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ヒマな魔王様はヒマが欲しい  作者: さんごく
3章・魔王誕生

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レクターレ王国軍、第一次総攻撃。

 二刻を過ぎたが青軍の【歩兵】達はまだ丘の中腹辺りにいた。

 彼らはまだ赤軍が取り払っていない切り株を盾にして身を隠している。

 いくら【幻覚魔法】でも大岩が自分達へと転がって来るのだ! 怖くない訳が無い。

 

「どういたしますか? このままではラチが明きません」青軍の【参謀】の一人がマカロス・リクター司令官にそう尋ねる。

 青軍の司令官は椅子に座って目を閉じている、眉毛と眉毛の間に深いしわが刻まれる。

 何かを決意した様にゆっくりとまぶたを開く、その緑色の瞳には迷いは無い。

「突撃させろ」マカロス・リクター少将のその言葉に、一瞬指令室が静かになる。

「もちろんただ死なせはしない、あらゆる手段を使って赤軍の攻撃を抑え込め! 【魔術師】の【広範囲攻撃】呪文を使用しても構わん!!」【参謀長】が大声で周りに命令を出す。

「前線にいる【弓兵】と【魔術師】に伝えろ! 総攻撃だ!!」マカロス・リクターの指示が指令室から大声で各所へ伝えられる。

 木製要塞への『第一次総攻撃』の始まりだった。


「ずいぶんと早いですね、総攻撃の発令が」アルテア=アトラス・アウグストスが、意外そうにそう言った。

「もう少し、こう、ずぶずぶとなってから。これ以外に最早打つ手が無い、──その位に切羽詰まってから命令を出すモノだと思っていました」その第一王位継承者の発言を聞いて、周りの大人達が笑い声を上げる。

「アルテア=アトラス様、これは【演習】だからです」レイドル・ウルリス【第三軍】大将はそう言った。

「そういう物なのですか?」アルテアがそう言うと、【陸軍】の【参謀】の一人がうなずきながら補足する。

「はい、アルテア様の意見は確かにある意味で正しい。このようなまだ中盤で、しかも全軍がまだ前線に集まっていない段階での総攻撃は、実戦では悪手です。まず成功しない」

「なのでこの段階で実戦の時、総攻撃をさせる“司令官”は、余程他の作戦が思いつかないか。さもなければ『政治的圧力』でどうしても必要に迫った場合です」【陸軍参謀】達がアルテアへ楽しそうに解説を行う。

 アルテアは【陸軍】軍人に人気があった。確かに【第三軍】の設立時には【陸軍】からの、『引き抜き』(特に女性軍人の)があったりしたので。一時期険悪な時もあった。

 だがそのおかげか、【陸軍】と【第三軍】の情報共有はむしろ【海軍】より円滑に進み。

 アルテア自身が、『あらゆる事を自分達で抱え込もうとする【海軍】』よりも。事、補給に関しては『共有する部分の多い』【陸軍】寄りの考え方をするのも好印象に繋がった。


あぁ、【海軍】のお話しが書けない!

さすがにこれ以上『演習』を書くのは、僕でもごめんこうむりたい。

ーと、なるとぉ。アレを書くしかなくなるなぁ。

フッフッフ。

では、明日。

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