レクターレ動乱。騎士の誇り。
【第三軍参謀総長】スル・ガーゴン氏、【陸軍中将】マカロス・リクター、そして【アルテア軍総大将】アルテア・アトラウス・アウグストスが考え出した【陣地】は、恐ろしいモノであった。
【本陣】だけで千五百メール(約千五百メートル)四方の大きさを持ち、更に【陣地の外周】は半径五キ・メール(約五キロメートル)もの広さがあった。
しかもこの【外周】ただ広いだけでは無い。
背の低い雑草にまぎれるように、漁業用の網が隠されていて。何も知らないで入って来たヒトや馬の脚に絡み付いて行動を妨害する、或いは先端の尖らせた杭が底に並ぶ落とし穴などのワナが仕掛けられていた。
そして一見無造作に打ち込まれた木製の柱にも意味があった。
それらの柱には弓矢、もしくはスリングで飛ばされて来る石などの『飛翔武器』から。無意識的に体を守ろうとする、『防衛反応』を刺激する様に立っていたのだ〔当然の事としてその周りには、ワナが仕掛けられていた〕。
【【重騎士団】右旋回せよ! 我に続けぇぇ‼】
アッガス・マルド少佐は【重騎士達】が最初の突撃をおえた後。乱戦に入りそうになったのを【念話】で止めると、もう一度ランスチャージをおこなう為、部隊陣形を整えてそう告げる。
【ユーリン・ノーダ大佐! 生きているのか⁉ ユーリン・ノーダ大佐‼】
アルドル・バース大佐が、アッガス・マルド少佐とまともに突撃していった、ユーリン・ノーダ大佐を【念話】で呼ぶが返事は無かった。
本来ならば、騎士の数で有利だった【ミリアン軍】が勝つ“はず”だった今回のランスチャージが、ほぼ一方的に【アルテア軍】側の勝利につながったのは。アルドル・バース大佐率いる【重騎士団】へおこなわれた、レイガス・サロー【千人隊長】が率いる【弓騎兵隊】の斉射で【突撃】の勢いが“殺された”為だった。
「ユーリン…。クソ、やはりダメだったか…」
アルドル・バースは奥歯を噛み締める。彼は、行動はさておき、根がリアリストだった。
『ここに来て部隊の練度が出てしまったか……』
アッガス・マルド少佐ならば、『騎兵隊』ならば弓では無くランスを使え! と、大声で叫ぶところだろうが。アルドル・バースは違った。
【大佐、敵【重騎士団】が再度突撃をする模様です!】
【各団員、各個撃破で応戦せよ! そして絶対に仲間を見捨てるな‼】
“仲間を見捨てるな”その言葉が【ミリアン軍騎士団】の中で広がって行く。
200話! ついに200話に到達しました‼
でも本編は、まだまだ続きます、いったいどこまで続くのか…。
だが、アノ『オチ』を書くまで辞められません。
それまでお付き合い願います。
では、次回にお会いしましょう。




