっていた。あいつは完璧主義だからな。それに……』


不意に彩那の目に熱いものが込み上げた。


『それに、この家は全てWが出した』


これもまた驚きだった。家をいくらする物だと思っているのか。これ程の家なら5000万は下らないだろう。


彩那は本部に帰ったらまずWに謝ろうと思った。狂人などと思い、差し伸べられた手も振り払った。


『じゃ、これ家の鍵な。』


とBは銀の新品の鍵を渡してすぐに立ち去ってしまった。彩那も鍵を握りしめてドアの前へと歩き出したのだった。


@ @ @


朝日がカーテンの隙間から入って来た。その光を浴びて彩那も朝を迎える。彩那はベッドにもたれ掛かるように座りながら寝ていたのだ。昨日は引っ越しで段ボールを片付けながら寝たためこのような体勢になっていた。


『あ、ヤバい……』


と彩那は飛び起きて制服に着替える。制服は机の上にたたまれておかれていた。メモが上に乗っている。


『Wからだ……』


おはよう


遅刻するなよ!!


とのことだった。なんで起こしてくれなかったんだ!!Wの馬鹿にしたような笑顔が浮かぶ。


まぁ、そんなに悪いやつじゃないし、まぁいっか


そう考えるようになっていた。しかし、時間はそんなことでは巻き戻らない。


『って、もう10時だし!!』


彩那は思わず叫んだのだった。


@ @ @


その後、見慣れない道を迷いながら進み、着いたのは11時半。


『ヤバい、いきなり遅刻しちゃった。』


と言いながら廊下を歩いていると男子や女子がこそこそとしていた。


な、何?私、嫌われ者?


いや、違った。


『ちょ、めっちゃ可愛くね?』


と小さく呟き合う男子軍。そして、


『ヤバい、めっちゃ羨ましいんだけど……』


と羨ましがる女子軍。彩那の噂は瞬く間に学校内を駆け巡り、そして大きな集団を作っていた。


携帯が飛び出し、メアド交換を求める者、一緒に写メ撮ってと言ってくる者などだ。彩那があるけば全体が動く。まさに、アイドルの様だった。


職員室に到着と先生に


『あんたたちはヌーの群れですか?』


と突っ込まれたほどである。


ともあれ、一時はどうなるかと思ったのだが無事に午後の授業から参加することとなったのである。


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