レクターレ動乱。アッガス・マルドの思い出。
アッガス・マルド少佐は、急速に接近して来る【騎兵隊員】の持つ、カイトシールドに描かれた“紋章”を見て。深いため息をついてこう思った。
「アルドル・バース、お前まで【反乱軍】に入ったのか」と。
思えば自分と、アルドル・バース。そしてロエル・ハスの三人で、愚かな突撃を『演習』で何度もおこなって。出世街道を転がるように落ちて行き、“騎兵隊の三バカトリオ”などと言う、不名誉極まり無いあだ名を付けられても。
『我ら“騎兵隊の三バカトリオ”‼ 【死亡判定】を付けられたく無ければ、そこをどけ‼』
などと言って大騒ぎをするのを、楽しんだ仲だったのに……。
思えばあの頃は何をやっても面白かった。
三人で『誰が一番女にもてるか』を競ったりもした。
結果は私とロエル・ハスの一番と、二番。おまえは『私はわが妻を裏切れ無い』などと言っていたな。もっともお前の顔では、最下位は決まったようなモノだったが。
股間の比べ合いではおまえの圧勝だったが……。
そう言えば、小便をどこまで高く飛ばせられるかの、競い合いもしたなぁ。あの勝負ではアルドル・バース、お前のひとり勝ちで終わったものだ。
もっとも、後でそんな勝負をしたのが上層部にばれて。『懲罰室』に一週間監禁されたのも、今思えば稀有な経験だった。
メシが、すっごく不味かったのも、いい思い出だ。
ある日の夜中、腹が減ったので食料倉庫に。同じく腹を減らした同志と共に盗みに入り、そこで行われていた【物資の横流し】犯と偶然出くわして。そいつらと戦い、そして現行犯で捕まえて次の日、表彰までされたのを覚えているか? あの日受け取った“勲章”は、今でも私の部屋に飾っている。
──もっとも盗み食いをするために、あの日食料倉庫に向かったのもバレてしまって。上官にこっぴどく怒られたっけなぁ。
それ以外にも色々とやらかした私達だったが、今回お前のやらかした事は余りにも酷すぎる!
「【反乱軍】では笑いばなしにもならないぞ! お前はそこまで大馬鹿だったのか⁉」
──同時刻──
「なあ、アルテア様はあんな隅っこの椅子で、お腹を抱えて大丈夫なのか?」
「私も気になったが、さっき本人が『大丈夫すぐ納まります』と、言っていたから」
【参謀官達】心配をよそにアルテアは、肩をプルプル震わせて。
『大爆笑』するのを必死にこらえていた。
アッガス・マルドの思い出でした。
コメディーっぽいお話にしようと思って書きました。
どうでしたか?
では、次回にお会いしましょう。




