会合の終わり。そしてアルテア=アトラス・アウグストス、10歳。
四人の上王は、笑い声をあげて拍手をする。
「驚いたぞ、幼子よ!」ロマス上王はこの日初めて、満面の笑みを浮かべて上等な作りの椅子から立ち上がり。アルテア=アトラスの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「わずか七歳で、そこまで言ってのけるとは!」グルス上王は、七歳の子供の両肩を軽く叩いた。
「あなたには【王様】などでは無く【皇帝】の称号こそ相応しい!」ユミエル上王はアルテアを、とても強く抱きしめた。
「アルテア=アトラス。今すぐとは言いません、ですがもし何かがあった場合は必ず私を訪ねなさい。私は貴方を見捨てはしません!」シズル上王は両腕を組んで、最大の協力者となる事を確約した。
こうして、アルテア=アトラス・アウグストスの七歳の誕生日は終わった。
──アルテア=アトラス・アウグストス、十歳──
「……何だ、この要望書は……」ロスコー・アウグストス王は、長年悩ませられていた歯痛を終わらせるため午前中に抜歯をし、その傷の痛み止めを飲んでおりそのあまりにも強い鎮痛作用のせいで、頭がくらくらして来たので午後の書類整理を明日にしようと考えて。パラパラと、要望書を流し読みしていたその時に。本来なら流れ作業的にサインをしていた書類の中からその要望書を見つけてしまった。
「誰だ、こんなふざけた要望書を出したのは!」アウグストス王は、その要望書を出した人物の名前を見て、すぐさま自分のもとへ来るように伝令を出した。
「はい、その要望書を出したのは自分です」ニーア・ウルリスは、直立不動の姿勢で王の前に立って。悪びれる事もなく肯定して見せる。
「アトラス=アルテア・アウグストス第一王位継承者を、新設される陸軍部隊の指揮官に推薦する。──正気かね? 君は、あの子はこの前十歳になったばかりだぞ?」ロスコー・アウグストス王は、三十歳前半でありながら【魔法騎士】に任命された。唯一の女性である佐官(一応少佐という事になっている)に改めて聞く。
「自分は、正気でありますし。冗談でこのような事は致しません」ウルリス少佐はアウグストス王をジッと見てそう言った。
「…では何故、今日それもこの日を選んでこんな要望書を出したのだ?」ロスコー王は、今日取った奥歯の辺りをさすりながらニーア・ウルリス少佐をにらむ。
「自分は一ヶ月前にその要望書を出しました」ウルリス少佐は噓偽りの無い目で告げる。
ロスコー王は改めて要望書を見る。確かに書かれたのは一ヶ月前だった。
「…では、今日この要望書が出て来たのは、軍の嫌がらせか」王は歯では無く頭を押えた。
さてさて、どうした物か。産まれてから10年で、10話かかっているよ。
設定では、アルテアの年齢は。60歳以上なのですよ。
しかもこの後……。
どうした物かなあ。




