7回目の誕生日、上王達。
アルテア=アトラス・アウグストスのお誕生日会は、少しずつの休み時間をはさんでその後昼食。宮殿の庭師によって作り直された庭の散策。その庭で行われたお茶会(その名前とは裏腹にほとんどの参加者は、お茶や菓子には手を付けはしないが)。豪華な晩餐会。そしてダンスパーティーへと続くのだが、十代前半の子供たちにはダンスパーティーの時間は遅い。そのため大体の子供たちは家に帰るか、そのまま宮殿に泊る事となる。
主賓であるアルテア=アトラスが、チラッと時計を見てわざとらしく小さなあくびをすると。まだ若い王族、貴族の子供たちはお眠の時間となる。
子供を連れた健全な大人達は家に帰ってゆく。十代後半以上の独身、あるいは子供を連れて来たけれど、まだ遊び足りないちょっと不健全な大人は。宮殿の寝室にひとまず子供をあずけてレッツダンス。
アルテア=アトラスも、十二歳の女の子と一曲踊った後に主賓として挨拶を済ませて部屋へと帰る。──表向きは。
「来たようです上王陛下方々」宮廷魔術師バン・アーレが四人の年老いた元王位継承者達にそう告げる。
「お久しぶりです上王の皆様、アトラス=アルテア・アウグストスただ今参りました」そう言ったアルテアは片ひざを付いて頭を垂れる。
「その様に頭を下げる必要はないぞ、我らの孫よ」そう言ったのは大きな鼻を持つグルス上王だった。
「その通りですよ、金色の我らが血筋を受け継ぐ者」シズル上王はそう言って白くて腰まである頭髪を撫でた。
「本当にそう思いますわ、フフッ貴方を見ていると本当に私の幼い頃を思い出します」三十代、いや二十代と言われてもうなずいてしまう位若々しいユミエル上王は微笑む。
「だいたいこの様な場所でひざを付いたら、折角の白い“おべべ”が汚れてしまうではないか、少しは考えよ!」この中で一番年寄りのロマス上王から一括されてしまうアルテア。
「その通りですアルテア様。昨日大掃除をしてカーペットも新しい物を敷きましたが、ここは王族達の集団納骨堂の中なのですから」バン・アーレはそう言って回りを見る。
元はこの宮殿に使われる採石場だったが、その岩盤の硬さから王位継承者の遺体を安置する場所として使われ。そしてその安全性からいつの間にか王侯達の秘密の集会場としても使用されるここに、かつて王位の継承をみずから手放して隠居している四人が集まる。言わばこの王国を陰で操っている四人との会合にアドバイザーとして自分がいる。
バン・アーレは思わず身ぶるいするが、この四人を前にしてもアルテア=アトラスはそれ程緊張せずに立ち上がり。こう言った。
「では失礼して椅子に座らせて頂きます、──いつ来てもここは寒いですね皆様」
上王の登場です。……エーあまりお話する事がありません。
ネタバレになりますので。
で、では明日。




