第三十七話 復讐の対策
翌日、メンデルは銀行へと向かった。ATMの前に立つとそれを起動し、パスワードを入力する。そして、金額を確かめた。
『貯金残高、12000000000円』
と標示された。元からあったのが2000000000円。つまり、10000000000円が振り込まれていた。思わず笑みが出る。
12000000000円とはどの程度なのか……。1万円札を100枚、つまり100万円で1センチである。12000000000は1万円札で、1200000枚になる。これを厚さに直すと、12000センチとなる。よって、120メートルである。
想像出来るだろうか、1万円札が百メートル走の長さよりも長く並んでいるのを。宝くじの一等が連続40回当たるのを。メンデルは笑みが止まらなかった。
『今日はまずテレビと冷蔵庫、いやいっそのこと家電用品全部取り替えてやろう。』
メンデルはクレジットカードを持って、電気屋へと向かうのだった。
@ @ @
『こんにちは、正午のニュースです。昨日から続くアメリカでの復讐の死者が100人を越えました。日本は現在、対応出来たもので約8073人です。』
テレビにグラフが映された。最初の5日程、特に1日目がかなり高く5日程かけて落ちていき、やがて安定したようなグラフだ。
『1日の平均にしますと8073÷33で244人です。今回は心理学に詳しい、広島大学の澤教授をお呼びしていますので話を聞いてみたいと思います。』
カメラが澤に向けられた。澤は緊張したのか、小さく深呼吸して話始めた。
『はい、えー、怒りにと言うのは非常に危険な心理状態です。』
と、棒読みで言った。原稿通りと言うことが見え見えである。
『それに怒りと言うのは他の欲よりも強いためコントロールが効かない場合も多いですよね。怒りと言うのは自己防衛本能なんです。』
『主な対策とかはありますか?』
女性アナウンサーが聞く。
『まずはですね、自分が怒りを持っている人に近付かないことです。姿を見てしまったが故に感情が湧き出すこともありますので。あとは、3人以上で行動することです。3人ならば止めれます。』
『はい、そうですか。ありがとうございました。では、続いてのニュースです。』
ニュースが変わると同時に彩那はテレビを切った。