第十七話 遂に2
時計の針が恐ろしい程遅く回っている。
『犯人、降参して人質を放しなさい』
と、回りの戦闘機から声がかかる。しかし、こちらが降参しない限り相手は何も出来ない。ミサイルも搭載されている可能性もあるが撃てないし捕らえるにも飛行機に近付いたりしてぶつかれば飛行機も戦闘機も爆発する。つまり、相手は呼び掛けすることしか出来ないのだ。時計が更に時を刻んでいた。あと、約6分。飛行機は死へと確実に近付いていた。もう、東京都に入っておりこんな高さからでも高層ビルの集まりが見える。宝石をばらまいたようにキラキラと輝いていた。時間は午前4時。
『そろそろだな…おい、機長、行路を外れて都心を目指せ!』
乗客の運命が決まった。みんな撃ち抜かれたように固まって動かない。機長も額から汗を大量に流している。
『正気か?』
慎太郎は少し笑った。そして、
『あぁ、正気だ!』
『くそっ!』
その時、飛行機の進路が少し変わった。成田空港の進路から少しずれたのだ。飛行機はあと、5分もあれば跡形もなくなっているだろう。高度も知らないうちにかなり下がっていた。10000メートルから1500メートルになっていた。窓から見える景色も地上に近かった。慎太郎は改めて計画が順調に進んでいることを知った。回りからはまだ呼び掛けがあるがそれも無視して最後の命令を下した。
『この飛行機のジェット燃料に一番近いところに案内しろ。』
係員が諦めたように動き出した。慎太郎はそれについていく。
あと、3分だ。
もう誰も止められない。外を見るともう都心の真ん前にいる。高度は500メートルから順調にヘリ続けている。
あと、3分で……
歴史は激変する!