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藤野のはなし  作者: 藤野彩月
第1章
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絵画のはなし

 私は絵画の鑑賞をするのに、作者によって付けられた題名や作品の解説を前もって確認する事はしない。


 第一そんな事したら鑑賞の楽しみが無くなって窮屈になる。


 最近、訳あって絵画鑑賞の機会を得た。あまり美術館めぐりはしないし今はそんなゆとりもなかったのだけど。

 そんな貴重な時間の中、幾多の絵画を鑑賞した。その中で私は一枚の抽象画が今も忘れられない。


 私は人物像や風景画よりも抽象画が好きだ。なぜなら自分なりの解釈によって生み出されるストーリーを果てしなく、のびのび湧き出てくるから。とは言えただ闇雲にアタマに浮かんだことだけを紡いで向かい合ってる作品そのものから脱線してしまっては、本末転倒である。

 ちゃんと絵画のこういう箇所から連想したとか、形からアレを見立てたとか、きちんと目の前の絵画から繋いでいく。


 本題から逸れてしまったが、さて、私が心に残ったというその抽象画とは、長方形の形をしていて、辺の長い方を縦方向に展示されたものだった。長方形の下半分は白い画用紙スポンジと思われる、少し柔らかな角状のものをスタンプのように青、緑、黄色に分けてポンポン横方向に連ねた模様が描かれていた。見事なくっきりしたチェック柄が出来上がっていたのである。

上半分はその三色が無秩序に混ざり合い、大きく平たい筆で描いたのか、まるで初めて筆を持ってお絵描きする幼児が描いたかのようにひたすら横線が何重にも塗られていた。その中に、作者も意図しなかったであろう二、三のシミが見えた。


 パッとこの絵が視界に入った瞬間、私は「五月!」と思った。はっきりとそれを表していたわけではないが、緑がうまい具合に他二色と混ざった個所に新緑のような、濃すぎず薄すぎない色がそこかしこに見られたからである。そして黄色によって輝く太陽。読者のみなさんには目を閉じて、幾多の若葉の上から照らす木漏れ日を想像していただきたい。


 そう、五月と言えば新緑の季節。新生活が始まって一月。

まず、絵の下半分のチェック柄は自分の足元。徐々に徐々に自分の状況がわかりはじめた...と思いきやちょっと離れた所、すなわち絵の上半分はまだまだ分からない未知の風景を表しているのではないか。私にはそう見えたのだ。その中に見える数個のシミは…まだ出会ってまもない人達の顔だ。二人の他人が互いに向かい合って、顔をしかめて議論している光景だ。特にそのうちの一人(?)は「鉄腕アトム」の天馬博士に見えないこともない。あくまで私の見立てなのだが。


 (新しい職場に異動してはや一ヶ月、自分の感覚としてはようやく周りが鮮やかに見え始め、戸惑いも収まり、ようやく仕事に本腰が入れられるな…と思ったらまだまだ私の知らない面があった。向こう側で顔を突き出して話し合っている二人は一体どんな人達なのだろう?怒っているのか冗談を言い合っているのか、気難しい人なのかそうでもないのか気になる。まだまだここは私の知らないことがあるのだなあ。あーあうまくやっていけるのかな…。)

これが例の絵から編み出した、私なりに解釈したストーリーの全容である。


 題名と解説を読むのはこの自分の作業が終わってからだ。正直言うと私の解釈とズレていればいるほど嬉しい。ちなみに作者のコメントはここでは内緒。


 現在1338字。(空白と改行除く)

 文字でしか表現方法がないにもかかわらずわざわざ絵画の話という難易度の高いテーマを書いたので、なんだか疲れた。以後も定期的にこんな形でとりとめのない独り言を投稿していきます。


 

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