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トモダチ  作者: tomo
第4章 裏で
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第三十三話 囚人狩り

11月1日水曜日


冷たい床に温かい血が流れている。荒い囚人達の息遣い。そして、ニヤリと笑みを浮かべる警備員達。囚人達が次々に殺され、「囚人狩り」と呼ばれていた。


『全てはB様のために……』


口癖の様にそう呟く。囚人達は震え上がった。勇敢な男が


『おい、Bって誰だよ!』


と、叫ぶと警備員は銃を向ける。


『おい、囚人の分際でB様に呼び捨てだと?』


なっ!


男はすぐに手錠で繋がれた手を上に上げた。しかし、警備員は無情だった。


『死で償え!』


拳銃が火を吹いた。同時に男は血と共に吹き飛んで動かなくなった。ひいっと他の囚人が小さな悲鳴を上げた。


『なんてやつ……。』


どこからかそんな声が聞こえる。警備員は鋭く反応した。


『あん?何だよ。オレに文句あるのか?』


『あぁ、大有りだ!』


と、言ったのは男性。かなりの身体能力を持つ男性だった。銃がその男に向けられる。


『なぁ、今からゲームをしよう。オレは今からここを出る。B様の命令でなぁ……。』


『あん?お前がB様の手下だと?』


『あぁ、それもかなり有能な、なぁ……』


『で、ここから逃げるだと?』


『あぁ、そうだ。で、お前はこの手錠を外すことになる』


と、有り得ないことをポンポンと話す男に対し、囚人達は手でひたすら何かを祈った。


『ふざけるんじゃねぇ!』


再び拳銃が火を吹いた。男は手錠を前に出し、体を左にスライドさせる。見事に弾は手錠の繋ぎを切り裂いた。両手が自由になる。


『なっ!』


警備員に初めて焦りの表情が見えた。


『ほぅら、外すことになるって言ったろ?』


今度は逆に男が笑みを浮かべる番だった。


『く、くそっ!』


警備員は更に2発発砲した。しかし、男は華麗な身のこなしでそれをかわす。そして、警備員に一気に距離を詰めた。もちろん、警備員と男の間には檻がある。しかし、その檻には普通に想像出来るように隙間があり、男はそこに足を通した。下から銃が思いっきり蹴り上げられる。銃が空を舞った。その瞬間に既に男はジャンプして銃を掴んだ。その勢いで檻に付いている鍵をぶっ飛ばした。地面に着地したと同時に扉を蹴り開ける。鍵のない扉は普通の扉のようにばこんと開いた。その場にいた全員がポカンとなる。なぜなら男が手錠を壊したあとに動き出してからまだ2秒しか立っていないのだから。


まさしく戦闘のプロであった。


『まぁ、こんなもんか。』


男はこう言って出口へと歩き出す。警備員は額に汗をかいてこう尋ねた。


『あんた、名前は?』


『オレは、O1985PQだ。』


こいつは本物のBの手下であった。なぜならアルファベットと数字を組み合わせたコードネームを持っているのだから。


『こちら、洞口。洞口から全員へ。男が1人出ていくがそいつには手を出すな。これは命令だ。』


無線を取り出して洞口と名乗る警備員はそう言ったのだった。


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