第四十話 大阪刑務所2
ドクドクと血が体を伝わっていく。下を見ると体から包丁が出ていた。
『よくもオレのトモダチを殺してくれたな』
そう聞こえた時、血が心臓から一気に逆流してきてレイは血を吐いた。視界が薄くなっていく。蘭の叫びも小さくしか聞こえない。意識が……途切れる……
そこに響いたのは銃声。微かにしか聞こえなかったが……
リーダーがドサリとその場に倒れ、同時にレイの意識もそこで途切れた。入り口に人のシルエットが見える。
『だ、誰?』
蘭は銃を向けた。そこからやって来たのは室長だった。
『し、室長。』
『上から二人では心配だから来るように命令が出たんだが、どうやら遅くなったようだな』
目の前にあるのはレイの死体。室長は近づいて髪を撫でた。
『助けられなくてすまなかったな。』
と言い携帯を取り出す。
『救急車の手配を頼む。死体が4名だ。』
そう言って目を閉じた。
大阪刑務所はもぬけの殻だった。施錠は全て壊れており囚人も誰もいない。警備員は全員殺されていた。あまりにも酷い有り様だった。
『そんな……』
と蘭が弱々しく呟く。二人の捜査は続いた。
『うわ!』
突然、蘭が悲鳴をあげた。室長が飛ぶように確かめに来た。そこはモニター室。モニターから炎が上がっているのだ。
『らん、すぐにここを出るぞ。』
こうして二人は刑務所を出た。そして、刑務所内は全焼した。
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室長がトイレで携帯を開いた。メールを打っていく。
『証拠は全て潰しました。建物を全焼させて。』
と短いの文を打ち送信。そうしてこう呟いた。
『全てはG様のために』