ネズミ、夢をみる
その夜、トルクゥは村長宅の客間で昼間の戦いで付いた体の汚れを拭いていた。
普段は使われていない部屋なので、少しカビ臭いがそれでもトルクゥの家よりも立派だった。
トルクゥは改めて自分の体を見る。貧弱ではないが怪力がある訳でも無い、ごく普通の村人の体だった。
部屋には鏡があったのでついでに自分の顔を見る、茶色の髪は少し短く切ってある。町ではこの髪型が“清潔感”があって良いと聞いたのだ。顔は、まあ、良いと思う。うん、少なくてもダンパよりは良い。──でもあいつ結婚しているんだよな…。
そこへ誰かが扉をノックする。全裸だったトルクゥはタオルを腰に巻き扉を開ける。そこにいたのはロウソク立てを左手に持ち、簡素だがそれ故に着ている人の体のラインが目立つネグリジェを着たルネだった。
ルネは顔を赤く染めてこう言った「入ってもいいですか?」トルクゥは思わずうなずくと、ルネは後ろ手で扉を閉める。
ルネの赤茶色の髪は昼間とは違い、ポニーテールではなくただ背中まで垂らしいているだけだったが、こんなにも印象が変わるのかと言う位に色っぽかった。
ルネは言う「昼間は本当にありがとうございました、あのままだったら私はどうなっていたかと思うと、今でも体が震えます」そう言って自分の両肩に手をおく。
「父からすでにお礼は受け取っているのは知っています。ですが、そ、その…私はまだあなたにお礼をしたいのです」
そう言ってネグリジェを下げている両肩のリボンを外す。布と肌のこすれる音と共に床に落ちるネグリジェ、下着は、付けていなかった。
「どうか私のお礼を受け取ってくださいませ」そう言って腰にタオルを巻いただけのトルクゥの胸に頬をすりよせるルネ。ゴブリンを三匹相手にできるトルクゥでも、これには抗えなかった。
一時間後「このまま朝までいたいのですが、こんなところを父に見つかれば、あなた様の命にかかわります。──どうかこのことはご内密に、私の勇者様」そう言ってルネは部屋を出ていった。
勇者、か。とトルクゥは思う、人々を助ける正義の味方、みんなのあこがれ、数人のパーティーは一騎当千の強者の集まりで、困っている人は誰でも助けるまさに人間の最後の救いて。
トルクゥは更に考える、普段はただの冒険者として働いて、体を、技を鍛えておき。人々が本当の惨事に巻き込まれそうになったら自ら率先してその惨事を防ぎ、人々が。
「あの方が勇者だったのか!」と驚きと羨望の目で見つめる中を次の国へと、困っている人を助けるために移動する。うん、まさに勇者! それならと思い口に出して言う。
「自分でも出来るのではないか?」
15禁にしておいて正解でしたね。
では、明日。