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トモダチ  作者: tomo
第4章 裏で
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第三十八話 帰還したW

テレビを切って静かになった部屋のベッドに彩那はドサリと寝転がった。横になって部屋を見回す。やはり、大きい。


天井からぶら下がるシャンデリア風の電気。その他にも音楽コンポや湯を沸かす器械、本棚などたくさんの物が置いてある。Gは相当なお金持ちであろう。でなければ……とボンヤリ考えていると突然、パソコンがなった。どうやらメールの様である。


仕方なく彩那は立ち上がってパソコンの前に行き、蓋を開けた。トップの画面を操作してメールの受信箱を開いた。メールが2件来ている。


彩那は先に黒部勇雄(くろべいさお)と言うところをクリックした。


「学校辞めたのか?校長から聞いたぞ。これからどんなことがあっても頑張って乗り越えろ。頑張れ」


何が頑張れだ!本当は私のことなんか応援してないくせに。現にクラスでいじめがあったのを知っていて助けてくれなかったじゃない!


彩那の怒りが膨らんで乱暴に次のメールをクリックした。それはBからだった。


「明日、銃の打ち方と人の殺し方について詳しく教える。とくに人を殺すときはミスが許されない。集中して来られるように今日はゆっくり休め」


とのこと。


はーい、了解しました。って馬鹿か!


殺人?


こんなことを平気でやる組織なのか?もうマフィアに近いではないか。


で、誰を殺すの?


真っ先に浮かんで来たのはクラスメイトの顔。そいつらなら簡単に撃てて刺せるような気がしてきた。血にまみれる服。嫌だと泣き叫ぶ顔。クラスメイトの姿が無様だ。


今まで私をこんなに傷付け、苦しめてきたのだ。


まずは足から撃ってやろうかな~


さっきの組織に対する怒りは消えていた。


それどころか、どんな風に殺してやるかの方を考える方が楽しい。


彩那は自分の明るく綺麗な性格がねじまがったことを知らなかった。知れなかった。


なぜなら彩那はもうこの組織に入ってしまったのだから。



@ @ @


Gのパソコンの玄関のカメラにある男が映った。素早くパスワードを入れていく。指紋も眼球も一致した。パソコンに名前が映る。


『あいつか……』


と、言ってGは男の通過を許可したのだった。


@ @ @


『あー、久々の本部だ。』


と男は部屋に上がった。目の前にはBがいる。


『よぅ、W。久し振りだな!』


『ボス、任務クリアしました。』


Wと呼ばれた男は靴を脱ぎながら言う。


『大阪刑務所での調査と警備員の抹殺、さらに脱獄の手伝い。証拠は残してきていないな?』


Wは少し不機嫌な顔をした。


『当たり前ですよ、ボス。僕を誰だと思っているんすか。』


Bはそれを聞いて安心したように言った。


『いや、念のためだ。それより脱獄囚はどうした?』


『大阪支部で大人しくさせてますよ。いじめを受けた経験のあるものだけ復讐してこいと離しましたけどね。まぁ、どこにいるのか見たかったらこのICチップで全員の居場所を確認できますから。』


完璧にこなしてある。


『相変わらず完璧だな、W。』


とチップを受け取ったBは呟いた。


『僕は完璧主義ですから。』


Wは振り返らずにそう言ってやがてエレベーターの中へと消えたのだった。


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