ミルク
ある日の午後、窓際で昼寝をしていた小さな茶トラの猫「ミルク」は、不思議な音に目を覚ました。
外から聞こえる風鈴の音に混じって、小さな「ピヨピヨ」という声がする。
「なんだろう?」
ミルクは窓の外を覗くと、庭の草むらに一羽の小鳥が迷い込んでいるのを見つけた。
まだ飛び方がうまくないヒナのようだ。
「助けてほしいのかな?」と思ったミルクは、ふわふわの肉球をそっと伸ばし、庭に降りることにした。
ヒナに近づいたミルクは、できるだけ怖がらせないように、しっぽを優しく揺らしながら「どうしたの?」と尋ねる(ミルクの心の中ではちゃんと話しているつもり)。
すると、ヒナは小さな声で「迷子になっちゃった」と答えるように見えた。
ミルクは「大丈夫、ぼくが案内してあげるよ」と自信たっぷりに言い、ヒナを導くことに決めた。
しかし問題が一つ。
ミルクはあまり庭の外に出たことがないのだ。
それでも二匹の小さな冒険は始まった。
ヒナを背中に乗せて、ミルクは公園まで歩き、木々や花々の間を通り抜ける。
途中、少し怖いカラスに出会ったり、優しい子どもたちに撫でられたりと、たくさんの出来事があった。
最終的に、ミルクは公園の大きな木の上にヒナの家族を見つけることに成功。
ヒナは喜んで家族の元に帰り、ミルクに何度も「ありがとう!」とピヨピヨ鳴いた。
ミルクは少し疲れたけれど、自分のしたことに満足し、しっぽをピンと立てながら家に帰った。
そしてまた、窓際でぐっすり昼寝をするのだった