レクターレ動乱。誰も知らず。
「だがこれで【ミリアン軍】がどのように進行しているかが分かった」
そう言ってアルテア・アトラウス・アウグストスは、大きなテーブルに張り付けられた。二メール(約二メートル)四方の、布製の地図を見る。
この大きなテントの中では、灰色の髪をオールバックにして、メガネをかけた【第三軍参謀総長】スル・ガーゴンと。同じく灰色の髪をもち、長い髭をさする【陸軍中将】マカロス・リクター。そしてその二人を補佐する、十人の【参謀官達】が。せわしなく地図に、インクとペンで数字を書き込み。赤〔ミリアン軍〕と青〔アルテア軍〕の円柱を置いたりして、仕切り無く話合っていた。
「【ミリアン軍】は大きく四部隊に分かれて、この陣地に接近を試みているようだね」
そう言ってアルテアが、更に説明しようとするも。
「至急! 至急でございます‼」
その様に叫びながら、数日前までシズル上王の元で【密偵】をしていた、ログ・ハクが飛び込んでくる。
「──少し落ち着くまで、わたしのテントでお茶でも飲まないか?」
「「喜んでお供いたします‼」」
「お帰りなさいませ。マイマスター」
異様に長くて青い髪を持つ少女が、エプロンドレスの裾をかるく広げて出迎える。
「リナ、お茶を三人分淹れてくれないか」
そうアルテアが言うと、黒い執事服を着た黒い髪を持つ女性が。アルテアの前にあらわれてこう言った。
「マイマスター、三人分のお茶を運ぶのはリナには難しいと愚考します」
余りにも唐突に現れた、男装をした女性に。レイガス・サローとアッガス・マルドの二人は驚いた。──今まで何処にいた?
「では、わたしのお茶は。リカ、おまえが淹れて運んでくれ。そしてリナ、君にはわたしの“大切な”お客様二人に、お茶を淹れて運んでくれ」
リカと呼ばれる男装の女性は、微笑みを浮かべて喜び。リナはむすっと頬を膨らませた。
その後アルテアと、二人の【騎士】は。たわいない話などをして時間を潰していたが、アッガス・マルドが、アルテアの足元をしきりに気にしていたのをレイガスは見逃さなかった。
「おい、アルテア様の足元を気にしていたようだったが、何を見ていた?」
「いや、アルテア様が、トラをペットにしていたのが以外で見ていたのだ」
「──! 何だって⁉」
そうだった、こいつらを出すのを忘れていた!
【アルテア軍】闇の戦力、アルテアの影。
リナはもう出していたが、リカと、トラを出さないと話が変わる!
後はぁ、えぇっと、うん。
気付いた時に書きます。
では、次回にお会いしましょう。




