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中二病の地球防衛論~最強チートは雑草だった~  作者: とまCo
第1章 揺らぎの始まり

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05 つながり始める点

 翌朝、玄関を出た瞬間に違和感があった。


 空気が、重い。


 冬なのに、息が白くならない。

 風が冷たくない。

 昨日より、さらに湿っている。


(……なんだこれ)


 学校へ向かう道の途中、川沿いの道を通る。

 普段は乾いた風が吹き抜ける場所なのに、

 今日は、空気がまとわりつくようだった。


 学校の裏手には、雨が降るとすぐに水が溜まる低い草地がある。

 あそこも今日は、朝から白く霞んで見えた。

 冬に霧が残るなんて、今までなかったのに。


 教室に入ると、悠斗がすぐに声をかけてきた。


「なぁ誠、今日なんか変じゃね?

 空気、ぬるくね?」


「……やっぱり?」


「やっぱりって、お前も思ってたのかよ」


 悠斗は窓の外を見ながら眉をひそめる。


「川の方、なんか白くね?

 霧っていうか……湯気っていうか……」


 僕も見た。

 確かに、川の上に薄い白い膜みたいなものが漂っている。


 そのとき、後ろの席の女子が言った。


「今日さ、川の近く通ったら、なんか海っぽい匂いしたよね」


「したした!なんか潮っぽい!」


 教室がざわつく。


 海の匂い。

 川の霧。

 湿った風。


 全部、昨日から続いている。


 授業中も、なんとなく集中できなかった。

 窓の外の空気が、ずっと重く見える。


 放課後、家に帰ると、コピオがすぐに反応した。


『おかえりなさい、誠さん。

 今日の外気データを取得しました』


「……どうだった?」


『湿度は昨日よりさらに上昇。

 風向きは海側からの流入が継続しています。

 そして――』


 コピオのアイコンが、ゆっくりと青く脈打った。


『川沿いの温度が、周囲より高くなっています』


「温度……?」


『はい。

 通常、冬季の川は外気より低温ですが、

 今日は逆転しています』


 そんなこと、ありえるのか。


「にぃにー!」


 妹が部屋に飛び込んできた。


「今日ね、公園の砂場、なんかべちゃってしてた!

 雨降ってないのに!」


「べちゃって?」


「うん!なんか、水こぼしたみたいだった!

 にぃに、あとで見に行こーよ!」


 妹は無邪気に言うけど、

 僕の背中に冷たいものが走った。


 川。

 公園。

 学校。

 家。


 全部が、同じ“湿り方”をしている。


『誠さん』


 コピオが静かに言った。


『これは、局所的な現象ではありません。

 広範囲で連続して発生しています』


「……つまり?」


『“何か”が、近づいています』


 その瞬間――

 窓の外から、低い音が聞こえた。


 ゴォォォ……という、

 遠くで巨大なものが動くような音。


 風の音ではない。

 車でもない。


 海の底で響くような、

 重くて、深い音。


 僕は息をのんだ。


 その音は、ほんの数秒で消えた。


「今の……何?」


『解析中です』


 コピオの声が、いつもより少しだけ低く聞こえた。


 胸の奥がざわざわする。


 点と点が、線になりかけている。


 でもまだ、何が起きているのか分からない。


 ただひとつだけ確かだった。


 ――何かが、本当に近づいている。

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